グラフィック2024.09.18

デザインを熊本から。性別問わず働き続けやすい環境を整え、挑戦していく

熊本
株式会社ダイケンデザイン 代表取締役
Kenichi Aoki
青木 賢一

広告のデザインなどを行う熊本の株式会社ダイケンデザイン。「よりクリエイティブに力を入れていきたい」という思いから、広告の企画や印刷を行う株式会社ダイケンの子会社として設立された同社。ダイケンと協業することで営業・企画・デザイン・印刷とワンストップでクライアントの要望に応えることができます。ダイケンデザインの代表取締役を務める青木 賢一(あおき けんいち)さんに、AI登場によるデザイン業界の課題や、ダイケンデザインで力を入れていることについて伺いました。

ワンストップでできる環境が強み。デザイン業界が変わっていく危機感から代表に

ダイケンデザインの設立にいたった経緯について教えてください。

もともとダイケンデザインは、株式会社ダイケンの子会社として設立されました。ダイケン代表を務める松茂 信吾(まつも しんご)が美術大学出身者ということもあり、「よりクリエイティブに力を入れていきたい」という思いがきっかけだそうです。
2013年当時、旅行のチラシを作る代理店だったダイケンに入社した私は、入社後3カ月程度は制作をしていましたが、社長の意向ですぐに企画を担当するようになりました。15年にダイケンデザインが設立され、「ダイケンデザインの代表をやってみないか?」と松茂から打診を受け、21年から代表を務めています。
デザイン業だと熊本にはほかにも競合他社が多数あります。ただ弊社はダイケンが印刷工場を持っているので、制作から印刷までが早いという強みがあります。営業から企画、デザイン、印刷とワンストップでスムーズなクライアント対応ができます。

代表に指名された時の心境はどうでしたか?

実は着任前の19年頃から代表着任の打診はありました。ただ当時はまだクリエイティブに力を入れたく、お断りしていました。
21年頃、誰でも気軽に使えるAIが出てきたことで、「今後デザイン業界が縮小していくのではないか」という危機感が芽生えました。これは代表に就任する前から、多少感じていた部分でもありますが、代表になる決意をしたきっかけでした。その課題感はまだまだありますが、スタッフのみんなとともに、一つ一つ案件に向き合っているところです。

コロナで紙よりもWeb広告の制作が主に。自販機を使った商材も生み出し

ダイケンデザインでは今、どんなことを行っていますか?

SNSなどを使った広告配信やWebデザイン、動画、お店の什器など、デザインと名の付くものは、ほとんどやっています。新型コロナウイルスが流行してからは各クライアントが、デジタルに移行していったというのもあり、デジタル案件が主流になってきています。
また、ダイケンが新しい業種に取り組もうと、力を入れているのが飲食事業です。紙媒体事業縮小にともない、印刷工場の人員過多の課題もあったので、飲食物を売る自販機と映像を流せるLEDパネルを合わせた新しい商材を作って、熊本駅に設置しました。そこに流す動画やクリエイティブをダイケンデザインは担当しています。そのほか、自販機の企画やブランディング、マーケティングに関わることをしています。
自社でもイラストレーターがイラストを描くまでのHow to動画をYouTubeに載せるなどして、それをSNSで告知していくような流れを試しています。これがうまくいけば新しいコンテンツになるかと考えています。

常に意識するのはエンドユーザー。1週間で47都道府県のキャラクターを制作も

デザインするうえで大切にしていることがあれば教えてください。

クライアントの要望も大切ですが、それよりも最終的に購入する方や、デザインを見る方のことを考えてデザインしています。常にエンドユーザーのことを考えて商品を届けたいという思いで、クライアントと話し合いを進めることを大切にしています。

印象に残っている事例を具体的に教えてください。

東京のクライアントからの依頼で、マスコットキャラクターを使ってお客さまに渡すノベルティを作りたいと話がありました。確か納期まで1週間ぐらいだったんですが、1週間の間に47都道府県のモチーフを考えて、キャラクターを合わせたイラスト制作をしましたね。みんなで考えたモチーフを元に、イラストレーターが下書きを起こして、デザイナーが仕上げて、と。この案件は、短納期でしたが皆の底力を見た気がして心強かったですね。

ライフスタイルに溶け込む台湾烏龍茶を世界へ広める

今、力を入れているプロジェクトがあれば教えてください。

そうですね。私がブランディングを担当している台湾高級烏龍茶プロジェクトです。
日本国内はもちろん、中国やアジア圏を股にかけて店舗をプロデュースされているプロデュサーからのオファーで台湾の高山烏龍茶のブランディングをやってほしいと依頼があり、弊社では全体のブランディングをしています。具体的にはネーミングやロゴ、パッケージデザインなどで携わっています。

どんな商品なのでしょうか?

台湾の標高2400m付近で栽培されている高山烏龍茶で、まだ日本ではあまり売られていない商品です。名前は烏龍茶ですが、とてもフルーティーで飲みやすくほのかに甘い香りがするお茶です。
パッケージには、高山から見た茶畑の風景写真を使用しています。茶葉の種類に合わせて、夕焼け、夏の朝、春など季節や時間帯の異なる写真を使い、イメージカラーも変える予定です。基本的には味は4種類から始める予定で、飲む方のライフスタイルの中に溶け込ませたいと考えています。
9月末を目標にネット販売が始められるように進めています。マーケットは日本だけを対象にしてるわけではなく、紅茶文化が根強いヨーロッパなどの海外展開も考えています。24年中にはドバイで展示会を開く予定です。

女性が活躍できる環境で、デザインを続けていく。こだわるワケ

今後ダイケンデザインで取り組んでいきたいことはありますか?

デザイン力のほか、プロデュースする力を底上げしていきたいと思っています。今はネットでの販売も盛んなので、商品を発信する力をつけていきたいですね。場所を問わず戦えることはすごく大きいと感じています。

ほかにもあれば教えてください。

できるだけ女性が活躍できる場を作りたいと思っています。というのも、もともと私は女性の働く環境に疑問を持っていました。特にまだ地方は結婚して子どもが生まれて育休から戻ってきたら帰る場所がなかったり、子どもの都合ですぐ休まなければいけなかったりと、何かとハンデがあるように感じていました。
女性が働きやすい環境をきちんと整えたい、作りたいと考えた時に、活躍、貢献している女性スタッフを役員にしようという決断をし、先日ダイケンデザインで女性初の執行役員が2人就任しました。その2人は30代なのですが、今後ライフスタイルが変化してもムリなく仕事をできる環境が整えばと思います。今後も女性役員や、ライフスタイルが変化しても環境を整えることはし続けたいと思います。

どのような方とお仕事したいですか?

理想はデザインが好きな人、物作りが好きな人に尽きます。なんだかんだデザインに対してはストイックな方だと思うので、楽しみながらも、粘り強くデザインに取り組める人がいいなと思います。ダイケンデザインでは積極的にスタッフを募集していますので、お気軽にご連絡ください。

取材日:2024年8月6日 ライター:藤木 彩乃

株式会社ダイケンデザイン

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