廃車の買い取りと中古車オークションを インターネットで繋ぐ話題のlotで急成長
- 大阪
- 株式会社ラグザス・クリエイト 代表取締役 福重 生次郎氏
車の輸出事業で見えてきた矛盾と無駄
なぜ、中古車分野に着眼されたのですか?
会社を起こした時期に、パソコンやアパレル、車などを扱っていましたが、最終的に利益が出たのが車の輸出だったのです。
2008年に起業されたとのことですが、その当時についてお話いただけますか。
2008年から2009年当時、車の輸出事業においてインターネット上に競合が少ない時代でした。 2010年から2011年頃には、どんどん競合が増えてきました。そうすると競争の原理で、中古車の買取り価格が上がっていき、仕入れ単価も上がります。一方で販売時には販売価格が変動し、高く販売することもできれば単価を下げて販売することもできます。 競争の原理が働き価格を下げて販売し続ければ、結局は薄利多売になります。売上を上げるには販売価格を上げるのが一般的ですが、当時の輸出先の多くはアフリカの国々でした。アフリカでは所得が低く車の値段が日本で家を購入するのと同じくらいの感覚ですから、販売価格を上げることが難しい。そこで、仕入れ価格を下げようと試みました。例えば、車体価格を5万円で仕入れた原価の合計は8万~9万円程になります。 その差額とは、車の購入時に支払うオークション会場の手数料や輸送費などです。 1台あたり3~4万円のマージンを省くことができれば、利益を出せると考えました。 当時、ひと月に100~150台程の車を出荷していましたので、年間で5~6千万円程も利益が変わってしまいます。大きいですよね。
勝てる要因はコスト構造そのものが違うから
それが、今のサービスに繋がっていくわけですね。御社のサービスについて、システムの内容やメリットについて教えてください。
廃車の買取りサービス「カーネクスト」は、ユーザーから廃車を買取るシステムで、中古車オークション「Smartオークション」はBtoBで中古車や廃車を売買するためのプラットフォームです。これは、オークション会場を完全にインターネット上に構築したものです。 リアルなオークション会場は、東京、大阪、福岡など各都道府県の都心部にありますが、例えば、岩手の業者が販売したい中古車を東京の会場に持っていくと、運営費に充てられる会場の手数料に加え、岩手から東京まで中古車を運ぶ陸送費がかかります。オークション会場ではこの無駄な諸経費を解消する方法がありませんでした。「Smartオークション」では、地元の業者が地元にいながらネットを使ってオークション形式で全国で売買できるため、手数料が安く抑えられ無駄な陸送費もかかりません。
コールセンターも内製化されているそうですね。内製化されることの利点は?
スキルやノウハウの蓄積です。 また、コールセンター内で、オペレーション業務の担当者が他部署の担当者と情報共有し、いつもベストな状態でコミュニケーションを取るのが可能であることです。 そうすることでサービスの改善を迅速に図ることができるので、顧客価値をリアルタイムで創造することができます。
ここまでのシステムを構築されるのに何が一番大変でしたか?
事業の根幹となるバリューネットワークを含めた営業です。 最初は、インターネット広告でプロモーションをかけました。 システムそのものは数ヶ月~1年程度で完成しますが、大事なのはバリューネットワークです。 廃車買取りサービス「カーネクスト」と中古車オークション「Smartオークション」を組み合わせたバリューネットワークにより、たくさんの業者様が加盟してくださいました。 「カーネクスト」で廃車の買取り実績があることは、他企業にとって高い参入障壁になっていると思います。
そもそもリアルなオークション会場は大手企業主導の業界で、大きな会場を持っている時点で運営費といったコストがかかります。インターネットで追撃している我々にコスト面で対抗することは難しいでしょうし、それは彼等のコアなスキルや営業力を持ってしても、対抗出来ないと思います。
無敵のオークションサイトが抱える今後の課題
これから競合企業が生まれてくることやビジネスモデルが模倣されることについてはどう考えていらっしゃいますか?
これから競合が出てくるとしたら新規事業やネット企業からの参入だと思います。 B to Bの「Smartオークション」の競合は難しいと思いますが、「カーネクスト」の競合は生まれてくる可能性があります。
当社の「カーネクスト」ではアンケートやヒアリングを通じて顧客価値を汲み取り、リアルタイムでサービスに反映していくというフローが確立されています。 さらに弊社は「Smartオークション」を含めた中古車の流通モデルであるため、競合によるサービスの模倣は難しいと考えます。
市場原理により、単価が上がっていくシステムが出来ているとうことですね。
はい。販売単価が上がれば、弊社にとっては利益が上がることにつながるので嬉しいのですが、今度は、高いからといって車が買えなくなるとオークションサイトそのものを利用しなくなるので、利用しなくなった人に再び利用してもらうため、何らかのサービスのラインナップを揃える必要があります。それについては、自社で独自にやるのか、他社とアライアンスを組むのか、今後、考えて行っていきたいと思います。
さてここで、社名ラグザスの名前の由来について教えてください。
ラグザスは、RAXUSと書き、三つの言葉の造語です。 英語の「Radical (先鋭)」、ギリシャ語の「AXia (価値あるもの)」そして「ASu (明日つまり未来)」。 急進的(現状を変えることに積極的)な集団が、顧客価値を創造し、今ココにない未来を創り出す組織である事を意味しています。
どんな人材を望まれていますか?
全般的にものごとを見られる人ですね。経営層、幹部層、プログラムを組む人もそうです。 レベルの高い人が入ってきて、今いるメンバーも刺激を受けて切磋琢磨し合う。今より上を目指せば能力的にきつくなる部分も出てきますが、それは筋肉痛と同じで当然のこと。 そんな成長痛を起こしながらやっていきたいですね。
取材日2016年1月22日 ライター 宮崎 純代
企業名 株式会社ラグザス・クリエイト
- 代表者名(ふりがな): 代表取締役 福重 生次郎(ふくしげ しょうじろう)
- 設立年月: 2008年4月
- 資本金: 1千万
- 事業内容: Webサービス事業 Webメディア企画・開発・運営事業ソフトウェアの企画・開発事業
- 所在地: 大阪府大阪市中央区淡路町3丁目6-3 御堂筋MTRビル12階
- URL: http://raxus-create.co.jp
- お問い合わせ: サイトのお問い合わせフォームより