これからの日本に必要な”グローバル化” そのポイントは総合的なコミュニケーション
- 名古屋
- 株式会社エスケイワード 代表取締役社長 加藤啓介氏
多言語をベースとした コミュニケーション事業を展開
御社の事業内容について教えてください。
4部門ありまして、全体を統括するテーマとして「グローバルコミュニケーションをデザインする。」ことを打ち出しております。
実際、どんな事業を展開しているのか、部門ごとに教えていただけますか。
ひとつめは、マルチリンガルサービス事業といいまして、多言語の翻訳とライティングを中心とした部門です。メインとなる言語は英・中・韓ですが、どの言語にも対応しております。最近はタイ、ベトナムなど東南アジア系言語のニーズが増えています。
ふたつめは?
ウェブソリューション事業部です。比較的、中規模・大規模のウェブサイトの構築です。「制作」ではなく、ほとんどがCMSというシステムを「構築」していく形になります。設計から企画、デザイン、コーディングと、すべてを手掛けております。
ワンストップでの提供ですね。
はい。特徴としましては、ここでも多言語を取り扱うウェブサイトとなりますね。
そして、3つめは?
クロスメディア事業部です。こちらでも多言語を扱うのですが、最終的に印刷物になるものです。データやデザインの処理をしております。創業当時から続いている仕事を引き継いでいる部門です。もともと組版会社ですので、文字にこだわるということがスタートなんですね。
では、4つめは?
4つめは副次的な事業でテーマからは離れるのですが、コンサルティング事業部です。個人情報セキュリティのコンサルティングを展開しております。当社では、個人情報を含む印刷物も扱っておりました。個人情報保護法ができた際、プライバシーに関する対応をいち早く整え、そのノウハウを外部の方にも展開しております。
コンサルティング事業以外は、多言語がベースとなっているわけですね。
そうですね。それぞれが独立して機能している部分もあるのですが、お互いに連携しあっています。翻訳から一連の流れとして繋がりができた時、当社の強みがいちばん発揮できるということです。
言葉には正解がない 伝えるための表現力が必要
言語を取り扱う上で難しい点は?
言葉というのは正解がないんですね。ただ単に直訳をしただけでは伝わらない。マニュアルやカタログであれば正しい言葉を選択すればいいのですが、現在手掛けている仕事は“いかに伝えるか"が大切。翻訳というレベルでは済まされない仕事が増えてきています。
日本語を知っていないと表現できないですね。
そうですね。翻訳者にライター的な要素も求められてきています。
言語に加えた能力が必要だと。
言語ができる人はたくさんいます。言葉が話せるというだけではなく、プラス、クリエイティブな感性を持っていたり、言語能力を備えたデザイナーを揃えていきたいと思っています。
訪日観光客を対象とした インバウンドに注目
2代目となる加藤啓介社長の就任前後で、方針は変わりましたか。
マッキントッシュのコンピューターが出始めた頃で、デジタル化が進み始めた時期にちょうど代が変わりました。ですので、それ以降はデジタル技術をいかに活用するかという形でやってきました。
デジタル化に加え、クリエイティブの面にも力を入れられていますね。
自分自身、社長になる前はクリエイティブを仕事にしておりました。東京でコピーライターをやっていたんです。名古屋に戻り、プランニングの事務所を立ち上げ、現在の会社と合併する形にしました。それもあり、クリエイティブを強化するということに舵を切ったわけです。
どのような分野の業界と取り引きされていますか。
メーカー、官公庁、あとは空港ですね。最近は観光がらみが多いです。今「インバウンド」と言われていますが、いかに海外から観光客を呼び込むかというテーマで作られるサイトが得意な分野です。
時代の空気を読み取られているのですね。御社のような会社は増えているのでしょうか。
翻訳会社自体はそんなに増えていないと思いますよ。インバウンドが注目されているので、コンサルティング系の企業は増えています。当社のように、ワンストップで社内コントロールできるという会社は割と少ないと思います。
視野を広げ、論理的な思考で コミュニケーションを展開
日本のグローバル化についてどう思われますか?
日本という国は国際化が非常に遅れていると思います。観光客も、年間1千万人を超えたほどなので、フランスの約1/8に留まっています。ただ、日本は観光資源が非常に豊富です。香港やシンガポールなど日本より狭い街でも、日本以上に観光客が訪れています。日本の観光資源の豊富さを考えると、もっと力を入れれば、観光は産業として柱になると思っています。実際、経済もまだまだ内需型なんですね。輸出もしているようで、実際は少ないのです。
今後、言語を扱う業種は増えていくでしょうか?
日本は世界一高齢化がすすんでいる国でもありますから、今後は市場も小さくなり、働き手も減っていきます。そうなると、グローバル化をせざるを得ない。その中でポイントとなるのはコミュニケーションです。それはただ単にウェブや印刷物を作るのではなく、総合的なコミュニケーションサービスです。教育とか人材も含めて、コミュニケーションをシェアしていく展開はますます伸びていくと思います。
では、コミュニケーションを取り扱う業種で、どういった人材が求められていくと思われますか?
視野が広い人、または視点が高い人ですね。
トレーニングで視野は広くなるのでしょうか。
いちばんいいのは海外を数多く経験することですね。ネットから得る知識だけではダメだと思っています。ウェブ上には、断片的な知識はたくさんあっても、根本に何があるのか、ロジカルに考える力が失われてしまいます。物事と物事の関連性、あるいは根っこの部分を見ないといけない。それには、本を読まないといけません。
若い世代に向けてオススメの本がありましたら、教えてください。
フィリップ・コトラーの本ですね。マーケティングの本と言われていますが、新しい世界のあり方が非常に分かりやすく書かれています。『マーケティング2.0』は少し前の本ですけど、とても影響を受けて、考え方のベースになっています。
視野を広げ、かつ論理的な思考も養われると。
ええ。なぜこのデザインなのか、きちんと説明できる力が、これからますます求められます。感覚だけでは通用しない。企業そのものを紹介するコーポレートサイトをよく手掛けているのですが、デザインひとつとっても、思いつきだけではできない世界です。論理的に答えを導き出すというプロセスが大切だと思います。
取材日:2015年4月13日
企業名 株式会社エスケイワード
- 代表者名:加藤啓介
- 設立年月:1966年
- 資本金:1千万円
- 事業内容: ・マルチリンガルサービス事業部 多言語翻訳サービス、翻訳管理運用サービス、外国語コピーライティング・リライトサービス、スピード翻訳 ・ウェブソリューション事業部 ウェブサイト制作、多言語/グローバルサイト制作など ・クロスメディア事業部 カタログ・マニュアル制作など ・コンサルティング事業部 情報セキュリティコンサルティングサービスなど
- 所在地: 本社 〒461-0001 名古屋市東区泉1-21-27 泉ファーストスクエア9階 東京オフィス 〒106-0047 東京都港区南麻布2-10-13 OJ HOUSE202
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