WEB・モバイル2025.04.09

「本当にこの言葉でいいのか」、元新聞記者が追求する“本質”。インナーコミュニケーションに特化した制作で成長をサポート

名古屋
株式会社エンカウント 代表取締役
Gaku Ozawa
小澤 岳

社内報・病院広報誌のプロフェッショナル集団として多くの企業や病院から支持を集める株式会社エンカウント。名古屋と横浜を拠点に全国のクライアントを担当しています。新聞社、出版社勤務を経た後、独立した代表の小澤 岳(おざわ がく)さんに、起業にいたったいきさつや企業としての強み、展望などを話していただきました。

小説家に憧れ、文章で食べていくことを志した中学時代

子どもの頃に描いていた夢や将来像を教えてください。

大阪の南海電鉄沿線で生まれ、南海ホークスのファンだったので、プロ野球選手か南海電車の車掌になるのが幼い頃の夢でした。中学に入ると小説家に憧れるようになり、将来は文章でご飯を食べていくことを決めたんです。

大学も文系に進まれたのですか?

大学は文学部に進みました。そして就活が始まった頃に文章を書いてご飯を食べる仕事を検討した結果、小説家・記者・ライターの三つの道が思い浮かんで最終的に記者を選びました。

新聞記者からの転職。そして起業するまでの道のり

 

どのような形で記者をされていたのでしょうか?

新聞社に就職し、大阪と名古屋で計7年ほど記者をしていました。その後に社内報を編集する会社に声を掛けられ、転職したんです。

転職から独立までの道のりも教えてください。

ちょうど社長の代替わりのタイミングで、世の中の企業が従来の定型的な社内報から完全オリジナルなものを制作していく流れの過渡期でもありました。それに対応できる編集部の構築と事業の拡大を担わせていただきました。リーダーからスタートしてマネージャーに昇格し、そこからGM、執行役員と役職が上がり、売り上げも増えていったのですが、8年後に会社の意向で事業撤退することになりました。その状況の中でいろいろ話し合った結果、私が独立してその事業を承継することになったんです。

年に1人ペースで仲間が増え、地道に成長を遂げる

 

経営者への夢や憧れは以前から抱いていましたか?

経営者になる夢はまったく持ったことがなく、急な流れで独立することになったのではじめは戸惑いがありました。何から手をつければいいのかわからず、プライベートではちょうど結婚するタイミングでもあったので本当にバタバタでしたね。エンカウントを1人で立ち上げた数カ月後にデザイナーが入社し、しばらくは2人で頑張っていきました。

起業してどのくらいで手応えを感じるようになりましたか?

いやいや、今でも手応えや軌道に乗っている感覚はありません。でも、創業期から作業的に仕事をこなしてご飯を食べていくのではなく、制作物に想いを込めやすいやり方を模索しながら仕事に向き合っていくことは常に意識をしています。

営業活動も広告代理店に頼るのではなく、企業との直契約にこだわっています。とは言え営業経験もほとんどなく、創業間もない小さな会社です。当然最初の頃は苦しかったのですが、ありがたいことにお客さまが徐々に増え、年に1人のペースで社員も増えて13期目の現在は15人ほどの組織になりました。

ピンチはありましたか?

新型コロナの流行時はピンチでしたね。当社は社内報とインナーコミュニケーションツールの制作全般を事業ドメインにしてきたのですが、コロナ禍でそれらの多くがストップしてしまったんです。その一方で、コツコツと続けてきた医療業界での広報制作事業が実を結んでその領域が急速に伸びていきました。コロナ禍によって病院が伝えたい情報が増えたことも背景としてあったのかもしれません。手探りな状況ではありましたが、なんとかピンチも乗り越えることができました。

企業理念に込めた“恩に報いて人に感謝する”。その想いで事業に臨む

 

会社名「エンカウント」の由来をお聞かせください。

社名は、出会いや遭遇を意味する「エンカウンター」という英語に由来しています。創業時、社名を何にしようか深夜のファミレスで思案投げ首していたところ「降りてきた」感じです。ロゴマークは頭文字の「E」をモチーフに、エクスクラメーションを三つ並べています。そこには「驚き」と「感動」と「意外性」を提供できる存在になりたいといった想いを込めています。

企業理念に掲げられている「報恩感謝」とは?

「報恩感謝」は仏教用語で、“恩に報いて人に感謝する”という意味があります。編集者や記者、クリエイターって意外と自己完結しがちなのですが、その世界観のままではアウトプットの容積って、たかが知れていると思うんです。きれいごとに聞こえると思いますが、実際、自分のためより大事な人のためを原動力とした方が個人としても企業としてもベクトル(方向)もスカラー(熱量)も安定すると考えます。他者のことを思ってクリエイトすれば、対象となる方にもよく伝わると信じています。

真のパートナーとしてお客さまに伴走する

貴社の強みはどんなところにありますか?

