元歌手志望の代表、北海道にWebマーケの追い風を吹かせるまで。動画制作者育成スクールも運営

札幌
株式会社PRstore 代表取締役
Satoshi Sugubayashi
杉林 諭

動画・SNSを活用した、Webマーケティングを提供している札幌の株式会社PRstore。学校や企業の集客・売上に貢献し、「クライアントとクライアントの顧客の笑顔を創造する」をポリシーとしています。ミュージシャンを目指したり、エンタメ系の専門学校で職員を務めたりするなど、紆余曲折を経て起業に辿り着いた代表取締役の杉林 諭(すぎばやし さとし)さんに、これまでの経験や現在の事業、会社やご自身の将来についてお話しをお伺いました。

歌手デビューの夢敗れ、エンタメ学校の職員に。そこで養われた経営者の視座

立ち上げまでのキャリアを教えてください。

地元・室蘭の高校を卒業後、歌手デビューを目指して札幌へ出ました。アルバイトで生計を立てながら、シンガーソングライター活動を自力で続けていました。といってもショッピングモールで歌わせてもらうくらいなんですけれど。
21歳の時、芸能事務所から声がかかり東京へ舞台を移しました。メジャーデビューできる!と張り切っていたのですが、事務所との契約の時点で金銭面のトラブルに巻き込まれてしまい、結局デビューにはいたりませんでした。

歌手デビューの夢が絶たれてしまったあと、どうしたのですか?

東京に残ってもう少しこの過酷な環境で経験を積もうと、自分なりに音楽活動を続けていました。
25歳の時、仕事で知り合った社長から札幌で音楽やエンタメ系の専門学校が設立されるという話を聞きました。「立ち上げスタッフを募集しているから、これまでの音楽活動を生かして育成する側になってみては」といわれたんです。自分の経験が若い世代の支援になるならと引き受けました。仕事は、入学者数を増やすための広報職員でした。具体的な業務は、高校への出前授業、学校案内の動画やHP制作、LINE運用など広報全般です。最終的に31歳で広報課長になりました。

管理職にまで上り詰めて、そこから見えたのはどんな景色でしたか?

学校運営のノウハウや予算の立て方など、経営者側の知見が身につきました。これまで変化していく環境の中で、自分を守る術や、生きていくために必要な選択などを学び、人間として成長できたと感じています。すべて自分で選んできた道なので、後悔はありません。現在の会社経営にすべて生かされています。

シンギュラリティに耐えられる事業構築に向けた、大量の自己投資と深夜のアルバイト生活

PRstoreを設立したきっかけを教えてください。

研修がきっかけでした。AIが人間の知能を超える転換点が、2045年にくるというシンギュラリティの話を聞いたんです。これからはそこを見据えたサービスやプロダクトを生み出していかなくてはならないんだと気づかされました。
研修講師の方が60代の女性だったのですが、2045年の未来の話をその世代の人から教わっていることに違和感を覚えました。2045年に現役で活躍しているのは、自分世代のはずなのに、と。AIに負けない事業とは何か、自ら最先端情報を取得しに行きたいと強く思いました。同時に、多忙な日々の中で、勉強する時間を取るのは極めて困難だとも感じていました。
そんな時、仲のよかった上司が異動で大阪に行くことになり、これもステージを変えるタイミングなのかなと感じました。自分で掴む実績や、積み重ねた知識の方が資産になると思い、19年8月、32歳で思い切ってまずはフリーランスに転向しました。

会社員からフリーランスになって、気づいたことや得られたものはありましたか?

技術の面でも、人脈の面でもまったくの力不足だということをすぐに痛感させられました。無名のフリーランスが小手先でサービスを提供しようとしても、まったく歯が立たなかったのです。そこでやり方をすべてリセットし、訪問営業に使っていた1日10~12時間を大量の勉強時間にあてました。本腰を入れてマーケティングを学ぼうと、さまざまなセミナーや講座を受講し、生活費は夜間のグループホームでのアルバイトで賄うという生活です。

過酷な状況からどうやって事業を立て直したのですか?

生活は大変でしたが、未来を勉強しないと現状は変わらないという成長意欲の方が強かったです。この時間とお金をかけた自己投資で絶対に軌道に乗るという根拠のない自信が不思議とありました。
事実、人やものが売れる原理原則の理解を深め、マーケティングの本質を体得できたと実感しています。自己投資に時間とお金を割いたことが功を奏し、収益も徐々に伸びていき、フリー3年目、35歳の時、税制対策も兼ねて法人化しました。

積み重ねた知識で顧客企業を「業界No.1にできる」。道内にWebマーケティングの追い風を

いずれは会社を立ち上げたいという思いはお持ちでしたか?

