深く根ざしたデザインを!世の中をデザインの力で、より便利に、より快適に、より美しく
福井
Ait Design株式会社 (左)代表取締役 / デザイナー (右)アートディレクター / デザイナー
Shohei Kohno / Shogo Takasaka
河野 翔平 氏/高坂 翔悟氏
幅広いエリアや業種でWebサイト制作やグラフィックデザイン、ブランディングなどを行う福井のAit Design(エイトデザイン)株式会社。デザインの力で課題を解決することを目指し、丁寧なヒアリングで質の高いコンテンツを提供しています。心がけているのは、クライアントに深く根ざすようなゆるぎないデザイン。代表取締役の河野 翔平(こうの しょうへい)さんと、アートディレクターの高坂 翔悟(たかさか しょうご)さんに、起業までの経緯やデザインへの情熱、ビジョンについて伺いました。
それぞれにキャリアを重ねた2人のデザインで課題解決
お2人は同じ学校で学んだ同級生だそうですね。
河野さん:金沢市のデザイン専門学校、国際デザインカレッジ金沢の同級生です。
高坂さん:私は石川県出身で、河野は福井県から通っていました。当時からいつか一緒に仕事できたらいいね、なんて言っていました。
それぞれ、なぜデザイナーの道を選ばれたのでしょうか?
河野さん:昔から美術の授業が好きで、特にタイポグラフィーのように文字を装飾する授業が非常に印象に残っていました。そんな仕事がないかと調べ、グラフィックデザイナーに行き着きました。
高坂さん:当初は建築関係を志望していました。幼少期から音楽や映画への興味が強くあり、 特に大学時代は毎日音楽を聞き漁って、映画を毎週10本借りて返すような生活をしていました。大好きなCDジャケットや映画のポスターを作りたいと思うようになり、大学を辞めグラフィックデザインの専門学校に入ることを決意しました。
エイトデザインを立ち上げるまでのキャリアを教えてください。
河野さん:卒業後は福井県の出版社と制作会社でデザイナーとして計6年勤務し、いつか独立したいなと思っていました。コロナ禍を経てリモートワークが普及し、そのタイミングで独立を決意しました。その後、クライアントの信頼とより大きな仕事を獲得したいと考え、2023年に法人化しAit Design株式会社を設立したという経緯です。
高坂さん:私は卒業後、広告代理店でデザイナーとしてつとめた後、2018年にフリーランスになりました。はじめはデザイン1本では食べていけなかったので、アルバイトもしつつの生活でしたね。その後、河野からも業務委託で仕事を受注するようになり、2024年にAit Designに参画することになりました。
河野さん:現在は2人体制で、私がプロジェクト全体のマネジメントとデザインを、高坂がおもに企画立案やコンセプトメイクを担当しています。
社名の由来をお聞かせください。
河野さん:「Anything imperfect things」の頭文字を取り名付けました。不完全なものや完成していないものというイメージです。デザインを必要とする人たちは目標に向かっていたり、課題があったりという場合が多いので、デザインの力で不完全なものを完全なものに導き、課題解決していきたいという思いを込めました。
言語化と高いデザイン性で本質に根ざすものを
現在の事業内容について教えてください。
高坂さん:Webサイトやグラフィックデザインの制作、広告宣伝の企画・制作など、いろいろやらせていただいています。現在のところ、約7割がWeb関係、約2割がグラフィックデザイン、残り1割がブランディングという割合ですね。
幅広くデザインを手がけておられますが、御社の強みを教えてください。
高坂さん:ロゴマークのみ、チラシのみなどの一部分のデザインはもちろん、ブランディングやWebサイトがどう運用されていくかなど、スタートから終わりまでトータルで考え、制作できることが弊社の強みです。短期で消費されるデザインではなく、企業やブランド、個人のお客さまにも、きちんと資本となって残り続けるもの、根っこの部分に深く根ざすようなものを日々模索しながら作っています。
河野さん:福井を拠点にしていますが、これまでの仕事の約7割が東京・大阪・名古屋の仕事です。顧客は福井の小さな町工場から上場企業まで幅広く、制作ジャンルもWebサイトからグラフィック、販促ツール、チラシまで手がけています。エリアも業種もジャンルも幅広く、ある程度包括的なご提案や全国シーンで戦えるようなアウトプットを出せることも、大きな強みだと思っています。
デザイン制作の際、大切にしていることはどのようなことですか?
高坂さん:クライアントの思いを言語化するために、ヒアリングの時間をかなり多めに設けています。質問項目も細かく用意して打ち合わせに臨み、表面的な要望だけではなく本当は何が課題なのか、何に悩んでいるのか、何に困っているのかをじっくり聞くようにしています。河野はとても器用なデザイナーなので、カッコイイものから美しいもの、かわいいものまで多彩なデザインができます。コンセプトの考案や明文化は得意な私が担当しており、互いの長所を生かし、相乗効果を生み出しているというか、2人のバランスがいいなと思っています。
深く関わって魅力を知り、クライアントの思いを形に
今までの仕事の中で印象に残っているものは?
