「美容業界の働き方に一石を投じたい」。業界経験を生かして目指す“日本一の美容系求人サイト”

名古屋
株式会社サロビ 代表取締役
Yukima Okada
岡田 之馬

ハードな勤務形態や低賃金などで人材不足が深刻な美容業界。かつては子どもたちのあこがれの職業でしたが、新型コロナウイルスの影響もあり、現在は人材が減少しています。こうした現状に注目し、ヘアサロンやネイルサロンなどの美容業界に特化した求人サイト「サロビ」を立ち上げたのが愛知県の株式会社サロビの代表・岡田 之馬(おかだ ゆきま)さんです。立ち上げから半年で約1000件の求人案件を獲得している同社には、技術者とサロンの両者を幸せにできる秘密があるんだとか。一体その“秘密”とは?お話しを聞きました。

「求人面での現在地」を確認し、サロンにあった提案を。半年1000件ペースで案件獲得

現在、どのぐらいの求人を扱っていらっしゃるのですか?

2024年4月に「サロビ」を立ち上げて、半年で1000件ほどのサロンさまの求人掲載を獲得しています。本拠地である東海地方を中心に、西は沖縄、東は北海道まで広げていきました。東北地方の掲載が少ないので、これは今後の課題です。
美容業界は、集客はうまくいっているんです。美容院を予約できる大手サイトもありますし、どんな人も髪は切らないといけないですから(笑)、お客さまが途絶えることは基本的にありません。

美容業界の課題は「集客よりも人材の確保にある」と。

そうです。圧倒的に人材が不足しています。ほかの業界と比較しても、美容業界はとくに深刻だと思います。
問題は、サロンが求める人材像と求職者の状況やニーズが大きくズレていることです。多くのサロンは専門学校を卒業したばかりの若い、やる気のある人材を確保して、自店で指導・育成したいと考えています。一方で、新卒者はもちろん給与面、労働時間など条件が少しでもよいところで働きたいわけです。それではなかなかマッチングしません。
加えて、サロンの数が増えていることも人材不足の原因としてあげられます。美容師のキャリアの中で、独立して自分の店を持つことが大きな目標なんですね。その結果、店数は増えるけれども、人材が足りないということになってしまいます。

サロンの人材像と求職者のニーズのズレを解消するために、どのような働きかけを行っていますか?

毎月、サロンさまとミーティングを行い、「求人面での現在地」を確認します。ご要望を細かくヒアリングして、人材のターゲット選定などを私たちからご提案する場です。
例えば「新卒者がほしい」と考えているサロンさまに「子育てが落ち着いた世代に働いてもらってはどうか」「忙しい時間にパートタイムで入ってもらうのはどうか」とご提案するといった具合です。もちろん、ターゲットに合わせて求人広告も大きく変えていきます。
また、「最初は履歴書なしで面談だけしてみませんか」「新卒者に合わせた春の採用だけではなく、通年で採用活動に取り組みませんか」といった、サロン・求職者ともハードルが下がるような仕組みもご提案します。
実際に採用が決まってサロンがうまく回り始めると、納得してくださるオーナーさまはたくさんいらっしゃいます。ただ、美容師という仕事は職人気質の方やアーティスティックな方も多いので、その面で折り合いをつけることは難しいとも感じています。

「日本一の美容系求人サイトを創る」。自分の専門性とうまくマッチした美容業界の求人ニーズ

もともと美容業界で働いていらっしゃったのですか?

いえ、まったく違います(笑)。私は、求人業界出身の人間です。大手求人サイトを運営している会社で働いていました。働く中で「自分も自社サイトを持ちたい」と考えるようになったんです。そこで、退職してまず求人広告の代理店を立ち上げて、今回の「サロビ」の立ち上げにいたりました。
将来は、最初に働いていた求人サイトのような大きなメディアをつくりたいですね。それを目標にしています。

それで「サロビ」のVisionも…。

そうなんです。「サロビ」のビジョンは「日本一の美容系求人サイトを創る」としました。具体的に言うと、掲載数、求人数で日本一を目指したい。わかりやすい数字です。
これを実現するためには、求人業界のプロとして常にトップのポジションを維持し、「No.1」「Only.1」であり続けなければならないと思っています。そこで「No.1」「Only.1」を合わせた”Nonly1”(ノンリーワン)を私たちのバリューとして掲げています。

なぜ美容業界に特化したのですか?

求人サイトには、ITや介護、医療など専門性を持ったものがすでにたくさんあるんですね。それらと同じ土俵で戦うのはやはり難しいと思います。その点、美容業界はまだまだ発展の余地があり、商機があるのでは?と。
もちろん、美容業界について必死で勉強したわけですが、その中で業界全体の停滞感にも問題意識を持つようになりました。

業界の働き方を変えるため「求人面から一石を投じたい」。美容師とサロンのどちらにもメリットを

美容業界の停滞感とは具体的にどのような問題でしょうか?

一言で言うと、働き方改革です。美容師はやりがいはありますが、きつい仕事でもあります。離職率も高いのが現状です。今のままでは美容師になろうと思う人も減ってしまいます。
そこを変えていくためには、週休3日制の導入や給与面など待遇の改善は必須の条件ではないでしょうか。働きやすい職場によい人材は集まっていくわけですから。

さきほど、「サロン側は新卒者がほしいと考えている」というお話しがありましたが、そうした面ではほかの業界とは違う面があるのでしょうか?

美容師は国家資格を必要とする仕事です。厚生労働省の認可を受けた養成学校で学んで、国家試験に合格しないと資格をえられません。そのため、養成学校が就職先を紹介するというのがこれまでの大きな流れになっていました。
けれども、新卒採用に縛られない人材確保の流れがあってもよいのではないかと思うのです。通年採用や中途採用の流れができれば、スキルのある即戦力の美容師に再就職のチャンスが広がります。そうすると、美容師が自身のライフプランを考えるうえで大きなメリットになります。

求人の条件を柔軟にすることが、働く環境やライフプランにもつながっていくのですね。

そうですね。そういう意味で社会貢献性のある仕事だと思っています。美容師の仕事の魅力があがり、よい人材が美容業界に集まるようになれば、業界全体の活性化にもつながると考えています。

取材日:2024年9月26日 ライター:加藤 道子

株式会社サロビ

  • 代表者名:岡田 之馬
  • 設立年月:2024年4月1日
  • 資本金:600万円
  • 事業内容:映像制作、グラフィックデザイン、WEB制作、システム開発
  • 所在地:〒460-0012 愛知県名古屋市中区千代田1丁目10-12 ネスパルド千代田402
  • URL:https://salobe.jp/Oparate
  • お問い合わせ先:052-908-3535

日本中のクリエイターを応援するメディアクリエイターズステーションをフォロー!

TOP