元々起業願望はあったのですが、特にそれに向けて動いていたというわけではありませんでした。いろいろ条件とタイミングが重なって起業の道が拓いた、という感じです。

なぜ、札幌で会社を立ち上げたのでしょう。

札幌にはWebマーケティングに強い企業がまだ少ないと感じていました。動画、HP、SNSを用いたマーケティングのノウハウが十分ではない。
自分が習得したマーケティングの技術を札幌の経営者の皆さんに伝えられれば、業界No.1にできるという自信がありました。それだけで札幌を拠点にする意味があると思いました。

専門学校の広報の経験で身についたのは、動画制作やSNSを活用したZ世代の集客術

現在の事業内容について教えてください。

メインはホームページ制作と動画制作、それからLINEアカウントの構築代行、LINEのマーケティングツール「Lステップ」の運用です。Lステップは大学や専門学校、採用企業などが顧客対象となっており、アンケートで答えた学生のタグ付けしたキーワードに沿って個別最適化された情報がそれぞれに届くようになっています。
動画制作は、前職で高校生3000人以上の進路相談に乗っていたことがきっかけです。進路相談は、Z世代がどんなことを考えているのか、何がしたいのかなど、Z世代対象のマーケティングの意味もあったんです。そこでZ世代が最も興味を持っているジャンルが動画制作だと分かりました。そこで、Z世代集客のために、動画クリエイターの技術をレクチャーする取り組みを実施しました。現在でも専門学校の顧客が多いのはこの経験がベースにあるからです。

御社の強みを教えてください。

顧客の課題解決を第一に考えて、最適なマーケティング手法を設計して商品を提供することです。パッケージ化された商品はありません。
クライアントの課題をクライアントと一緒に見つけていく、もっといえばクライアントが気づいていない課題や、言語化できない課題も見つけてあげる。あとは処方箋のように、解決策となる商品を設計してお渡ししています。
提携している動画クリエイターが全国に1500人以上いるので、沖縄でも東北でもどこからでも案件に対応できるのも弊社の強みですね。

印象に残っている事例を具体的に教えてください。

札幌トヨタ自動車のWebマーケティングを行なった際、提供したサービスにとても満足していただいたことがありました。その結果、系列の自動車学校をいくつか紹介していただき、教習動画制作も手がけさせていただきました。
また、採用の応募者がほとんどなかった医院には、動画4本、HPのテコ入れ、Instagramの運用代行を提供しました。結果、動画を見て応募された方が前年の4倍にも増えたそうです。こちらも満足していただけた案件です。

育成スクールで全国に優秀な動画クリエイターを輩出。横のつながりで拡大していく案件

動画クリエイター育成スクール「UP!START」も展開されていますが、経緯や思いを聞かせてください。

きっかけは外注先の動画クリエイターたちのスキルレベルがバラバラだったことです。仕事を効率よく回していくには、優秀な人材が揃っていないと時間とお金が余計にかかってしまいます。そこで知人の経営者から、自分が持っている動画編集のノウハウを講義に落とし込めばいいとアドバイスを受け、教習動画を約150本作りオンラインセミナーを実施しました。現在入会者は130人ほどです。時には関東や関西に集まってオフラインで勉強するなど、交流の機会もあります。全国に横のつながり作って、互いの仕事につながればと思っています。

目指すのは道内Webマーケティング界のアイコン獲得!海外市場も視野に入れた事業展開を

今後どのような会社にしたいとお考えですか?

目標は、北海道でNo.1のWebマーケティング企業のアイコンを獲得することです。収益よりもあくまで顧客満足率やリピート率の側面で勝負していきます。
あとは、日本市場だけでなく、海外アジア圏の市場にも目を向けての施策をしていければと。今後、海外ビジネスで、自分たちには何ができるかを模索しながら2025年〜2030年は、最低年3回以上海外に視察・検証に行くつもりです。

一緒に働くクリエイターに対して、会社としてどのようなことを求めますか?

理念と価値観に共感できる人を求めます。理念は「クライアントとクライアントの顧客の笑顔を創造します」です。価値観は「誠実さに尽きる。そうでなければ仲間からもクライアントからも信頼を得られない」「ミラーニューロンを大事にし、相手のことを思って行動を起こせる人」「返報性の原理が理解できている人」「 憎めない力」です。
以上のことを私と一緒に大切にできる人となら、一緒にいい仕事ができると自信を持っていえます。

取材日:2024年10月22日 ライター:宮本 和加子

株式会社PRstore

  • 代表者名:杉林 諭
  • 設立年月:2021年11月10日
  • 資本金:5,000,000円
  • 事業内容:
    LINE構築代行・Lステップ運用コンサルティング、ビジネス動画制作、Instagram運用代行、SNS研修、広告運用代行、クリエイティブ制作、ビジネス写真撮影
  • 所在地:〒003-0826 札幌市白石区菊水元町6条1丁目7-28 6号室
  • URL:https://prstore.co.jp/
  • お問い合わせ先:050- 5236-044

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