ラーメン界が盛り上がれば北海道が盛り上がる! 全国が盛り上がる!
- 札幌
- 株式会社クリア 代表取締役 土門 亨氏
ラーメン好きが高じてラーメンファンのためのラーメンアプリを開発
起業されたきっかけを教えてください。
「何かやりたい」という漠然とした思いは、元々ありましたね。大学卒業後は通信機器メーカーの富士通に勤めて、携帯電話などの通信システムの研究や開発を中心に、かなり先端的なことをやらせてもらったんです。貴重な経験ができたので、その経験を活かしていずれ何かやりたいな、とは思っていました。思い切ったつもりもなく、自然なタイミングで独立を決めましたね。
その中で選ばれたのが、アプリの開発だったのですね。
独立を考え始めた時期に、ちょうどApple社がiPhoneを発表して、通信機器はスマートフォンが主流になり、モバイルでインターネットを皆が利用するようになりました。これからはスマートフォンのアプリが世の中を変えていくだろう、というのと、SNSの流行も始まったことで、ソーシャルメディアの市場がどんどん伸びていくだろう、という二点から、アプリで何かができるのではないかと考えたんです。はじめは、北海道の情報を世界に発信したいという思いを込めてアプリを開発したのですが、これがなかなか思うように伸びなくて…。
そこからどのように方向転換をされたのですか?
ふと気がついたんですよ。「なぜラーメンのアプリを作っていないのだ」と(笑)。というのも、私も従業員も相当なラーメン好き。我が社はオリジナルアプリを開発する会社なのに、「自分たちが愛するラーメンのアプリがないじゃないか」と。そこで一念発起して、ラーメンアプリの開発に専念しました。いちラーメンファンとして、日本のラーメン文化をもっと盛り上げたいという思いを込めて。 札幌はラーメンの一大拠点じゃないですか。だから札幌がラーメンで盛り上がれば全国のラーメン文化も盛り上がるだろうし、全国でラーメン文化が盛り上がれば札幌のラーメン文化ももっともっと盛り上がると考えたんです。そうすることで、ラーメンだけにとどまらず、北海道の食産業・食文化が盛り上がればと。
アプリひとつでラーメン情報を網羅できるように 店にも、ユーザーにも、嬉しい仕組みづくり
大手グルメサイトや他のグルメアプリと、「毎日がラーメン」の違いはどんなところでしょうか?
iOSだけでもラーメンアプリは数十種類あるんですよ。その中でもほとんどのアプリが、自分が今いる場所の近隣にあるラーメン店を探すというものです。我々が開発した「毎日がラーメン」は、他にはない機能として、ラーメンファンが食べたラーメンの履歴を残せる機能をメインとしました。いわば、ラーメン日記。ラーメンファンが、ラーメンライフを記録する機能です。
ユーザーはどのように増やしていったのでしょうか?
2014年1月にリリースをしてから、facebookやtwitterなどのSNSをメインに情報を発信していました。ラーメンファン仲間は元々多かったので、仲間たちにお知らせをしたりね。そうやって地道に拡散していたのですが、ある時期に偶然、北海道のローカル番組に取り上げてもらう機会が何度かありました。ラーメン特集の中で紹介していただいたり、札幌のベンチャー企業を特集するコーナーで私自身を取り上げていただいて、アプリの紹介をさせていただいたり。その後、札幌圏のユーザーが急激に増加しました。
「スタートアップ イニシアティブ in Hokkaido」※の最優秀賞、NICT賞のダブル受賞、「北海道スタートアップ・アワード」のトーマツ賞受賞と、ベンチャー企業としてビジネスプランを表彰されていらっしゃいますが。
北海道代表として栄えある賞をいただいたことは、私自身の自信にも繋がりましたし、露出が増えるきっかけにもなりましたので、大変嬉しく思っています。受賞後は各方面からお声掛けいただくことも増えて、札幌圏のラーメン店ともつながりができました。
※特定非営利活動法人札幌ビズカフェと総務省北海道総合通信局が連携して、北海道地域でのICTベンチャーの担い手となりうる若手人材の発掘及びメンターとの交流を目的に開催。
今後、「毎日がラーメン」はどのように進化するのか、少しだけ教えてください。
今までは、先ほども述べたようにラーメンファンが自ら記録する機能がメインとなっていましたが、2015年8月1日にリリースしたバージョンからは「出会う」をコンセプトにした新たな機能を2つ追加しました。1つは、全国のラーメンファン同士が出会い、交流できる機能。さらにもう1つは、ラーメン店の店主が情報を発信し、ファンにそれらの情報がダイレクトに届く機能です。
SNSのような?
