こだわりは細部に宿る 「顧客満足」+「創る喜び」を 映像にする会社
- 名古屋
- 株式会社CS.2 代表 昆野 孝氏
大学時代に出会った映像表現に魅せられて
映像の世界に入ったきっかけを教えてください。
もともと広告代理店で企画をしていましたが、約10年前に退社しました。会社では交通広告からウェブ広告まで、広告全般をクライアントに企画提案していましたが、もっと自分の手を動かしてデザインを作りたいと思っていました。その頃、アパレル業界にいた知人から「ブランドの映像を作ってくれないか」と相談があり、独立してフリーランスとして活動する意思を固めて退社いたしました。
映像制作の技術はいつ獲得されたのですか?
大学時代に独学でVJ(ビジュアルジョッキー)や映像制作の技術を修得しました。もともとは絵を描くのが好きで、大学でデザインを専攻しましたが、映像制作にのめりこむうちに絵を描く方は興味が薄れてしまいました(笑)。 所属していた水泳部のつながりで偶然知り合った方が、自宅で、ビデオカメラとMacで映像編集用のソフトウェアを使って映像を制作していました。今から15年以上前のことです。その頃はまだ、ハンディーカムで撮ったり、ビデオ同士をミクシングしたり、それくらいのことしかできないと思っていたので、その映像表現に触れて「こんなものが個人で作れるのか」と衝撃を受けました。
その出会いから、ご自分で映像を作られるようになったのですか?
はい。大学3年の頃から映像を作り始め、クラブでVJをしていました。VJは主に、予め作っておいた映像をクラブで音に合わせてミキシングしたりエフェクトをかけたりしながら、リアルタイムで映像を創出する仕事です。映像を作り始めるようになってから、その手を止めたことは一度もなく、作った映像作品がどんどん貯まっていったので、ネットショップを立ち上げて、パッケージ化し素材販売しました。社会人になってからもVJは7~8年、素材販売は今でも続けています。
もともとクラブは好きだったのですか?
いいえ。映像を流したいから行っていただけで、クラブに行きたくて行ったことはほとんどないです。行ったら行ったで仲間と騒げて楽しいし、映像を流して空間をコントロールしている感じやダイレクトにお客さんの反応を感じられるので最高ですけどね(笑)。映像が流せるならどこでもよかったのですが、当時はパソコンのスペックが低く、解像度の低い映像しかコンスタントに創れず、テレビでは使えない画質でした。
VJの経験は、今も生きていますか?
大学時代のVJ経験から、社会人になってからも当時知り合った方に映像制作の依頼をいただき、それをきっかけにフリーランスになりました。その後もダンスレーベルのDVDやスカパーで放送する番組制作の依頼を受けるなど、徐々に仕事が増え、企業イベントの映像制作など大型案件の依頼も受けるようになりはじめると、人手が不足し、会社化した方が対外的にも体裁が整うこともあって、気心の知れた仲間で会社を立ち上げました。
会社は器。守るべきは個人の“やりたいこと"や“生き方"
現在の主な事業内容は何ですか?
企業イベント向けの映像制作が全体の6割を占めます。案件によっては現場に出向き映像演出に携わることもあります。例えば、イベントのオープニングの映像であれば、まずは先方にデータを頂き、それを組み込んで絵コンテを作ります。先方の確認後、映像を制作し、現場でキューに合わせてキーを叩くところまで務めます。 その他に多いのは、PM(プロジェクションマッピング)やテレビCMです。他にもウェブCM、企業・商品VP、ミュージックビデオ、紙媒体のデザイン、ウェブ制作、メディア各種のための撮影など、メンバー個々の得意とするものを生かしながら幅広く作っています。
仕事の割り振りはどうされていますか?
ひとりひとり得意とすることが違うので、適材適所で割り振っています。社員は一人当たり2~3件の案件を、私は5~6案件を常時抱えています。大型案件で修正がかかると、1人では納期に間に合わないので、1案件を2~3人で担当します。
会社を経営する上でこだわっていらっしゃることはありますか?
