出会いの連鎖を巻き起こし、人を笑顔に。イベントの人材派遣から運営まで、ワンストップで
大阪の株式会社エイトキューブは人材派遣業からスタートし、現在はイベントをゼロから企画して人を集め、運営するところまでを一気通貫して請け負うことができる会社です。関西弁交じりの語り口が特徴の代表取締役・橘 恵治(たちばな けいじ)さんは、明るくバイタリティーあふれる存在。周りには、自然と「人」が集まり、そして繋がっていきます。これまでの事業や、初めてのイベント「KOMEKON」について、また10周年を迎えた会社・ご自身の未来について伺いました。
社長と仲良くなったことがキーに。パチンコ屋から人材派遣会社に転職
立ち上げまでのキャリアを教えてください。
もともとパチンコ屋で社員として働いていました。そこで、パチンコ屋に人材派遣を行っている会社とやり取りしている間に仲良くなって、人材派遣会社に転職。
紆余曲折あって、人材派遣会社が倒産することになり、事業を引き継ぐかたちで会社を立ち上げました。
当時は経営の知識なんて何もなく、とにかく「動かないと」っていう気持ちだけでしたね。生活を守るために自分が立ち上がるしかないと感じたんです。そう思ったら、不安よりも前に進む気持ちが勝りました。
なるほど。では人材派遣会社からスタートしたのですか?
そうですね。最初はイベントへの人材派遣をメインとしていました。そのうち人材派遣だけでなく、イベント自体の運営を任されるようになっていきました。
運営をするにあたり、働く人の派遣から、タレントのキャスティング・アテンド、キャラクターショーの運営などさまざまな経験をしました。
アルバイトや派遣スタッフとの現場でのコミュニケーションを通じて、学びも深まりました。「この仕事を楽しいと感じてもらうためにはどうしたらいいか」「働く人が次にまた来たいと思う現場ってどんなところだろう」といったことを考えながら、一つ一つのイベントを進めていきました。
人材派遣からイベント運営まで一気通貫。人との出会いが広がり10年目
どのような流れでイベント自体の運営を任されるようになったのか聞かせていただけますか?
人材を派遣する側として、イベントには必ず顔を出します。アルバイトの子たちに指示を出したり、人が足りないときには自らスタッフとなって入ったりもします。そうするとイベントを企画立案している広告代理店と仲良くなって「橘ちゃん、運営からできるんちゃうん?」と背中を押され、やってみたらできました。
これって実はすごく幸運なことだったと思っています。代理店の人たちが「一緒にやりたい」と思ってくれる関係を築けたからこそ、任せてもらえたんです。信頼関係がなければ、イベント運営なんて絶対に任されません。
ここでも仲良くなってから、仕事につながったんですね。想像できますが、その後はどんなかたちで事業が軌道に乗っていったのでしょうか?
イベントでつながった人からまた次の現場を紹介してもらうことも多く、ありがたいことに会社を立ち上げて10年ほどになりますが、忙しくさせていただいています。イベントがある土日は必ずといっていいほど休めないので、家族には苦労をかけていますが……。
振り返ると、人との出会いがすべての原動力でしたね。「この人と一緒に何かやりたい」と思いあえる出会いが続いてきたからこそ、10年やってこられたのだと思います。
達成感が魅力。臨機応変の連続で「人」が成長
イベント業の魅力ってどんなところですか?
