印刷会社からの脱却! メディックならではの価値を損なうことなく新しいビジネスに挑戦
- 札幌
- メディック株式会社 代表取締役社長 大沼 学氏
“印刷会社”から“印刷機能を持つ広告代理店”へ
御社の事業内容を教えてください
メディックは今年で34期目を迎える総合広告代理店です。先代が創業した当時は病院の伝票をつくる印刷会社としてスタートしましたが、現在ではセールスプロモーション(以下SPと略す)やWeb制作も手がけるようになりました。というのも、私が入社した14年前には、競合との価格競争が原因で会社の売り上げが落ちてきていたからです。そのため、これからどう売り上げを伸ばしていこうかと考えた時に、この先は印刷に加えてなにか“メディックならではの価値"がないと生き残っていくのが難しいだろうと思いました。そこで、今後は広告の企画やデザイン、Webにも力を入れ、印刷も行えるワンストップサービスの広告代理店を目指そうということになり、14年前に方向転換しました。
印刷業とそのほかのお仕事の割合はどのくらいなのでしょうか?
現在、メディックは、印刷・SP・Webを事業の三本柱としています。印刷だけの仕事もありますがそれ以外も増えて、割合としては印刷が40%、SPが40%、Webが20%といったところです。今後はWebの比率を増やしていきたいと思っています。
得意な“病院”分野での伸びしろを探り“病院広報”の仕事をはじめる
御社が、現在もっとも注力しているお仕事はなんですか?
“病院広報"に関する仕事です。これは、創業時からお付き合いのある病院と、なにか新しい事業をはじめられないかと考えスタートさせたものです。実は病院の“広告"というのはかなり難しい分野でして、医療法で厳しく規制されているために自由に情報を発信することができないんです。そのせいで、病院を探している患者さんに情報が伝わりにくいという現状がある。みなさんも「お腹が痛くなったけど、どこの病院に行けばよいかわからない」といったような経験があるのではないでしょうか? これもある意味、病院の広告が規制されていて、情報が制限されているせいなんですね。そこで“広告"ではなく“広報"という形で病院の情報を患者さんに伝えていくのはどうだろうかと思いつきました。
病院の広報というと、具体的にはどういったお仕事なのでしょうか?
ひとつには、広報誌の制作というのがあります。しかし単純に“広報誌の制作を請け負う"だけでは終わらせていません。病院の広報誌を制作するには、さきほどもお話ししたように医療法についての知識が必要だったり、病院によってはレイアウトの仕方や文章の書き方、写真の撮り方についてまったく知らない担当者の方も多いんです。そこでメディックでは、広報誌を制作していただいた病院に広報誌の作り方をアドバイスするなど、付加価値として弊社ならではのサービスも行っています。さらに最近、病院広報サポートネットという任意団体を立ち上げ、webサイト上で病院広報に関する情報を集約させていこうと思っています。将来的にはこの「病院広報サポートネット」から、新しいビジネスにつながる展開も考えています。
Web・モバイルからシステム開発まで、 “断らない”姿勢で新ジャンルにチャレンジ
ほかにはどのような仕事を手がけているのでしょうか?
飲食店や不動産会社のSPとして、チラシやパンフレットから、看板やメニュー、のぼりの制作まで集客に関する販促物について、総合的に制作を請け負っています。そのほかにも、印刷物やパンフレットをデジタル化したいというお客様の声に応えて、Webやモバイルコンテンツなども手がけてきました。例えば、某リゾート施設からいただいた「レストランの混雑状況をお客様がお部屋に居ながら確認できるようなものを作れないか」という要望に対し、スマホから「今、このレストランは何分待ちなのか」ということを確認できるシステムもつくりました。このほかにもリフトの運行状況を確認できるシステムを開発したので、これをパッケージ化して別のクライアントへ販売するといったビジネスも考えています。
Webやシステム開発など、新しいお仕事を請けた時には、あらかじめ社内にリソースを用意されていたのでしょうか?
いえ、外部に発注していました。なので、うちとしても勉強しながら仕事に取り組んでいたという感じですね。弊社のように印刷業からWebやシステムなど、まるっきり新しい分野に挑戦する時には、まず“断らない"ということが大切だと思います。 そうしないと、仕事が逃げてしまいますからね。
仕事にプラスアルファ、メディックならではの価値をつけていく
札幌の印刷業界は、現在、どういった状況なのでしょうか?
厳しいと思います。印刷だけをやっていても、この先、生き残ることは難しいでしょうね。そういった意味で、他社さんもデザインの仕事を始めるなどして生き残りを図っていますが、これから業績を伸ばしていくためには、やはり先ほどから話しているように“付加価値"をつけるということが重要だと思います。
メディックは病院伝票をつくっていた創業当時から、伝票制作に加えて担当者に伝票の使い方をレクチャーするなどして、他社との差別化を図ってきました。その頃から工夫して“メディックならではの付加価値”を追求していた訳ですから、今後もその点を大切にしていきたいです。
最後に、メディックの今後の展開についてお聞かせください
立ち上げたばかりの「病院広報サポートネット」を窓口にした新しいビジネスの展開を考えています。例えば、「病院広報サポートネット」を見に来たお客さんを相手に、診察券を販売するといったことです。クリニック向けに診察券を売っている会社の数はたくさんあるんですが、それなりにコストがかかります。対して、メディックで制作すれば、診察券だけでなくロゴマークの制作まで行って、かつ値段を安くおさえることができる。そうした体制をつくれば、きっと需要が生まれると思います。
また、大きな目標としては、病院広報についてなんでもわかる道内一の企業になりたい、ということがありますね。それをビジネスにつなげていくのはもちろんのことですが、そのほかにも広報という形で病院の情報をしっかりと患者さんに伝えることで、みなさんのお役に立てる会社になれると嬉しいです。
取材日: 2016年7月21日 ライター: 山田桃子
メディック株式会社
- 代表者名: 代表取締役社長 大沼 学
- 設立: 1983年3月
- 資本金: 48,500,000円(平成28年2月1日現在)
- 本社: 札幌市白石区北郷3条4丁目7番18号
- URL: http://www.medicgroup.co.jp/