「専属ディレクター制度」が強みのひとつで、当社のディレクターには強い裁量権を持たせています。クライアントの窓口となり、広報部の一員のような存在として活動してもらうため、“企業の担当者の方よりもその企業のことを知っている”くらいの気持ちで仕事に向き合ってもらっています。
企画ひとつをとっても、担当する会社の特徴や方向性を深く理解したうえで考えます。創業してから何年経過し、現在はどのフェーズにいて、経営計画ではどのような方向、規模を目指しているのか、といったことを踏まえながら、社内報を制作したり、本当に必要な施策・広報ツールのご提案を心掛けています。

 

小澤社長が大事にしておられる仕事への思いをお聞かせください。

月並みではありますがお客さまのお役に立ちたいという思いで、常に業務にあたっています。そのため、お客さまには“パートナー”だと感じてほしいですね。また、私たちの仕事は「編集」がメインになりますが、編集って突き詰めると「要するに」と「そもそも」の二つに帰結するのではないかというのが持論です。でもそれって、私たちの仕事だけでなくビジネス全般に通じることだと思うんです。要約と本質を追求し、「本当にこの言葉でいいのかな?」「ちゃんと伝わるかな?」というのを常に考えながら仕事をしています。

これからも良い人間関係を築いていくために

仕事の中で喜びを感じるのはどんな時ですか?

ひとつは、お互いの成長を感じられた時。周年イベントやツールの制作で感謝いただいたり、長年一緒に取り組んできた担当の方が先方の組織の中で評価されていたりすると喜びを感じます。もうひとつは、別のお客さまをご紹介いただけた時です。紹介するにはそれなりの責任やリスクが伴うと思うのですが、それでも紹介いただけた際には、信頼していただいていると感じ、嬉しくなりますね。

小澤社長が考える展望を教えてください。

社内報や病院広報誌の制作というのはニッチな世界ではありますが、お客さまと一緒に成功体験や良い人間関係をこれからも醸成していければと思っています。会社に関わる人が皆、豊かで幸せになり、その結果として企業規模も大きくなったらいいですね。現在は名古屋だけでなく、横浜の事務所もあるのですが、今後は東京にも拠点を置いてもいいのかもしれません。DXが進展したとは言え、編集者の母数は圧倒的に首都に集中しているので、その点においては大都市に拠点がある方が人の縁は生まれやすいのかな、と考えたりもしています。

クリエイターには、広い視野で世の中を見る力を養ってほしい

 

一緒に働くクリエイターにどんなことを求められていますか?

まずは、知的好奇心が旺盛であること。さまざまな世の中の変化や動きに対して「自分の仕事には関係ない」と切り捨てるのではなく、興味・関心を示して理解しようとする姿勢を持つことが、クリエイタ一の成長には必要ですし、自分で自分の“関心力”を高めること、これも技術のうちだと考えています。また、良質なコピーやデザインをアウトプットするためには「広い教養」と「高い感性」が必要です。デザインやライティングの勉強だけではなく、広い視野で世の中を見る力をつけてほしいですね。そのような力を身につけると、物事の本質的な部分が見えてくるようになります。それをアウトプットできるクリエイターを求めています。

試行錯誤自体に価値がある

最後に、世の中のクリエイターにアドバイスをお願いします。

アドバイスできる立場でもなければ一過性の感覚で語るつもりもないのですが…強いて言うなら試行錯誤すること自体に価値があると思っています。たとえば、医療関係の深い知識を持っている編集者ってほとんどいないと思うのですが、その世界に興味を持って、シンプルな疑問を自分で見聞きして調べ、どんどん突き詰めていく。サクッと調べて得たことよりも、知的好奇心の赴くまま右往左往してたどり着いた結論とでは、最終的に定義、クリエイティブとしてアウトプットした時の成果物の訴求力と自身の経験値がとても違ってくると思っています。あれやこれやしている間に成果物に対する複眼の視点や客観性、謙虚さなども養われるのではないでしょうか。遠回りに感じるかもしれませんが、実は信頼されるクリエイターへの近道だと思います。

 

取材日:2025年3月18日 

株式会社エンカウント

  • 代表者名:小澤 岳
  • 設立年月:2012年10月
  • 資本金:6,000,000円
  • 事業内容:社内報、広報誌、書籍、電子書籍、雑誌の企画、編集、制作、出版業務/WEBサイトの企画、制作、構築、運営/知的財産の広報・活用のご相談
  • 所在地:〒461-0004 愛知県名古屋市東区葵1-7-1 タジマビル2F
  • URL:https://www.encount.co.jp
  • お問い合わせ先:https://www.encount.co.jp/contact/

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