媒体×クリエイティブを高次元で実現する 最強の広告会社を目指す
- 京都
- 株式会社ジェー・ピー・シー 代表取締役 山本 修司 氏
父から引き継いだ会社。当時の広告業界の状況を見て、コンテンツ事業で成功しようと決意
これまでのキャリアについて教えてください。
弊社は当初、私の父親が紙媒体を主軸にグラフィックデザインの会社として創業しました。私は当時、全く異業種に勤めていましたが、 会社立ち上げから3年くらい経った頃、32歳の時に、京都に帰って来ました。
それまでは正直、父親の仕事には関心がなく、仕事に不満があったわけでもなく、父親と話すうちに、ああ、そういうタイミングなのかなと思いました。
戻られた時の会社の状況はいかがでしたか?
従業員が20人近くおり、商業印刷のカタログやポスター、チラシ等を作るグラフィックデザインが主力事業でした。私は広告業界の経験がなかったので、業界を知るために、最初の3ヶ月くらいは自分で営業をしてみました。
そこで、広告業界は大きく分けると、媒体を販売する代理店があり、クリエイティブの会社があり、印刷屋さんがある、ということがわかりました。そして、クリエイティブつまりコンテンツを作る会社は、グラフィック、ウェブサイト、映像制作会社など、種々雑多でした。
当時はインターネットはまだまだという感じだったんですね。
Webサイトの制作会社が出始めたくらいですね。
業界のことが大体わかったところで、次に、テレビの放送枠の販売が最も利益が高いことがわかりました。これを売ったらすぐに終わると思ったのですが、全然売らせてくれないんです。放送業界ってすごく閉鎖的なんだということに気付いて、これはやめようと思いました。
次に印刷ですが、インターネットの時代が到来し始めていたので、やるべきではないと判断し、コンテンツ会社として成功しようと考えました。
ワンデータ、マルチユースでビジュアルの整合性をとり、ブランディングを形成する
コンテンツ会社で成功するために、どのようなことを考えられたのですか?
まずは、「デザインの領域を広げて、ワンストッププロモーションを提供する」というスローガンができました。どんなビジネス分野でも、プロフィットモデル(=利益を生み出す仕組み)というのは絶対にあります。そこで、コンテンツ業界でのプロフィットモデルというのを考え始め、たどり着いたのが、ワンデータ、マルチユースです。ワンデータを多様な媒体にマルチにユースしていくことが、我々にも、企業様にも利益をもたらすWin-Winの関係を創造することに気付いたんですね。
なるほど。ワンデータで、ですね。
全ての広告は、言葉と絵から出来ています。その中でいちばんキメ顔のところというのが、キービジュアル※1です。そこを作ると、カタログやウェブサイトなど、マルチメディアにキービジュアルが形を変えながら展開、応用されていくわけです。そうすることによって、統一されたビジュアルが完成される。メディアは変わるけれど、統一された同じビジュアルを人は繰り返し見るようになるんですね。
※1ウェブサイトや他の媒体で中心となるイメージ画像(イラスト、写真、絵など)のこと。ブランドイメージに大きな影響を与える。
それは、企業にとってメリットになりますね。
そうですね。企業にとっては、ビジュアルの整合性がとれますし、それはブランディングの形成に役立つと言ってもいいでしょう。一つの会社が全てのメディアのデザインをするわけですから、早く安く出来上がるというメリットもあります。我々にとっても、一度作ったキービジュアルによって、メディアをまたぎながら何度も流用展開が可能ですから。
クライアントは大手企業のみ。少数精鋭で高収益を上げる
クライアントは例えばどういった方でしょうか?
下請けは一切せずに、上場企業もしくはそれに準ずる優良企業と取引するという条件で展開しました。当時は40社くらいの大手企業のみと取引していて、新規取引はほとんどしませんでした。つまり、コンサルタントのように企業に入って、いわゆる映像やグラフィックなど、ブランディングを形成するクリエイティブコンテンツに関しては全部うちでやらせてもらうということです。
実際に、会社の売り上げとしてはどうでしたか?
当時、少数精鋭で高収益を上げる、クリエイティブをワンストップで提供する会社ということで、非常に喜ばれていたと思います。一貫して黒字経営を貫いていましたしね。
少数精鋭ということであれば、相当お忙しかったんじゃないですか?
最初の5年くらいは、営業や制作関係を見て遮二無二頑張ったのですが、こんなに忙しいのかと徐々に疲れ始めました。受注産業なので、仕事を取ったら納期もありますし、止められないわけです。そういうこともあって、こういった会社は規模を大きくするもんじゃないな、と当時は思っていました。次の5年間くらいはもうこれでいいというか、そういう倦怠期みたいなものがすぐに訪れたんですね。
迎えた大きな転換点。今までの考え方を捨てて、企業としての成長に目を向ける
"倦怠期"は何をきっかけに脱したのでしょうか?
