軽いフットワークと対話でITの“分からない”に寄り添う。講義に訪れた「師匠」との出会いが転機に
広島から全国の顧客のもとへ出向き、課題解決に向けて「脳みそがちぎれるまで考え抜く」。そう話すのは、アプリ開発やWeb制作、SNS運用サポートなど幅広い事業を展開する合同会社SUPER KAWAII(スーパー・カワイイ)の代表・大田 翔也(おおた しょうや)さんです。進路に思い悩んでいた大学時代、とある講義に訪れた「師匠」との出会いが大田さんの人生を大きく変える契機になったのだとか。28歳で起業した大田さんが歩んできた道のり、理念である「やさしく、つよく、おもしろく」に込められた思いを聞きました。
ぼんやりと抱いていた目標が、師匠との出会いで明確になり、20代で起業
合同会社を立ち上げるまでのキャリアを教えてください。
福岡の大学で経営学を学んでいた頃から「いつかは起業したいな」という思いはあったのですが、当時はただぼんやりと考える程度でした。憧れを抱きながらも流れで就職活動を始め、企業の方と面談する度に「もしかしたら会社員には向いていないかもな~」と感じ、悶々と過ごしていた頃、師匠となる方との出会いがありました。
当時、起業に関する授業を取っていたのですが、そこへ講師として来られたのが前職の社長であり、今も師匠と仰ぐ方でした。講義の後、すぐにアポを取り、「とにかく起業したいんです」と相談を持ち掛けました。「何かしたいことはあるの?」という問いに「特にありません」と答えたところ、「プログラミングをやってみないか」と勧められ、師匠の会社が運営しているプログラミングスクールへ通うことになったのです。
卒業式だけを残した大学4年生の1月から3月にかけて、沖縄でプログラミングを学ぶ生活が始まりました。いただいていた内定もお断りし、身ひとつで沖縄へ飛び、スクールに没頭する日々が始まりました。
1日10時間、週5日でプログラミングを学びました。2カ月間のスクール終了時には、クラスでトップとなっていた私に、「うちの会社で働かないか」と師匠が声をかけてくれ、入社しました。
入社後は、プログラミングスクールの講師を中心として、コワーキングスペースの運営、クリエイティブワーク、それら会社が経営する三つの業務を担当。忙しさに加え、ときには厳しい指導を受けることもありましたが、いずれ独立するためには必要な“愛のムチ”と受け止め、社会人として一人前になるための学びとして必死に吸収しました。
20代という若さで合同会社SUPER KAWAIIを設立したきっかけを教えてください。
入社3年目を迎えた頃、いきなり取締役に抜擢。「ポジションが人をつくる」という社長の言葉に背中を押され、与えられた仕事をこなす側から、仕事をつくり利益を生み出す側としてがむしゃらに働きました。入社から丸4年が過ぎ、そろそろ自分でやってみたいな、という思いがつよくなり、社長に相談しました。最初は反対されましたが、自分が生み出す仕事に挑戦したい、という私の思いは変わらず、送り出してもらうこととなりました。
独立とは言え、当初は広島の実家に戻り、フリーランスというスタイルで人づてに来る仕事をこなす、という形でスタート。その後、インボイス制度が施行されたのをきっかけに28歳で起業を決意し、合同会社SUPER KAWAIIを立ち上げました。会社を運営することは、より厳しい環境に身を置くことになりますが、学生時代から思い描いていた目標を実現するためにも起業という決断をしました。
SUPER KAWAIIという社名の由来について教えてください。
師匠から「世界を見据えた名前を付けなさい」と言われていたので、日本語の中から世界にも通用しそうな言葉として“カワイイ”を選び、響きの良い“スーパー”を付けて、アルファベット表記にしました。
今は、ITに関連する受託開発業務を主としていますが、いずれはWebを利用した自社サービスを提供する事業にも挑戦することを見据えました。例えば、通販サイトやサブスクリプションを提供するAmazonのような事業展開も可能性としてはありうる、という思いもあり、世界に通用する社名を考えました。
お客さまの困りごとに耳を傾け、考え抜く。そして寄り添い続けるパートナーとして
広島で会社を立ち上げられ、香川にも事業所を置かれている理由を教えてください。また、現在の事業内容について教えてください。
香川には、前職でつながりのあった方が福祉関係の事業をされていて、多方面に関わりを持たれている方なので、IT系の相談相手として紹介してもらうことが多く、その方のオフィスを事業所としています。
前職で役員になってからの2年間は、全国各地へ出張していたので、いろいろな人とつながることができ、起業後にもそのご縁が役立つことが多くあります。そういったつながりを生かしながら、事業の効率化のためのシステム構築や新規事業に必要なアプリ開発、人材採用のためのホームページ制作といった案件などを手掛けています。
