独立して関わった教育番組。 子供が楽しんでくれる事が嬉しい

設立の経緯を教えてください。

2006年に大手のイベント会社のテレビ制作部門を離れ、仲間と3人で会社を立ち上げました。 独立したきっかけは、看板屋を営んでいた父親の影響か、独立して一人前だという意識があったから。 41歳での独立でしたが、ここからようやく「社会に出た！」という感じでしたね。

独立してからの仕事は、会社員の時よりも楽しくなりましたか?

楽しくなったというより、自分が矢面に立つという厳しさを知りました。 会社員時代ではわからなかった、細かいお金の収支や、融資の受け方などをもわかるようになりました。その時、大げさなんですがやっと社会の一員になったような気がしました。僕は会社で学ばせてもらっている間は、学生のような感覚で、修行中のようなものと考えていました。だから早く一人前になりたかったんです。独立してからは、相手のニーズをいかに達成して、そこに自分なりの面白みを加えるかを課題として、制作を行っています。

教育番組を制作されているとのことですが、もともと得意な分野だったのですか?

いえ。僕は音楽バラエティ番組を中心に制作していたので、教育番組はほぼ未経験でした。担当しているのは、東海地区で長年放送されている『すくすくぽん！』という番組。今までの流れとは違うものを作って、新鮮さを視聴者に感じてもらいたいと思い、チームで試行錯誤し、『が～まるちょば』というパントマイムのパフォーマーと幼稚園や保育園をまわっています。当時からこの番組を知る人からは、ずいぶん内容が変わったと思われるかもしれません（笑）僕達も、最初は子供に受け入れられるか心配でしたが、意外と子供たちも喜んでくれて。歌ったり踊ったり、楽しんでくれているのを見ると嬉しくなります。

人の縁でやりたい方向に舵を切れた会社員時代

テレビ業界に入ったきっかけはどんなことだったんですか?

実家が看板屋を営んでいて、父は趣味でプロ顔負けの絵を書いたり、造形物を作ったりしていました。僕も絵がすごく好きだし、学校の成績も良かったこともあって、絵の仕事を目指そうとグラフィック美術課のある東京の専門学校に入学。しかし生徒が僕しかいなくて（笑）余儀なく「映像技術コース」に編入することになったんです。その時に映像編集の楽しさに気付いて、テレビ制作会社に入りたいと思うようになったんです。

最初の会社ではどんな仕事をしていたんですか?

最初の会社でカメラマン助手など技術者の下積みをしていました。その時に、映像編集に興味がありましたが、編集はディレクターの基本仕事。下っ端の僕に先輩が丁寧に教えてくれるということはありません。どうやって先輩は編集するんだろうと、先輩が編集するところをずーっと見ていました。それに根負けしたのか先輩が教えてくれて、ある日1分半の短い番組の編集をさせてもらえました。僕は学校で習っていたこともあるし、好きなので非常に習得が早かったせいか、「来週からやっといて」とその編集の仕事は僕の担当になったんですよ。

すぐに編集を担当することになったとは、すごいスピードですね。

僕もびっくりしました。（笑）その後も編集はするのですが、ディレクターにはなれない。ディレクターとなって、自分が指示を出して番組を作りたいと知り合いに相談したら、前職を紹介して頂くことになり、あれよあれよと番組ディレクターとなりました。そこでは音楽番組を中心に、そこで15年ほど様々な番組を制作させてもらいました。ディレクターは番組をすべてわかってどんな素材を撮るかを決める仕事です。編集をやっていると母親みたいな気持ちになっていくんですよ。全部を理解して、守って育てるんです。素材が足りない時も、どうしたらある素材だけで活きるかを考えて組み立てる。奥が深い仕事だなと思いました。

映像は工夫次第でなんでもできるし、 テレビの中に夢がつくれる面白い仕事

今後やりたいことを教えてください。

将来的には、資金作りから制作まで、全部自分主導の番組や映像作品を作ってみたいですね。最近は自然に興味が出てきていて。ずっと自然の中にいると雑念がなくなってリフレッシュできるので、そういう美しい自然の映像と音楽の映像も作ってみたいです。

一緒に働きたいスタッフはどんな人ですか?

自分の企画が形になる喜びを味わいたい人ですね。映像は工夫次第でなんでもできるし、テレビの中に夢がつくれる面白い仕事です。醍醐味は、やはり0（ゼロ）から生まれることだと思います。自分で何かをつくることを楽しめる人と一緒に働いてみたいです。

取材日:2015年5月21日