WEB・モバイル2025.01.15

トータルデザイン制作会社が始めた、人気沸騰中の「宙のドーム」とは。伝えたい日本の木材の魅力

名古屋
プランエイチ株式会社 代表取締役
Nagisa Hayashi
林 渚

愛知県の刈谷と安城の2拠点で、グラフィックを中心としたトータルデザインを手がけるプランエイチ株式会社。新たな取り組みとして、国産ひのき材を用いたドームテントの開発・販売も手がけています。代表の林 渚(はやし なぎさ)さんがデザインの世界に飛び込んだいきさつやこれまでのキャリア、会社の強み、取り組みなどを話していただきました。

高校でデザインの楽しさに触れ、専門学校へ。26歳で独立の道へ

林社長がデザイナーを志したきっかけを教えてください。

高校時代に文化祭などでポスターやビラをデザインしている時に楽しさを感じ、ちょうどその頃に「グラフィックデザイナー」という職業があることを知って興味を持ちました。それで大学ではなくデザインの専門学校に進みました。

独立までにどのようなキャリアを重ねましたか?

専門学校を卒業してイベント会社で6年ほど勤め、そこでイベントや展示会に付随するさまざまなデザインに取り組みました。その後、グラフィックデザインの実力を強化したくて大手印刷会社に転職したのですが、その環境にうまく馴染めなかったのが独立のきっかけなんです。

実際に独立してみて、いかがでしたか?

フリーになったのが26歳の頃で、はじめは自宅をオフィス代わりにしていました。その後、喫茶店の跡地を事務所として借りることができたのでアルバイトの方と2人でデザインの仕事に取り組みました。

グラフィックを中心に、多様なデザインに挑戦。「右肩上がり」で成長中

どのようなデザイン物を扱っていたのでしょうか?

グラフィックデザイン事務所にする予定だったのですが、イベント会社時代に経験していた看板や立体物のデザインもやりたくなりました。いろいろ引き受けるようになって電動工具などの機器もたくさん導入したのですが、ある日近隣から騒音の苦情が入ってしまって、賃貸契約を更新できなくなってしまったんです。

それは大変でしたね…。

苦情が出ないような広めの物件を探して、刈谷に事務所を構えました。広い事務所に引っ越しただけでなく、アルバイトも2人に増えていたので「もうフラフラできないな」と感じて法人化に踏み切りました。ちょうど30歳になった頃でした。

プランエイチを起業されてからの道のりはいかがですか?

法人になってから12年が経ちます。会社の成長でいうと右肩上がりではあって、現在は4人のデザイナーと立体物を担当する2人の職人がいます。金属加工の職人として生きてきた私の父も、立体物を手がけながら新規事業のテント製作も担っています。

愛知県三河エリアを拠点に全国で活動

現在のビジネス拠点を教えてください。

現在は刈谷・安城の2拠点です。デザインオフィスとして機能している刈谷にはデザイナーが在籍し、プリンターなどの機材が入っています。安城には立体物の担当者がいて、木材加工やミシンなどの作業をする工場として使っています。顧客は全国にいて、沖縄から北海道まで活動実績がございます。

プランエイチの社名の由来は?

社名の由来は「企画屋・林」です(笑)。その時の直感で決めたのですが、もうちょっとおしゃれな社名にしてもよかったかなとも思っています。

現在手がけている事業を教えてください。

グラフィックデザインを中心に、付帯するツール一式を手がけています。企業のホームページやリーフレット、お店の開店時のツール一式やロゴマーク、コンセプトづくりなどを担当しています。

デザインをトータルで手がける理由

ツール一式を手がけるのは、何か意図があるのでしょうか?

私たちが事業を行っている三河エリアは製造業の企業が多いためか、一括発注を行うことがとても少なく、デザインであってもパンフレットはA社、ホームページはB社、動画はC社といったように個別発注する傾向があります。
でも、個別に発注してしまうと全体のコンセプトや会社のアイデンティティが引き継がれずに残念な仕上がりになってしまうことが多いんです。トータルに任せていただくことで企業価値も上げられると考え、熱意を持って説明することで共感いただいています。

プランエイチの強みを教えてください。

さきほどの話ともつながるのですが、デザイン業務をトータルで任せていただける体制を整えているのがプランエイチの強みかなと思います。デザイナー陣はヒアリングでお客さまの課題や本音を引き出すのがすごく得意なので、コミュニケーションを通じてしっかりと信頼いただき、伴走できています。

新規事業として“まちづくり”にチャレンジ。「評判も上々」な取り組みとは?

