ITを使って北海道を元気にしたい! 笑顔にしたい!
- 札幌
- 株式会社えぞキッチン 代表取締役社長 大石敬氏
担当していた通販の優れた仕組みを 限られたターゲットから、一般の消費者に広げたい
えぞキッチンを設立された経緯から聞かせてください
もともとIT業界にいまして、デザインなどをされてる方は良くご存知かと思いますが、写真素材集の「素材辞典」という商品を扱っている株式会社データクラフトにいました。通販部門を担当してたんですが、いろいろなメーカーから商品を集めて販売し、最終的に利益を分配するという仕組みがとても良く出来ていたんですね。これを限られたターゲットに向けた商品だけでなく、一般の人に使ってもらえるものに広げていけないかと思ったんです。
一般の人に向けたものとは?
私は無類のラーメン好きなので、ラーメンの通販をやろうと。しかも、ほかでも扱っている商品であればいずれ価格競争で消耗するだけだとわかっていたので、オリジナル商品を開発しようと。そうしてスタートしたのが「屋食(やしょく)ラー麺」です。
屋食の「や」が「屋」になっているのには、何か意味があるんですか?
地元の人に支持されている人気のラーメン「屋」の味を「屋内」つまり自宅で楽しめるという意味です。人気店の味を大手食品メーカーが再現した袋麺も多く発売されてますが、「再現」ではなく、「そのもの」をお届けしようというものです。スープもお湯で薄めるものではなくストレートで。麺やチャーシューもお店で出しているものを急速冷凍しています。
一般向けとはいえ、かなり大胆な方向転換ですね。
そうなんです。ビジネスとして利益は出せたんですが、あまりにも社風に合わないということで、会社から決断をせまられました。ビジネスごと売却か、断念か、独立か。それで独立を決意し、会社を立ち上げました。
クリエイティブの仕事の流れを 北海道に呼び戻したい!
なるほど、ラーメンの通販でスタートしたんですね。
そのとき私と一緒に独立したメンバーが、ITやデザインに強かったので、ラーメンとITの2本柱でやっています。ITでは、スマホアプリや通販サイトの制作、WEBページデザインなんかをやっています。大手企業から自治体、大学のサイトも手がけています。
スマホアプリは需要が増えてそうですね。
ところがですね、会社設立当初の2011年頃、東京でスマホバブルが起きていたんですが、その流れが北海道には来なかったんです。 その10年くらい前は「クリエイティブやコンテンツ作りは北海道のレベルが高い」と言われていたのに海外に仕事が流れてしまって、最近では北海道のレベルも落ちていると思われていたみたいなんです。これはいかんと。もう一度、北海道にクリエイティブの仕事の流れを呼び戻すために、北海道全体のレベルを上げなければいけないと思いました。そこで「クリエイティブキャンプ」」を企画しました。
「クリエイティブキャンプ」とは、どういうものですか?
北海道のクリエイティブのレベルを上げるために、第一線で活躍するクリエイターに講師として来ていただき、その人にしか語れない話、生でしか聞けない話などをしていただこうというものです。最初2年は「スマホキャンプ」として、当社が独自で開催しました。3年目からはさっぽろ産業振興財団さんも応援してくれるようになり、対象を広げて「クリエイティブキャンプ」として開催しています。
どんな分野の方が講師でいらっしゃるんですか?
スマホアプリの開発やゲームプログラミング、サイト制作のほか、動画サイトで収益を得るというのもあります。6月に開催したアニメーション制作テクニック「(劇場版)さよなら銀河鉄道999」や「あしたのジョー2」などを手がけられた深谷暎作さんにお願いしました。ほんの数分で目の前でキャラクターを描いて動かすところを実践していただき、非常におもしろかったです。 いま、情報発信は誰でもどこからでも出来る時代。北海道のクリエイティブのレベルアップのために、裾野を広げていくという意味でも貢献していけたらうれしいですね。
ブロガーとしての発信力で 潰れる一歩手前の店が行列店へ
札幌ラーメンコンシェルジュとしてもご活躍ですが、おすすめの店があれば教えてください。
いま、おいしい店を探すために『食べログ』を利用する方が多いと思いますが、北海道ランキングで4年連続1位の『麺屋菜々兵衛』です。この店は今でこそ行列店ですが、開店当時は、一日の客数が数人ということもある店でした。そこでラーメンブロガーでもあった私が「この店のラーメンは食べるべし」と書いたんです。ブロガー仲間にも、「この店をもっと評価しようぜっ」て呼びかけました。それから半月くらいで行列が出来るようになったんですよ。
それが御縁でこのお土産ラーメンが誕生したんですね。
あとから店主の方に聞いた話では、「行列が出来るのがあと1ヶ月遅かったら店を畳んでいました」って。 有名行列店なので、当然大手メーカーさんからお土産ラーメンの話がいくつもあったそうなんです。でも「俺は、えぞキッチンが力をつけるまで待つ」と言ってくれたそうで、そして去年ようやく発売させていただくことが出来ました。店主の方からOKの出るクオリティにするまでには大変な苦労がありましたけどね。
「おいしいものを出すのは正義である」を信念に これからもブレずにやっていきます
これからの展望を聞かせてください
最近、スイーツも始めたのですが、ここもまた作り手の志や味はすばらしいのに、悲しいかななかなかスポットが当たらないお店だったんです。ITも活用していらっしゃらなかったので、私たちのIT技術で後押ししようと思いました。 スポットが当たっていないお店があれば応援したくなっちゃうでしょうね。 私の知り合いで「売れるものを出すのは必ずしも正義ではない。しかし、おいしいものを出すのは正義である」と言ってくれた人がいて、この言葉がかなり心に響いてます。「おいしいものを出す」ということだけは太い軸としてブレずにやっていきます。
最後に、会社ロゴに込めた思いを教えてください?
北海道の形をベースに、えぞのeが小文字に。oが笑顔になってるんです。eはeコマースやeメールなどのITを表しています。ITを使って北海道を元気にしたい、笑顔にしたいという思いを込めています。 これまで培ったITの力やデザインの力で「いいもの、おいしいものを出すのは正義である」という思いをきちっと伝えていきたいですね。
取材日:2015年6月18日
株式会社えぞキッチン
- 代表: 取締役社長 大石 敬(おおいし たかし)
- 設立: 2011年5月26日
- 資本金: 1850万円
- 事業内容: 各種食品販売事業 webコンテンツ制作 キャラクター制作 eコマースサイト構築 スマートフォンアプリ制作 Flashアニメ・ゲーム制作他
- 所在地: 〒060−0807 北海道札幌市北区北7条西1丁目1−2 SE札幌ビル3F
- URL: http://www.ezokitchen.co.jp
- お問い合わせ先: TEL011-707-2211 FAX011-707-3820