異色の経歴を経て起業。ほとばしる“Netsujo”で体温あるデジタルソリューションを世界へ
京都市を拠点に新時代のインターネットと言われるWeb3の領域でコンサルティングやマーケティングをメインに活動している株式会社Netsujo。(以下、Netsujo)代表取役の飯田 友広(いいだ ともひろ)さんは、警察官、喫茶店のバリスタなどの経験を経て起業。クライアントの求める要望に対し、そこでのさまざまな経験があったからこそ柔軟な対応や提案ができたといいます。「体温のあるデジタルソリューションを世界中に届ける」というミッションについて、その挑戦の背景や展望について話を伺いました。
警視庁警察官、バリスタを経て、内なる熱情を糧に起業
立ち上げまでのキャリアを教えてください。
私は「警察官になりたい」という夢を追いかけて小学生3年生から高校生まで剣道に通っていました。高校卒業後すぐに警察官になる道もありましたが、大学へ進学し、その後、夢の警察官になることができました。しかし、実際に勤務するなかで「本当にこの仕事をしたかったのだろうか」というモヤモヤを持ち始めました。「こんな悩みを抱えながら続けて良い仕事ではない」という自責と「でも他に何をしたいのか分からない」という迷いのなか、葛藤する日が続いていました。そんなとき、夏季休暇に喫茶店巡りをしようと京都を訪れました。
ある喫茶店の扉を開けた瞬間に「ここで働こう」と直感的に思い一念発起。夏季休暇明けの出勤で、上司に辞職を打診し、2016年10月に京都へ移住しました。その喫茶店で1年ほど勤務していく中で、暗号資産に関心を持ったことを発端に、暗号資産の基盤技術「ブロックチェーン」に興味を持ち始めたんです。エンジニア未経験でも入社可能な大阪のシステム会社にたどり着き、私の学歴や生き方を気に入ってくれた社長に「経歴がより活かされる企画者として、AIエンジニアチームと一緒に新規事業開発を担当してみないか」と打診を受け、2018年から1年間AI新規事業開発に従事、その後2019年から2023年までは人事を務めました。
Netsujo株式会社を設立したきっかけを教えてください。
大阪のシステム会社で会社員として5年間ビジネスを学ばせてもらう中で、自分の理想の生き方をより考えるようになりました。 日本にすでに数百万規模で企業が存在するなか、いい加減な気持ちで会社を起ちあげても意味がないと考えていました。「独立したい。だけど単に独立するだけではしょうがない。独立する意義をちゃんと深掘りしてみよう」と。それを自分たちなりに実現するために、スタッフがお互いの思いや決断を尊重し、自分の裁量で未来を実現するためには独立した方が良いと感じ、2023年6月に創立しました。

Netsujoの名前の由来を教えてください。
私は「人はどう生きたら人生が充実するだろう」と考えて生きています。現時点の結論として「自分の内側から出てきたものをエネルギーにして進んでいく」と良いのかなと。「これは自分がやりたいし、やるべきことだ」という対象に出会い、取り組んでいくときに発せられるのは”情熱”だなと。社名を情熱にしようと考えていたら、熱情(物事に寄せる激しく血がたぎるような感情)という言葉に出会い、自分の性に合っていると感じ、Netsujoにしました。
プロジェクトマネジメントからトラブルシューティングまで。要望に合わせ柔軟に対応
現在の事業内容について教えてください。
Netsujoの事業のメインは、ブロックチェーン技術を土台にした次世代のインターネットと言われるweb3領域のコンサルティング、マーケティングなど、領域内で多様なサービスを提供しています。そのほかにも営業、企画設計、イベント企画のヒアリングや提案、実践など、一言で表現するとエンジニアの開発業務以外の事業を行っています。
ITエンジニアになるために開発業務は2018年から3年間挑戦しましたが、自信を持って事業として提供するまでにはいたりませんでした。しかし次第にエンジニア的な考え方が身につき、エンジニアの方と意思疎通ができるようになりました。