最近手掛けた案件の中では、介護関係の方からのご相談で、服薬を管理するアプリの開発を行いました。ちょうど昨年末に納品したばかりですが、現場の声として好評をいただいているようでうれしく思っています。ただ、現場で活用いただく中での改善点も見つかることも多く、納品して終わりではなく、いただいたフィードバックへの迅速な対応を心掛け、更なるブラッシュアップを図るようにしています。

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貴社の強み、そして企業理念についてお聞かせください。
弊社の強みとしてはまず、フットワークの軽さが挙げられます。全国どこへでもご相談をいただいたお客さまのところへ足を運び、直接お会いして話に耳を傾けることを大切にしています。事業内容として、お客さまの業務に関するお悩みや困りごとに関する施策をご提案するわけですから、直接お話を聞くことが第一と考えています。また、仕事の現場を見せていただき、そこで働いているスタッフの方とお会いすることも大切にしています。現場の空気を共有することで、他人事ではなく自分事としてお客さまの困りごとについてより深く考え、ご提案をすることができると思うからです。
しっかりと現状を把握したうえで、脳みそがちぎれるまで考え抜き、最高のユーザー体験をご提供できるよう取り組んでいます。そのためには、丁寧なコミュニケーションも欠かせません。専門用語の多いIT関連の打ち合わせでは、言葉選びにも気を付けながら、お互いにとって心地良いコミュニケーションを心掛けています。さらに、困りごとはいつでも気軽に相談していただけるパートナーでありたいと考えています。
お客さまに対してプロフェッショナルとしての対応を実現するために、「やさしく、つよく、おもしろく」という理念を掲げています。目の前に困っている人がいれば迷わず手を差し伸べる“やさしさ”。その手には、本物の力が備わっていて確かに助けることができる“つよさ”。そして、さらにプラスアルファの“おもしろさ”を提供できる遊び心。それらが三位一体となった時、そこには人が集まり、何かおもしろいことが生まれる場ができると信じています。
会社としての土台を固め、柱を増やす。2年目、そしてその先の未来を見据えて
会社立ち上げから2年目となりますが、今後の展望や将来のビジョンなどをお教えください。
沖縄の会社から独立以降、フリーランスを経て起業して4年が経ちますが、やはり1人は寂しいと感じます。エンジニア、デザイナーなど、ともに仕事に携わっている仲間はいますが、同じ釜の飯を食う、という関係となると自社スタッフがほしいなと。そのために必要なのはやはり資金ですし、2年目の今年は土台作りを頑張りたいと思います。 同時に、自社サービスの提供にも前向きに取り組みたいと考えています。具体的には、情報を集め、精査する力、自分で物事を考え、判断する力を身に付けてもらうための教育です。社会人3~4年目を迎えた人に向けた講習会を企画、実施の実現に向けて思索しています。
「3本柱を持つように」というのは、起業に際して師匠からかけられた言葉です。柱となる事業を三つ持っていれば何とかなる、という意味で、2年目の今年はまず柱を2本に増やせるよう、そしてその先の未来には、どっしりとした3本の柱が立てられるよう頑張りたいと思っています。

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若いクリエイターたちへのメッセージをいただけますか。
これから何かを目指そうとしている人たちには、まずは“素直さ”を大切にしてほしいです。先輩や上司から何か指摘された時には、一度はそれを飲み込んで考えてみる。そのうえで自分なりに学び取り、力に変えていける人であってほしいと思います。自身の考え、芯はしっかりと持ちながらも、周りの言葉に耳を傾ける素直さがあれば、成長のチャンスはどんどん広がると思います。
取材日:2025年1月17日 ライター:村上 雅水
合同会社 SUPER KAWAII/SUPER KAWAII,Inc.
- 代表者名:大田 翔也
- 設立年月:2023年10月
- 資本金:1,000,000円
- 事業内容:システム・アプリ開発/ホームページ制作/デザイン制作/SNS運用サポート/写真・動画撮影/ECサイト制作
- 所在地:〒730-0051 広島県広島市中区大手町1-1-20相生橋ビル7階A号室
- URL:https://super-kawaii.net
- お問い合わせ先:info@super-kawaii.net