近年、新たなチャレンジをされていると伺いました。

これまではBtoBのビジネスを中心に手がけてきたのですが、1年ほど前からまちづくりや社会貢献につながるような新たなチャレンジを進めてきました。
そして刈谷市のプロポーザル案件を勝ち取り、地域に愛される亀城公園のにぎわい創出に取り組んでいます。

亀城公園のにぎわい創出というのは、どのようなものでしょうか?

2024年8月から25年3月まで、亀城公園に「コネクドーム」を設置しています。これは私たちが販売もしている国産ひのき材で作った、直径およそ6メートルのドームを活用して、イベントや飲食店を気軽に行える仕組みづくりをしています。
「コネクドーム」の使用料は1日当たり1,010円。すでにカフェなどに出店いただき、亀城公園に新たな交流が生まれています。近隣住民の方からの評判も上々で、これからさまざまなイベントも開催予定です。

ドームテントで伝えたい国産ひのきの魅力

1日当たり1,010 円で使えるって、すごくリーズナブルですね!

そうですよね。また、私たちが提供している国産ひのき材のドームテントは「宙のドーム」として特許も取得しています。1センチ単位の設計が可能で、国産ひのき材の魅力も伝えることができるんです。
実は、日本人にとって身近なはずのひのき材がとても貴重なものになりつつあって、台湾産ひのきもすでに出荷停止になっています。その一方で、日本ではひのきの魅力や希少性があまり周知されていないという現実があります。ドームテントを通じて日本の木材の魅力も伝えていきたいと思っています。

ドームテントを全国展開する予定はあるのでしょうか?

そういったお話をいただくことも実は多いのですが、少数精鋭で製作しているので大きく広げていく気持ちはあまりないのが現状です。それよりも、「宙のドーム」の思いや国産ひのき材の価値をしっかりと理解・共感いたただける方と深い関係性を築いていきたいという気持ちが強いです。

「宙のドーム」を気に入って、大切にしてくれるお客さまと出会いたいですね。

仕事の中に楽しさを見出す重要性。クリエイターにとって最も大切なこと

一緒に働いているデザイナーさんとの関係性を教えてください。

デザイナーは独立する人も多いため、組織の一員として縛ってしまうことの難しさを痛感しています。私自身も独立したので、独立したい気持ちもすごくわかります。だからこそ、一緒に働いてくれているデザイナーさんには感謝の気持ちでいっぱいで「愛おしい」とすら感じています(笑)。とにかく健康で気持ちよく働いていただいて、私たちプランエイチが大切にしているものを壊さずにいけたらと思っています。

最後に、世の中のクリエイターにアドバイスをお願いします。

「お客さんの気持ちにどれだけなれるか?」がクリエイターにとって最も大切なことだと思っています。自分が作りたいものではなく、お客さんに役立つものを生み出すことが重要です。
洞察力を深めて目線をうんと広くして、5年10年先まで見据えた提案をするのが、いいデザイナーだと私は思います。10年後、お客さまのビジネスがどのように成長しているかまでを想像するには、経験値が必要です。自分の引き出しがいっぱいになるまで、さまざまなものを吸収してください。
あとは、仕事の中に楽しさを見出すことも大切だと思います。楽しくないと長続きってしないですよね。

取材日:2024年10月16日 

プランエイチ株式会社

  • 代表者名:林 渚
  • 設立年月:2008年
  • 資本金:300万円
  • 事業内容:広告業/グラフィックデザイン/各種印刷/広告・グッズ制作/販促企画/看板制作/NCルーターによる立体看板&文字制作/Webサイト制作&デザイン/内装ディスプレイ/イベント企画/ジオデシックドーム製作販売&レンタル(geodesics.info)
  • 所在地:〒448-0025 愛知県刈谷市幸町3丁目2-6
  • URL:https://plan-h.info/
  • お問い合わせ先:https://plan-h.info/contact/

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