非営利団体の思いをWebやデザインで形に。課題の“自分事化”で社会に一石を投じる
京都の株式会社シンクマは、非営利団体の広報・宣伝の企画・デザインを展開する「株式会社きかんしコム」から独立してできた会社です。主にICTソリューションで、お客さまの事業運営をサポートしようと子会社化されました。これまでに政党や労働組合、福祉・医療分野といった非営利団体のWEBサイト構築などを行ってきた同社。今回は代表の武村 忍(たけむら しのぶ)さんに、会社の設立から事業内容、そして展望について伺いました。
未経験の業界に「手探りの状態からのスタート」。子会社化されたワケ
立ち上げまでのキャリアを教えてください。
私は1998年頃に神戸のベンチャー企業で行政関連のホームページやシステム開発に携わっていました。当時はどこも同じスタートラインでITに向けてチャレンジしており、みな手探りの状態からスタートという感じでした。1年半ほど勤めた後に個人事業主としてWeb制作を軸に独立。2002年頃までいろいろなメーカーや企業と取引していましたが、次のステージとして会社化のため資金繰りをはじめたところ、「このままやったら自転車操業になるなぁ」と判断しました。まずは営業力をつけないといけないと考え、それまで培ってきたノウハウを生かして大阪の制作会社やシステム開発などの会社を転々としました。
それから個人的な事情で大阪から京都に移りました。その際に非営利団体の広報・宣伝の企画・デザインを行う親会社の「株式会社きかんしコム」が採用の募集をしていて、そこが前職ともつながりがあったという経緯があり、入社しました。Web部門に配属後、きかんしコムからこの部門を子会社化するという話が出てきて、前任の社長と一緒に立ち上げていきました。
会社を設立したきっかけを教えてください。
事業的に印刷がメインになっていましたが、WebやICTに特化して強みを発揮できるよう子会社化した狙いが当時はありました。
「新しいことをするのが好き」。好奇心が活動のモチベーションに
いずれは会社を立ち上げたいという思いはお持ちでしたか?
2002年に個人事業をやっていた時に様々な方と協力して事業を展開していたので、社長的な動きは経験していました。そのため、「やらない」という選択肢はありませんでした。
気づいたら社長さんになっていたということですね。
そうですね。私自身、新しいことをするのが好きでして、例えばお客さまの会社の風土を知っていくことが好きです。「この人はどういう人なんやろ?」という興味や好奇心が、私自身の仕事をしていく上でのモチベーションになっています。
貴社が事業を通して行っている「挑戦」を教えてください。
きかんしコムも含めてなんですけど、一般企業がお客さまではありません。労働組合や社会福祉法人、大学、民主医療機関連合会といった利益を求めていくということに主眼を置いていないお客さまがメインになります。
そのため、サイトやシステムを通じて、お客さまの思いや活動、世に訴えたいことを、最適に伝えていくためにはどうすればいいのかが、会社全体での「挑戦」になっているのかなと思います。
「社会にどう影響を与えるか」を日々意識。Web制作からデザインまで手掛け
業務内容を教えていただけますか?
Webサイトの企画・設計・デザイン・開発など、構築にかかわる業務全般を行っています。また、Webサイトの運営やコンサルティング、スマートフォンアプリなどのシステム開発、グラフィックデザインなども手掛けています。
なるほど。ちなみに現在従業員が武村さんを含めて4人で会社を動かしているそうですね。
そうですね。「我々がやる仕事は社会にどう影響を与えるか」というのを第一に考えながら、少数精鋭で事業を行っています。
売り上げより顧客の思いを形に。顧客の課題を「自分事」として考える
先ほど、社会福祉法人や大学、医療法人をメインに取引しているとおっしゃっていたのですが、現在行っている具体的な活動内容を教えていただけますか?
たとえば、マイナンバーカードで紙の健康保険証が無くなるという話が出ていますよね。しかし、マイナンバーカードを持っていない人や持っていても使い方がわからない方々がまだまだ数多くいらっしゃいます。そのような方々のためにも、健康保険証の重要性を伝え、存続を訴えるためのWebを活用した宣伝や広告をおこなっています。
このようなお客さまの社会への問題意識を伝えるための宣伝をICTで実現するために、協力させていただいております。それと重要になってくることとして、決して他人事と考えずに自分事として国内情勢を勉強してインプットとアウトプットすることが大切だと私は考えます。
知識と経験生かした「お客さまに役立つプロダクト」づくりに熱意
今持っている短期的な目標、長期的な目標はありますか?
短期的な目標としてはこれまでの経験を軸にお客さまに役立つプロダクトを作りたいと思っています。
長期の目標は難しいですね。AIもここ数年で格段に性能を上げており、この10年後、今存在している業務が成立しているかどうか未知数ですしね。
優れたチームを目指し、心がけていること。「『嘘』をつかない」人とともに
優れたチームを構築するための秘訣は何だと考えていますか?
「ミス」をしても許せる状況を大事にしていきたいです。ミスしたことを責め、誰かのせいするのではなく、次にどのように対策を取るかを考えていくことが重要ですし、「心理的安全性」を醸成するのが私の仕事でもあります。週1でミーティングを開き、「ここどうしたらええの?」って問題提起してみんなから対案をもらうなど、個人の自主性を認めていくことで、チームとしての一体感を生んでいきたいです。
一緒に働くクリエイターに対して、会社としてどのようなことを求めますか?
「嘘」をつかないことです。自分を大きく見せずにわからないことはわからないでいいです。誰しもミスはあります。スムーズな事業運営のためにも、正直で素直な方を求めています。
未来に向けてどのような社会的影響を残したいと考えていますか?
私たちだけでなく、お客さま自身が社会問題に対して正さなければならないという思いを持ち、活動されています。私たちは、その実現のためにお客さまに親身に寄り添い、手厚くサポートしていきたいと思っております。
取材日:2024年12月11日 ライター:亀田 健太
株式会社シンクマ
- 代表者名:武村 忍
- 設立年月:2017年6月
- 資本金:1千万円
- 事業内容:Webサイトの構築と運用、スマホアプリの開発、システム開発 SEO対策や広報や広告の印刷など
- 所在地:〒601-8205 京都府京都市南区久世殿城町330番地1(京都本社)
- URL:https://www.think-m.co.jp/
- 「株式会社きかんしコム」ホームページURL:https://kikanshicom.jp/company
- お問い合わせ先:075-935-1115 FAX:075-935-5100
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