現在ではプロジェクトの全体の進捗管理やトラブルシューティングまでを行うことができているため、その3年間の経験は無駄にはなっていなかったんだなと感じます。現時点での事業の割合は、60%はweb3を自社サービスでやっている企業や団体に対し、コンサルティングやマーケティングの支援をしています。20%はこれからweb3を導入していきたい会社に対するコンサルティング。20%は営業活動やシステム開発業務を行っています。
メンバーとのコミュニケーションで心がけていることを教えてください。
私たちは自分の裁量で物事を進めていくことも多いですが、一緒に動いてくれるメンバーには、一人ひとりそれぞれのいてほしい理由をきちんと伝えるようにして、各自が主体性を持ち続けられるようなコミュニケーションをとっています。ですのでNetsujoは、“いてくれてよかった”、“ありがとう”と心から言える少数精鋭のメンバー構成になっています。

「今これをやるべきだ」と思える仲間とゴールを目指すための4つのバリューズ
どのような会社にしたいとお考えですか?また、実現したい未来に向けて大切にしていることを教えてください。
Netsujoは「熱情」「自律」「主体的」「相互尊重」の4つのバリューズを掲げています。これは漫画「攻殻機動隊」から影響を受けています。「我々の間には、チームプレーなどという都合の良い言い訳は存在せん。あるとすればスタンドプレーから生じる、チームワークだけだ」というセリフがあります。チームプレーだとゆるい感じになり、自分の裁量だけでは進められなくなってしまいます。
私たちはゴールに向かって逐一リーダーが指示を出すのではなく、それぞれ自分に与えられたものを考え、連携し進めていくメンバーの集まりです。ゴールを達成するためにメンバーに選ばれたなら自分が存在する意味があると考えます。責務と自信、リーダーに対する信頼があり、そこに熱情が加わり、とても良い関係性の中で進んでいっていると思います。
理想ではなく、実際に今、そのように動けている自負があり、それぞれ「今これをやるべきだ」と思って常に動いています。ブロックチェーンの思想にも、まさにそれと同じことが言えると思います。
目先の利益追求ではなく、体温のあるソリューションを
ミッションである「体温のあるデジタルソリューションを世界中に届ける」にはどのような意味が込められているのでしょうか?
現在は、ITなどの普及で加速度的に社会が発展していますが、目先の利益や世の中へのインパクトばかりを意識したサービスも多く、ドライで冷たいと感じる瞬間があります。
Netsujoが提供したいサービスは、皆様にとって意味があって使いやすく、「あってよかった」とピンポイントに選んでもらえるものを目指しています。売れるからやるのではなく、エンドユーザーが本当に使いやすく、幸せになれる「体温のある」デジタルソリューションを日本だけではなく世界に向けて発信していきたいです。
一緒に働くクリエイターに対して、会社としてどのようなことを求めますか?
そうですね。理念に共感して動ける人が良いと思います。今後、長期的に人材採用をしたいと思っていますが、最大でも8人から10人規模の会社でありたいです。今はAIもあるので、そこもうまく使いこなしながら「この人と一緒に仕事がしたい」と思える人であれば、ぜひ一緒に仕事をしたいですね。
取材日:2025年3月7日 ライター:藤木彩乃
Netsujo株式会社
- 代表者名:飯田友広
- 設立年月:2023年6月
- 資本金:100万円
- 事業内容:分散型IDプラットフォームの開発・Web3領域のコンサルティングとマーケティング・ブロックチェーン機能を活用した地域活性化事業(企画・設計から導入・運用)・オフショア開発企業と連携したシステム/アプリ開発
- 所在地:〒600-8118 京都府京都市下京区平居町55番地1
- URL:https://netsujo.jp/
- お問い合わせ先:t-iida@netsujo.jp
- お問い合わせ先:080-3556-6850