ユニークなアイデアを福岡から世界に発信していきたい
- 福岡
- 株式会社モアミザン 代表取締役 奥野裕喜氏
カメラマンのかっこいい姿に魅かれて
会社を立ち上げるまでの経緯を教えてください。
僕は佐賀出身で、福岡に遊びに行った時に街で見かけるポスターがかっこよくて、ポスターを作るような仕事がしたいと思うようになりました。そこでまずはビジネスやパソコンのスキルを身につけるために地元の商業高校に進学し、簿記や情報処理などを学んだ後、福岡の専門学校のCGクリエータ科のデザイン学科に進学しました。そこで先輩がカメラを持って歩く姿を目にして、「カメラマンってかっこいい!!」とあこがれたんです。先輩についていき、学内で映像を学ぶ人たちの集まりに参加するようになりました。
もともとカメラや映像に興味があったのですか?
いえ、それが全くなくて……。その集まりには映画好きの人が多く、ディープな話が繰り広げられていましたが、僕はスティーヴン・スピルバーグさえ知らず、『スター・ウォーズ』や『ジュラシック・パーク』、『アルマゲドン』といった有名な映画すら観ていませんでした。ただ、テレビのCMは好きでよく見ていたので、CMの話題は得意でした。
映像を学んでみて、いかがでしたか?
初めはわからないことばかりで覚えることが多く、とても大変でした。でも、映像を作ることはとても面白く、撮ることも編集する作業も楽しくて、すぐに映像の世界にのめり込みました。
ブライダル映像会社を経て、フリーランスに転身
卒業後はどんな道を選んだのでしょうか。
僕が就職を考える頃、ちょうどノマドワーカーやフリーランスが注目され始めた時期で、ゆくゆくは組織の枠から出て働きたいと考えていました。 ただ、最初からフリーというわけにはいかないので、まずは映像業界に入ることを目標に、福岡にあるブライダル映像の制作会社に就職しました。社会人としてのマナーを体得するところから始まり、様々なブライダルの現場で、基本的な映像の知識と技術を身につけることができました。
起業されたきっかけは?
個人レベルで知人からの映像のお仕事が度々入ってきて、自分の力で仕事を取ってるわけではないのに、勘違いをしてフリーランスに転身したのがきっかけです。入社から3年目に、映像業界の交友関係をもっと広げたいと思ったことから、独立しました。23歳の時です。 もともと知人から相談されることが多かったので、仕事を受注することがこんなに難しいとは思いもよりませんでした。単発の仕事は入っていても、長期的にみると経営はなかなか厳しく、正直「失敗したな」と思ったこともありました。 それでも、だんだんお声がけいただくことが増えてきて、今年3年目になりますが、おかげさまで順調にお仕事をさせていただいています。
業務内容について、教えていただけますか?
メインは、企業の経営理念やイメージ、商品、サービスを紹介するような映像の企画制作です。写真の撮影や、WEBサイトで使う動画も多く手がけています。
企画力を高め、ユニークなアイデアを世界へ
2016年4月に法人化された理由は?
はい、株式会社にした理由は3つあります。1つ目は、個人と法人ではクライアントからの見られ方が全く違うと知ったこと。2つ目は、大きな会社と取引する際、法人化の必要があったこと。そして3つ目は、目先のことをこなすだけでなく、5年後、10年後を見据えて、早めに法人化しておこうと決意しました。今は僕ひとりですが、これからスタッフを増やしていきたいと考えています。
御社の特長を教えてください。
福岡では珍しい機材を所有しているので、映像に関することなら幅広く柔軟に対応することができます。それから、他にはない、人がビックリするような企画を出すことを強く意識しています。 映像の企画屋として、映像の技術力を高めるのはもちろんですが、それ以上にプランニング力を強化しCMや広告、イベントなど幅広いコンテンツを作っていきたいです。
目標としているクリエイターはいますか?
博報堂出身で、『月刊風とロック』の編集長も務めている箭内道彦(やない みちひこ)さんに憧れています。作品としてはタワーレコードの「NO MUNIC, NO LIFE」をはじめゼクシィや東京メトロのCMなどを幅広く手がけ、テレビ出演やバンド、映画監督としても活躍されています。箭内さんの作品は、一風変わったユニークなものが多いんですが、僕もそんなふうに人をアッと言わせる作品を作りたいと思っています。
奥野さんが見据えている今後のビジョンは?
ここ福岡から、ユニークなアイデアを世界に発信していくことです。福岡には有名な映像会社がたくさんありますが、僕はアイデアで何かしら新しいフィールドを開拓したいと思っています。そのために、僕自身は覚悟を持って30歳までにいろいろな経験を積んで力をつけるつもりです。それから同時に、同年代のフリーランスのネットワークを広げ、分厚いプラットフォームを作っておきたいです。ともに仕事をしたり、切磋琢磨したり、そのネットワークがのちのち生きてくると思うのです。
自分に火をつけ、いつまでも成長していく
最後に、クリエイターに向けて、メッセージをお願いします。
映像についてほとんど何も知らなかった僕でも、今は映像業界で特に営業活動をすることなく、いろいろ仕事をさせていただいています。それは、僕が人とのつながりを大切にしてきたからではないかと思います。映像の知識や技術を身につける術はいろいろありますが、人とのつながりは自主的に動かなければできません。「この人と一緒に仕事をしたい」と思われるように、ひとつひとつ質のいいコミュニケーションを心がけることが重要だと感じています。
奥野さんがコミュニケーションで心がけていることは?
早く反応することです。 以前、ある方からに「早く反応すると軽い人に見られるよ」と指摘されたことがあるのですが、それでもやっぱり素早いレスポンスは相手にとっても、いいことだと思うのでこの姿勢を貫きたいと思います。 それから、いつも心に刻んでいるのは、箭内道彦さんの「火事場をつくれ。自らを放火せよ」という名言。自分で自分に火をつけることで、ずっと成長していきたいですね。
取材日:2016年5月25日 ライター : 佐々木恵美
株式会社モアミザン
- 代表取締役:奥野裕喜
- 設立年月日:2016年4月
- 事業内容:写真撮影、映像の企画制作全般
- 本社所在地:〒812-0011福岡市博多区博多駅前3-26-10 司ビル3F
- TEL:092-260-3928(会社) 080-1707-9569(直通)
- URL:http://www.more-mise-en.com/