これまでも、全国のラーメン店はfacebookなどのSNSを使って、期間限定メニューの告知やイベントのお知らせなどの情報を発信していますよね。でも、ファンにしてみれば、そういった情報を集約しきれないというのが現実なんです。このお店はtwitter、このお店はfacebook、あっちのお店はブログ…という風に、一元管理できない。そこで、「毎日がラーメン」さえ見ていれば情報を網羅できたら便利だな、と考えました。ユーザーはお気に入りのお店をフォローして、その店から情報発信されるたびにプッシュ通知が届く仕組みです。もちろん、店側も、「毎日がラーメン」に投稿すればSNSにも同時投稿できます。これで店にとっても効率良く情報が伝わるし、ユーザーももれなく情報をキャッチできて嬉しい。ゆくゆくは、日本のラーメン情報はすべてこのアプリの中にある、というような状態にしていきたいですね。
「やりたいから、やる」 能力だけでなく、熱意のプロフェッショナルを目指したい
株式会社クリアとしては、今後の展開をどのようにお考えでしょうか?
まずはとにかくアプリを成長させることですね。「毎日がラーメン」のユーザーは今は札幌圏が中心ですが、もっとラーメン市場の広いところ、具体的には東京などにもどんどん広めていきたいです。その先にあるのは、日本のラーメン界をもっと盛り上げたいということ。突き詰めて考えると、食産業って人間の胃袋の奪い合いじゃないですか。一人ひとりの胃袋のキャパシティは限界があるので、皆が一杯でも多くのラーメンを食べる機会が増えれば、ラーメン市場は盛り上がります。これからの人口減社会の中で簡単なことではないと思いますが、私自身ラーメンファンとして、日本の国内外に向けてラーメン業界を盛り上げるということは、追い続けていきたいところです。
では、そのために土門社長が求める人材とは?
第一にやる気と能力。それさえあれば年齢も性別も国籍も気にしません。アプリ開発を行う会社なので職種としてはエンジニアを求めていますが、ただ単に技術的なことができるのは当たり前です。北海道はエンジニアの層はとても広く、テクノロジーに関するポテンシャルは高いと思います。ただ、その中でも言われたことをやるだけの「作業者」に従事してしまう人が多いというのも印象のひとつ。弊社のある従業員は、工学部や理学部ではなく、経済学部卒業なんです。しかし在籍中に独学で勉強し、アプリを数本リリースしているという経歴の持ち主。ハードルは決して低くないけれど、やりたいからやろうという姿勢の見える人は、非常に魅力的ですね。
そのためにはどんな経験が必要でしょうか?
特段、「これをしておけ」ということはありません。ただ、今までの人生の中で自己解決の経験があるかどうかというのは、ひとつのポイントになると思っています。例えばスポーツをやっていた人が、どうにも記録が伸び悩んだときに、練習量をただ増やすだけでなく、その方法をどう変えたらいいのかを自分で考え、そして努力する。その結果、これまでよりもより良い成績を残すことができた…。そういった自己解決の経験です。この経験がある人は、アプリの開発ひとつとっても、自分で考えることのできる人間になれると思っています。逆にその経験がなければ、言われたことをやるだけの人間になってしまうのではないかと。
技術はもちろん、一人ひとりの熱量もプロフェッショナルを目指していらっしゃるのですね。
はい、そうですね。自分たちでどんどん考えて、世の中を変えてやるぞ、という熱意とやる気を持った集団に、私たちはなっていきたいです。
取材日:2015年9月1日
株式会社クリア
- 代表:土門 亨(どもん とおる)
- 設立:2012年1月
- 資本金:930万円
- 事業内容:iOSアプリケーションの企画・開発・販売・運営/iOSアプリケーションの受託開発
- 所在地:〒060-0061 札幌市中央区南1条西10丁目4-168 ほくえいビル502号室
- TEL:011‐211‐0748
- FAX:011‐211‐0749
- URL:http://clear-sapporo.jp/