河野さん:これまで代理店を通して請け負う仕事も多かったのですが、今年から方向性を変え、できるだけ地元北陸のお客さまから直接仕事をいただくことを重視してきました。その中で、今進めている福井県のパーソナルジムのリブランディングとコーポレートサイト制作は、弊社としてこれまでにないレベルで深い部分から関わっています。オーナーの頭の中だけにあったコンセプトを言語化し、会社の存在意義や方向性を示す、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)などの重要な部分を任せていただき、非常にやりがいを感じています。思いや考え方をクリエイティブにのせることで、厚みのあるデザインができました。 (RING FIT コーポレートサイト https://ringfit.jp/)
高坂さん:私は福井市の海岸沿いにあるプライベートヴィラのリブランディングが印象に残っています。コンセプト設計からネーミング、ロゴやブランドサイト制作もトータルで行いました。一棟貸しのリゾート施設で、魅力を知るために実際に宿泊もさせていただきました。部屋の窓が全面開放になり、海と空が一面に広がることで青色の四角になるんです。そこから着想を得て「BLUE SQUARE」という施設名を思いつきました。景色や自然、ゆったりと流れる時間の贅沢さをコンセプトとして、デザインも全体的に青を使用したテイストで「BLUE感」を演出しました。 そのほかにも施設の素晴らしさが最大限に伝わるようさまざまな工夫をこらし、クライアントにも評価していただけました。 (BLUE SQUARE https://bluesquare-echizen.com/)
デザインのインスピレーションはどのようなところから得ていますか?
河野さん:特に意識はしていませんが、本当にいろいろな業種のお仕事をいただいているので、その都度参考サイトや情報を調べて、表現方法を広げてきた感じです。
高坂さん:本人はこう言っていますが、休みの日に「こんないいサイトを見つけた」と連絡してくることがよくあります。お互いに日々アンテナを張るよう心がけています。
本質に根ざすデザインを生み出し、世界を変えていく
今後どのような会社にしたいとお考えですか?
河野さん:先ほども方向転換したと話しましたが、今後も直接の案件、地元福井や北陸のお客さまからいただく仕事を増やしていきたいと考えています。これからも幅広い分野で、本質に深く根ざすようなデザインを提供していきたいです。
高坂さん:やはり決定権のある方と直接やり取りする方が健全と言いますか、 バイアスのかかっていないやり取りができるなと思っています。あとは、現在多くのお仕事をいただいており、非常にありがたいことなのですが、業務量的にはパンパンの状態です。制作マシーンになってしまいがちな部分があるのですが、本来デザインはそういうものではないと思っています。もっと面白いアイデアが飛び交うようなクリエイティビティあふれる組織になれればと考えています。キチキチではなく、のびのびワイワイ進められるようなデザイン事務所にしていきたいです。
一緒に働くクリエイターに対して、会社としてどのようなことを求めますか?
河野さん:私たちはデザインには世界を変える力があると思っています。一緒に働く人にもその考え方、哲学に共感してほしい。デザインが好きでデザインときちんと向き合えて、ワクワクして楽しいと思えるような、そんな人に仲間に入ってほしいですね。
高坂さん:ほかの会社さんもそうだと思いますが、弊社もかなりデザインのクオリティーには妥協しません。ただの仕事としてデザインを捉えるよりは、もっとストイックにクライアントに届けたい、いいアウトプットをしたいという情熱がある人がいい。おそらくそうでないと続かないと思います。
最後に、クリエイターへのメッセージやアドバイスをお願いします。
河野さん:いろいろなものにとにかく触れることが重要だと思います。グラフィックデザイナーであれば、ポスターやロゴなど。良いものを見て取り入れれば、良し悪しが分かってきてセンスも磨かれていく。やはりインプットが1番大事です。
高坂さん:何にでも興味を持つことが大切です。デザインの仕事は、お客さまの業種もさまざまなので、選り好みはできません。常日頃からいろいろなことに興味を持ち、リサーチしてみたらいいのではないでしょうか。一方で、一人一人がそれぞれ積み重ねてきた名前のついてないカルチャーもあるはずです。その人らしさを形づくるようなもの、小さな頃からずっと植物が身近にあるとか、石ころをちょこちょこ集めていたとか。そんな経験も非常に大切で、それを見つけられたクリエイターは強いと思います。
取材日:2024年12月16日 ライター:酒井 恭子
Ait Design(エイトデザイン)株式会社
- 代表者名:河野 翔平
- 設立年月:2023年8⽉4⽇
- 資本金:200万円
- 事業内容:グラフィックデザインの制作、広告宣伝の企画・制作、ウェブサイトの制作、システム開発、印刷物の製作及び販売、前各号に附帯する一切の事業
- 所在地:〒918-8012 福井県福井市花堂北2丁目9-2
東京オフィス:〒158-0082 東京都世田谷区等々力2-35-22エスセナーリオ等々力403 - URL:https://ait-design.com/
- お問い合わせ先:HPのCONTACTページ(https://ait-design.com/contact)より