達成感ですかね。
イベント当日になってみないとわからないことだらけなんです。バイトの子が来ないかもしれない、荷物が届かないかもしれない、天気が悪いかもしれない……臨機応変に対応しないといけないことの連続なんですよ。だけどそのトラブルを乗り越えてイベントを終えると、「楽しかった」の一言に代わっているんです。
なるほど。それはイベントの醍醐味ですね。
ほかにもありますよ。
派遣としてきた方が、回を重ねるごとにできることが増えている姿を見るととてもうれしいです。成長してるやん!って。これまですぐに「どうしたらいいですか」と聞きに来ていた子が考えて動けるようになっているところを見ると涙が出そうになりますね。
イベントスタッフは、自分で考えてトラブルに対応しないといけません。しかし、このスキルはどんな業界にいっても必要とされることだと思います。
ゼロから企画を立ち上げた「KOMEKON」。10周年の節目に大成功
今年はゼロから企画を立ち上げて、イベント運営したと伺ったのですが…。
はい。これまでは広告代理店が企画したものに乗っかるかたちで運営と人材派遣をしていたのですが、今回は企画立案のところ、いわゆるゼロからスタートしてイベントをしました。
これまでに培ってきたノウハウや人脈の集大成のようなかたちで実現できたことは大きな自信となり、10年を迎える会社にとってもよい節目となりました。
どのようなイベントですか?
「SHIGA KOMEKON 2024」というイベントです。滋賀ふるさと観光大使を務めているミュージシャン・西川貴教さんととあるイベントで仲良くなって一緒にすることになりました。
また仲良くなったんですね(笑)。
そうなんですよ。同じ関西同士ということもあり意気投合しまして。
「お米の魅力を発信できるようなイベントをしたい」という西川さんの希望からスタートして、出身地であり、米どころでもある滋賀県で2024年11月に2日間、実施しました。
滋賀のいろいろな品種と日本各地から厳選した、ごはんに合うおともを味わってもらうというイベントです。
このイベントはお米さえあれば、日本中どこでもできるイベントなので、今後は全国各地で「KOMEKON」を開催していきたいと思っています。
イベントを通して成長する「人」を見たい。目指すは47都道府県に支社を
今後の目標についてお伺いできますか?
現在、大阪本社として、東京、名古屋に支社がありますが、これを47都道府県に広げたいと思っています。ライブ、フェスなどのイベントをしようと思ったら必ず「人」がいるんですよ。
人を手配できて運営のノウハウもあるわれわれが全国展開することで、「エイトキューブにお願いすれば全国どこでもイベントができる」という環境を作っていきたいです。
やはりイベントを開催していきたいという思いが強いのですね?
いえ、一番は「人」。イベントを通して成長する人を見たいんです。
人生うまくいかないな、楽しくないなと思っている子をうちで引き取っていろいろなイベントを経験してもらって、誰かと話したりつながったりすることで、「楽しかったな。明日もがんばってみようかな」って思ってもらえることが喜びですね。
飲食店オープンで“恩返し”。次はみんながつながる番
人と人をつなげたいという思いから今年、飲食店をオープンされたとか?
そうなんですよ。大阪の東心斎橋という場所で「CHOTTO BAR」というお酒が楽しめるお店をオープンしました。来年25年の1月にはもう1店舗、開店します。
儲かる、儲からないじゃないんですよ。お店に来たわたしの知り合い同士がつながって、仲良くなったり、そこから新しいビジネスが生まれたりしたらいいなという思いはありますね。
わたし自身が人とのつながりに支えられてきたこともありますので、恩返しといったら恥ずかしいのですが、“みんなが楽しめるような空間にしたいな”という思いは根底にあります。
恩返しって、もう引退でもするかのようないい回しに聞こえますね。
50歳で引退しますよ。家族を一番にする生活をして、妻に恩返ししていきたいと思っています。週末はイベント業ばかりで、家族らしいことは何もできていなかったからです。50歳までできることをやって、それから先は家族を楽しませていきたいと思います。
取材日:2024年11月20日 ライター:田口 有香
株式会社エイトキューブ
- 代表者名:橘 恵治
- 設立年月:2014年10月20日
- 資本金:1千万円
- 事業内容:企画・制作事業、業務請負事業、飲食事業部
- 所在地:〒541-0043 大阪府大阪市中央区高麗橋2丁目6-10 新高麗橋ビル7F
- URL:https://8-cube.co.jp/
- お問い合わせ先:06-6926-8820