WEB・モバイル2015.04.22

事業の行く末に寄り添いたい  「どう在りたいか」を実現するweb制作

福岡
株式会社イットジャパン  代表取締役 吉富太郎 氏
株式会社イットジャパンは、福岡を中心に大小さまざまなクライアント企業のwebシステム、デザインを手がけるweb制作会社です。代表取締役の吉富氏は「16歳で起業を志した。」という気概あふれる44歳。ますますニーズを増すweb業界において、事業に対する想いや今後の展開などを語っていただきました。

クライアントの真のニーズ その気付きから会社設立へ

会社設立までの経緯を教えてください。

ヒアリングする時「何がやりたいのか。」ではなく「どう在りたいのか。(目的・目標)」が重要だと考えています。

ヒアリングする時「何がやりたいのか。」ではなく「どう在りたいのか。(目的・目標)」が重要だと考えています。

コンピュータの専門学校を卒業して、最初は土木積算システムの開発会社に就職しました。 次に建築設計の会社、通信関係の会社で働かせてもらって。その通信の会社でwebマーケティングと出会いました。たまたまその会社に、ドメインサーバとかショッピングカートとかwebの商材があったんです。 でも私はそれを「売る」ことに何の魅力も感じなかった。 いち営業として、クライアントとお話をすればするほど、彼らが求めているものはシステムじゃなくて「お客様」だと気付かされました。お客様の信頼を得ること、お客様にありがとうと思ってもらうことでクライアントは商売が進んでいくわけですよね。それはwebを使ってできるな、と思いまして。

ヒアリングする時「何がやりたいのか。」ではなく「どう在りたいのか。(目的・目標)」が重要だと考えています。Webをどうこうするっていうのは手段にすぎないし、その会社が目指す方向や、長く未解決の課題、その事業の行く末に寄り添える存在になりたい、と。そういう思いで起業しました。

事業実績例を見ると名だたる有名企業が並んでいますね。

そうですね。でも、どちらかと言えば…世間的には無名だけれど業界ではオンリーワンで頑張っている企業とか、業界大手が出来ていない部分をしっかり求め続けている企業とか。そういう志ある企業にこそイットジャパンは共感するし、大儀(たいぎ)を持っている会社と組んでやっていきたいという思いがあります。

実例:小さな動物病院に 全国から来院殺到

前段でお伺いしたオンリーワン企業との仕事について、事例を伺えますか?

福岡に『ごとふ動物病院』っていう動物病院があります。住宅地にある小さな動物病院で、出会った当時は、患者も少なく、院長が、レントゲンモニターにテレビゲームを繋いで遊んでいるくらいでした(笑)。縁あってそちらのホームページのリニューアルをさせていただきました。

動物総合病院ということで診療科目がたくさんあったのですが、その中に『犬のアレルギー治療』という科目がありました。その当時、他の動物病院でその科目を掲げているところはありませんでした。私も見慣れない科目だったので聞いてみたところ「実は以前から犬のアレルギーに着目して研究を続けている。」とのこと。飼い犬のおよそ3匹に1匹の割合で皮膚病などのアレルギーを持っているのだそうです。しかも、そこの院長は犬のアレルギー研究治療で既に一定の成果も出していた。 だったら『アレルギー専門』にしよう、と。実際の門構えは、総合動物病院なのですが、ウェブサイトではアレルギーの専門病院という。

それまで院長は、アレルギー治療でPRしていくお考えは無かったのですか?

その院長はいろんな分野の研究に取り組んでいて、その他の分野での実績も上げている方でした。アレルギーはその中のひとつだったのです。何でも出来ちゃうし、何でも出来なきゃいけないという考えをお持ちでした。

そして、当時病院の置かれた環境を見てみると…。住宅地にある総合犬猫病院で、といっても半径は狭いし。しかも高齢化が進んでいる地域でした。つまりWebを見ている比率は高くない。

だったらWebでは院長の持っている技術・研究者としての想いを打ち出して、「ワンちゃんのアレルギーに困っている全国の患者さんたちに、知っていただき、来ていただきましょう。」と。いきなりターゲットを日本全国にしちゃったんです(笑)。

ここ2~3年で動物業界もアレルギー治療を打ち出してくるところが増え始めました。『ごとふ動物病院』は先行して研究を始めていただけあって成功実績も多かったですが、ご苦労も多かったようです。その過程もずっと見てきました。それでも匙(さじ)を投げず一生懸命やる企業の隣で応援できるポジションに居れたことを幸せに思います。

今ではワンちゃんのアレルギー治療院として、知名度もダントツで。疲弊している動物業界にあって、現在も全国から相談が絶えないようですよ。

原点に還る イットジャパンの今後の展開

イットジャパンの今後の展開についてお話を伺いたいのですが。

「イットジャパンと出会わなかったら。」と思っていただけるような世界観を作っていきたいですね。

実は、今期は弊社にとって新しいスタートの年なんです。そのために、組織を再編し、ようやく先月ひと区切りつきまして。 今期14期目ですが、会社としては第1期に臨む気持ちです。

