ドローンショーで明日への希望の光りを空に放つ。映像とドローンの力を最大限生かし東北へ恩返し
宮城県黒川郡を拠点に活動するMKプロデュース株式会社は、映像制作を通じて東北地域への恩返しを目指し、ドローンショーという新たなエンターテイメントに挑戦しています。看護師から映像制作者に転身した代表・古農 修一郎(このう しゅういちろう)さんの経験と地域への感謝の思いが、地域活性化への原動力となり、東北に希望の光を放つ活動へと繋がっています。
自身の原体験が心動かす行動につながる。看護師から映像制作者へ転身した経緯とは
2023年に会社を立ち上げるまでのキャリアを教えてください。
もともと、私は看護大学を卒業し、看護師として、出身地である福島市の病院に約4年勤務していました。在籍期間中に体調を崩し、帯状疱疹(たいじょうほうしん)を発症したことをきっかけに自分の人生を見つめ直そうと実家のある宮城県黒川郡に戻ったんです。実家で少し休み、態勢を整えようと考えていました。
看護師をやっている時から友人の結婚式の動画制作を手伝うなど、映像制作の仕事に興味がありましたが、あてもツテもなかったので、ウエディング系の会社などに営業していました。しかし時期はちょうどコロナ禍、「今結婚式あげる人なんていないから、映像つくる人もいないよ」と仕事はありませんでした。
しかし行動と経験をしなければなにも始まらないと奮起し、友人の紹介で記録映像などの制作を行っていました。とある一件で東北の広告制作会社のプロデューサーと知り合うことができ、現場経験もなかった僕の「やりたい」という気持ちだけを汲んでもらい、案件にアシスタントとして呼んでいただけるようになりました。そこから個人事業主として独立し、宮城を中心に映像制作の仕事を請け負っていくようになりました。
映像制作に興味をもったのはなぜですか?
看護師として就職して2~3年経った時期に周りで結婚する方が多く、その時に結婚した友人に、式で使うウエディングムービーを納品しました。独学で学んだプロの作品でもないのに、ものすごく喜んでいただけたんですね。それがとてもうれしくて、映像制作に興味をもちました。
東北で事業をしようと思ったきっかけを教えてください。
11年の東日本大震災がきっかけです。僕は大きな被災を受けた福島県の浪江町出身なのですが、当時高校2年生だった僕は、避難経路の浜通りから中通りに行き、秋田に向かいました。その間、医療機関の方には本当にお世話になり、恩返しをしようと看護師になりました。
避難後は秋田の高校に編入しました。しばらく過ごした秋田は第2の故郷のような感覚でいます。このことから、お世話になった東北地域全体のためという想いが生まれています。大学卒業後は助けていただいた福島の医療機関への就職を強く希望し就職しました。今は業種や業態は違えど、映像制作を通して「育てていただいた地域に恩返ししたい」という想いは変わりません。
感謝を大切に、地域へ貢献できる広告映像制作実績とこれからのドローンの未来
現在の事業内容についてお聞かせください
一眼レフのカメラを用いたPR映像制作、SNS用の縦動画などの映像制作事業、ドローン事業を行っています。宮城県の観光プロモーションの映像制作、車の販売会社のプロモーション映像を撮影・編集する案件もありました。高い場所の電線が切れていないかをドローンで点検する電力会社からの依頼を受けることもあります。東北の地域に根差した企業からの依頼が多く地域に貢献しています。
もともとは手持ちカメラを使う案件が多かったのですが、今はクライアントさんの要望で始めたドローン撮影の比率が増えています。大きなチームで動く広告案件の時には「ドローン担当」として声をかけていただくようにもなりました。僕自身もドローンを飛ばしている時に楽しさとやりがいを感じています。
ありがたいことに年々売上も増加し、30歳になったタイミングで、個人事業主から23年3月に法人を設立しました。今後につながる新たな事業を展開していくので、このタイミングで設立してよかったと思います。
御社の強みをお聞かせください。
空撮、建築、土木、測量、高架作業の点検など、ドローンはいろいろなことができます。その中でも私は映像や広告制作から始まったので、ドローンをいかした広告映像制作ができるというのが強みです。クライアントとのコミュニケーションを深くとりながら、より良いものができるように心がけています。
また、鉄塔の点検などの依頼も受けています。今まで人間が行っていた危険な場所での仕事を、より安全にかつ時間を短縮し、比較的に低予算で行えるので、今までかけていたその予算や時間をより良い未来のための投資に使っていただけます。
一緒に働くクリエイターに対して、会社としてどのようなことを求めますか?
「感謝」という言葉が今まで生きてきた人生の中でも大きなキーワードになっています。一緒に働く仲間にも「他者への感謝の気持ちを忘れずに大切にしてほしい」と思っています。
ドローンや映像に興味ある方は基本的にはだれでも歓迎したいと考えています。特に大学生・高校生などの若者にドローンでできる望ましい将来を示しながら、社会貢献していきたいです。
空へ放つのは明日への希望の光。エンターテイメントへの新たな挑戦
今後どのような会社にしたいとお考えですか?
今後はさらに東北を盛り上げて恩返しのできる会社にしていきたいと考え、9月末に中華人民共和国の鎮江(ちんこう)へ行き、ドローンの研修と仕入れを行いました。まだどの東北の企業も導入していないドローン機器で、総台数は110機あります。
このドローンにはLEDライトが搭載されており、上空にイラストや花火、企業のロゴなどをうつすドローンライトショーの開催が可能です。従来の花火は大きな音と大量の煙が発生しますが、ドローンライトショーで使われるドローンはLEDライトで演出するため、大きな音や煙が一切出ないことから環境に優しく、きれいな花火を見られるという大きな特徴があります。
「空に浮かぶ広告」として企業の認知度を高めるだけでなく、空のエンターテイメントとして見る人に楽しんでもらえるので一石二鳥です。企業やその地域の人にエネルギーを与えることが、会社としてできる東北への恩返しです。
ドローンショーのもつ魅力を教えてください。
火薬などの花火原材料の高騰により花火の値段が年々上がっています。これに地域の課題が大きく関係していて、お祭りなどのイベントでの資金繰りが年々困難になり、とても苦労して増額の資金調達をするなどの困り感を抱えていると耳にします。今まで通りの花火にあてていた予算でドローンを使った3Dの花火ショーや、既存の火薬花火とコラボレーションしたエンターテイメントの提案も可能です。また、場所も100機の場合現状8m×8mが確保できれば開催できます。依頼内容に応じてドローンの台数を110機からさらに増やし、表現の種類やクオリティーをアップデートさせていきたいです。
そして、ドローンを通して「明日への希望と活力を与えたい」。これが会社のミッションです。自然と下を向く習慣が増えた現代ですが、ドローンショーの間は半強制的にみんなで上を見上げます。みんなで同じ空を見上げるって良いですよね。ショーを見て感動した老若男女の方が、学校や仕事・日常生活を送るモチベーションと未来への希望の光を受け取っていただければうれしいです。
ドローンライトショーという新しいエンターテイメントを通して、これからも東北地域に感謝の恩返しをしながら貢献していきます。
取材日:2024年9月27日 ライター:酒見 夕貴
MKプロデュース株式会社
- 代表者名:古農 修一郎
- 設立年月:2023年3月
- 資本金:100万円
- 事業内容:映像制作、ドローン事業
- 所在地:〒981-3602 宮城県黒川郡大衡村大衡字萱刈場190-7
- URL:https://mk-produce.co.jp/
- お問い合わせ先:080-3338-5080