会社は器に過ぎず、守るべきは個人の“やりたいこと"や“生き方"だと考えています。個々が違う生き方や感性を持っているのが当たり前ですから、会社がそれぞれの価値観を最大限に尊重し、力を伸ばせるように社員を信じて仕事を任せます。その結果、少人数でも大きな力になります。
個人の価値観を最優先するという方針には、何か過去にそのような教訓を得る出来事があったのでしょうか?
私自身がこの仕事をやりたいと思って始めました。大それた言い方になってしまいますが、私たちがやっているのは、個人でできる職業としては、もともとはなかったものだと思います。それを形にして、今こうしてやっていられる。だから社員にも、こうしろと決められてやるのではなく、自分で考え、自分で決めて、本能的に、能動的に働いて欲しいと思います。そうすることによって、新しい価値観や職業が生まれることを願っています。
立場に関係なく言いたいことを言える 風通しのいい空間を作る共通意識
職場の雰囲気について教えてください。
役割はあれど、私も含め全員が並列に意見交換をします。ありがたいことに私もしばしば社員に叱られます。私も含め全員が経験や年齢に関係なく意見を言い合えることで、いい空間を作る共通意識が生まれていると思います。
社員の方には、どんな方が多いですか?
目的ややり方はそれぞれ違いますが、共通しているのは作品を作るのが好きだということだと思います。
共通意識のために、大切にされていることはありますか?
珍しいと言われますが、全員でよくランチに出かけます。それぞれの日々の生活の中での出来事や体験を自然な形でお互いに共有するようにしています。そうすることで、インスピレーションを受けたり、インプットできたりするものがあります。仕事よりも、日常に転がっている出来事にアイデアの種が宿っていると思います。デザインは、何も無いところから生まれるわけではなく、混沌とした日常から生まれてくるものだと思いますので、アイデアを共有するため、常に人との接点やコミュニケーションを大切にしています。 また、若い人と接することで、その何気ない会話から、ひらめきをもらうことはしょっちゅうあると私自身感じています。そうしたひらめきを人と話すことでアウトプットすることもとても重要だと思います。
作ったものが喜びや感動に変わる瞬間を見たいから 個々を大切にする会社であり続けたい
昔から今のような考えでしたか?
もともとは周りを見ないで自分の作品について日々考えているような内向的な性格でしたが、大学時代にVJなどで映像を作るようになって、自然と周りの仲間のやっていることに関心を持つようになったと思います。 今のような考えになったのは、きっと一緒に仕事をしている仲間たちの影響が大きいでしょう。家族も含め、老若男女様々な人から意見をもらいながら、凝り固まらない若い感性でずっとクリエイターとして映像を作り続けたいです。
今後の展望について教えてください。
近年、人口の減少や労働力の低下に伴い、たくさんの職業が自動化すると言われていますが、そういう社会の中で、個々が嗅覚を研ぎ澄ませて能動的に動くこと、人間にしか作れない“気持ちいい"を生み出すことを生業とすることこそが、個人の“やりたいこと"や“生き方"を叶えられる会社であり続ける方法だと考えています。 「先進的なことをします」とか「プロフェッショナル集団になる」という表面的なことは、結果としてそう見えるだけで、私たちが追求していることは、人が動く根本にある“気持ちいい"ことの追求です。作ったものが喜びや感動に変わる瞬間を見たいからこそ、今後も個々を大切にする会社であり続けたいと思います。
取材日:2015年12月23日 ライター : 望月佑香
企業名:株式会社CS.2
- 代表者名(よみがな):昆野 孝(こんの たかし)
- 設立年月:2014年4月
- 資本金:400万円
- 事業内容:TVCM、VP(ビデオプロモーション)、MV(ミュージックビデオ)、PV(プロモーションビデオ)、 イベント映像の企画及び制作。画像・映像の撮影、テレビ番組の制作、VJ演出、 映像素材の制作および販売、グラフィックデザイン、エディトリアルデザイン、 ロゴマーク、ロゴタイプ、広告等の企画および制作、各種印刷物の企画および制作、 ウェブページの企画および制作、アプリケーションの開発、 アパレル、日用品雑貨、家具等の企画及び制作。
- 所在地:〒460-0022 名古屋市中区金山3-9-2
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