私が会社を経営するにあたって、数ではなく質で勝負したい、という想いがあります。利益を生むという大前提を踏まえた上で、クリエイターとしていかにお客様の目標や思想と向き合えるか。クライアントは「Webでないと実現できないこと。」の実現を期待しています。また時代と共にWebについての様々なノウハウや考え方が一般にも浸透しています。 クライアントから「Webでこういうことを実現したい。」と言われ、「ハイ実現します。」では、退屈だなと(笑)。

単に用意された条件のホームページを作る作業ではなく、これから業界ナンバーワンを目指す企業や、革新的・独創的な考えや思想を持った企業がゴールに向かうために一緒に考えたいし、それを実現させる仕事をしたい。 「イットジャパンと出会わなかったら。」と思っていただけるような世界観を作っていきたいですね。

Webという手段を使って、リアルな目標に邁進(まいしん)する企業のお手伝いをしたい?

そうですね。私の話になりますが、私はスタッフの仕事、つまり弊社の仕事についてプロセスを重視しています。 結果、それが大炎上・大クレームになっても私が責任を取る、と。発想や視点があって、それに対してどれくらい真摯に向き合って仕事をするか。それはつまり挑戦ですよね。 自分たちは何のために他所(よそ)様のサイトを作っているのか。お客様は何のためにそのサイトを作らなくてはならないのか。その意義についてしっかりと向き合うことは未来の弊社にとってのエネルギーになりますからね。

具体的には今後どのようなことを?

実現できてない部分をお話するのは嫌なんですが(笑)。 まず現在は、企業と求職者を繋ぐリクルートサイトの企画や制作、ブランディングでエッジの効いたコーポレートサイトの構築を強化しています。今後はC to C(一般消費者間)メディアとしてのSNSの展開も考えています。約6年前から実験的に「鳥」をテーマにしたSNSを稼動させていて、ひとつの事例は出来たかなという状況です。 「売る」という行為よりも「人を集める」サイトを強化して人や情報との繋がりを求めている方に喜んでもらいたいと思っています。

16歳で起業を決意 夢は叶うんだ――

スタッフを雇用するとき、吉富社長はどんなポイントに注目されていますか?

人間的には「目を見るかどうか」ですね。リアルに見るっていう意味じゃないですよ(笑) 相手の目の奥底にある「心」を見ようとする人と一緒に仕事がしたいです。相手が何を求めているのかを見るっていう姿勢みたいなものでしょうか。

お客様の「何をしたいか」でなく「何のために(目標)」へ注視できるか、ということですね。

最後にこれを見ている後輩たちに一言お願いします。

まあ「なんとかなるよ」って感じですかね(笑)。 だれでも恥をかきたくないし失敗もしたくない。だけど成長や成功にリスクはつきものです。 結果を恐れず...、というとちょっと乱暴かも知れませんが「全ては肥やし。失敗も恥もできるうちにしておこう」くらいの気構えでいたらいいんじゃないかと。何事もリスクと捉えるのか、チャンスと捉えるのか、思考の在り方で行動も結果も180度変わりますからね。 そのような挑戦を続けると、いつしかそれが自信に変わります。自信が持てるとビジョンが描けるようになると思います。

尊敬する経営者などは、いらっしゃったのですか?

尊敬する経営者は…母になるのかな(笑)。私が物心ついたころには家が貧しく、母が一人必死で働いていました。私が15歳のときに母が突然「ビルを建てる。」と言いまして。母は社員一人の『吉富住建』という会社を切り盛りしてはいたのですがビルが建つとは思えませんでした。ずっと貧乏だったですし(笑)。 母は「ずっと苦しい思いをさせて申し訳ない。でも夢のためにお金を貯めていた。」と私に言いました。 母と一緒に竣工間近のビルを見に行ったとき「太郎、願えば叶うのよ」と言われて。その時でしたね。 無性に自分の将来を考えてみようと思い、ペンを走らせました。

「社会に出て、4年間零細企業に勤めて、その会社を”潰せるくらい”責任のあるポジションを任されるようになって、次に大企業で4年働き、大きなプロジェクトや組織を学び、28歳で起業」、そんなことを書きました。実際は起業が30歳になってしまいましたけど(笑)、私の社会人人生はこのメモに凝縮されています。メモの目標に沿って、全て逆算で生きてきましたから。そんな大切なきっかけを与えてくれた母に感謝しています。 そうそう、メモの最後に「40歳で引退!」って書いていたんだけど…。うーん、実現できてないですねぇ(笑)。

最後にとっても温かいエピソードをありがとうございました。

取材日:2015年4月8日

株式会社イットジャパン

  • 代表取締役:吉富太郎
  • 設立年月日:2002年5月9日
  • 事業内容:
  • 本社所在地:福岡市中央区大名1-15-33福岡セントラルビル6F
  • TEL:092-771-6547(代表)
  • FAX:092-771-6548
  • URL:http://www.itjpn.co.jp/

TAGS of TOPICS

続きを読む
TOP