倦怠期から5年くらい経って、正式に社長になりました。そこでふと振り返った時に、今までは日本を代表する上場企業と付き合っていればそれでいい、とけっこう高飛車な感じだったんですよ。でも、リーマンショックで、名だたる大手企業がワークシェアリングをやり始めて、大手企業といえども意外に脆弱なんだなと疑問を感じ始めました。
あとは、私を信じて付いて来てくれる社員に対しても、少数精鋭で高収益を上げていたらそれでいいという考え方がどこか間違っているように思い始めました。やはり会社を大きくして組織だっていく方が人は喜ぶでしょう。
もっと会社を大きくしていくことと、たくさんの企業に支えられてより確固たる基盤を築く方がいいんじゃないかと考えました。一旦ここで、自分の考え方を捨てて、企業として成長しようと思ったんです。
大きな転換点ですね。考え方を変えられて、具体的にどういった取り組みをされたんですか?
まずは土台を作ろうと思い、新卒採用を始めました。会社の礎となるような幹部候補生を採用していくことにしたんです。
そして、東京営業所を作りました。新規の営業も新卒でどんどん行えるようにして、結果、約7年間で、取引先は40社から350社くらいになりました。全部大手企業ばかりです。
そこからさらに、デザインの領域を広げることに対しても、より力を入れていくということで、この4月で社員が52名と倍以上になります。SNSやディスプレイ広告の運用、動画広告、こうしたものにも着手するようになっていきました。「デザインの領域を広げて、ワンストッププロモーションを提供する」というスローガンに対して、より一層真面目に取り組むようになってきたんですね。
ワンストッププロモーションを提供するために必要な人材、システムを充実させる
セクションをかなり明確に分けておられるんですね。
コピー、グラフィックデザイン、ウェブ、それぞれチームができて、この当時にはなかった、ウェブマーケティングチームもあります。立体ものの設計に特化するディスプレイチーム、CGのチームもできました。
今はインターネット広告がテレビに次ぐようになってきていますよね。映像は撮影も編集もしますし、撮影をするためにスタジオも建てました。CGを処理するようなパソコンや、レンダリングしていくようなマシーンも入れましたね。
自社でスタジオもお持ちなんですね。
3年半くらい前に社屋を現在の場所に移転して、2年半くらい前に旧社屋を「ワンストップスタジオ」に建替えました。
このスタジオも、ワンストッププロモーションをすごく意識しています。大きな商品撮影ができる白ホリ※2の大型スタジオで、スチールを撮った後に映像も撮れるように完全防音なんですよ。コストも2分の1で済みますよね。同時録音対応で、4面クロマキーでグリーンバックが敷設されているので、CGの合成なんかもここでできますよ。おかげさまで、今すごく繁盛スタジオになっていて、弊社の収益を支えています。
※2(白ホリゾント)。一般的には完全に遮光され、正面の壁と床が白く塗装されておりその接合面は直角ではなく緩やかなアールで繋がっており、床と壁の境目が分からないようになっている。
あらゆるニーズに応えられるという点でも、お仕事のご依頼がたくさん来ると思うのですが、どのように対応されているのでしょうか?
営業が14人くらいに対して、35人くらいとほとんどが制作なんです。基本的には職人集団ですが、冷静に考えると、膨大な量の仕事を40人弱で作れるわけがないんですね。
そこで、5年くらい前にJフレンドシステムを作りました。在宅ワーカーやフリーランスの方が弊社のサイトから、職種ごとにクリエイター登録ができるんです。今、全国で400〜500人が登録されています。クリエイターバンクのようなものですね。
このシステムの利点は、遠方の取材でも交通費や宿泊代がかからないということ。全国にネットワークがあるので、現地のJフレンドに直接依頼でき、多くの仕事を回せるシステムになっています。また、フリーの人たちのつながる場にもなっています。
あとは、代理店事業部というのが昨秋立ち上がりました。スタジオを借りられる広告代理店が大変多くて、弊社のスタジオで撮影したものを弊社で制作しています。
次は「最速への挑戦」。より広く媒体を扱っていきたい
現在はとくにどのようなことに注力されていますか?
CGや、CMソングなどサウンドのデザインというのも始めました。CMソングは覚えやすい歌でブランドを作る中小企業のブランディングのための決まり手です。私は、ブランディングを成功させるためにいちばん重要なのは、クライアントが記憶させたいイメージを定着させることだと考えています。
CMソングを作り、そのイメージで映像を作る。それを動画広告で見た後に、CTA(Call To Action)、アクションを呼びかけるんです。例えば、動画を見て興味を持った人がその後ゲームをダウンロードするというイメージですね。そういう形の動画広告が今後、集客手法のメインになってくると思います。今は、最も費用対効果があって結果が出やすいインターネット広告やSNS広告を主に販売しています。
今後の展望についてお聞かせください。
次は、「最速への挑戦」という新しいスローガンを作りました。世の中にいい商品やサービスがあれば、最速で広めるということです。そのためには媒体が重要です。いよいよ媒体をやる時が来たぞと、思っています。
広告というのは極論、集客をしないといけないわけです。集客するために必要なのは、繰り返し見る媒体と、その広告を見た際に印象に残るかどうか、この二つです。このうちのどちらかが欠けてもダメなんですね。
媒体とクリエイティブを高次元で組み合わせられる=最強の広告会社です。私の中で「媒体コンビニ構想」というのがあって、私たちが目利きをして、本当に集客に役立つと思う媒体だけを厳選して集めて、適正価格でネットで売るんです。「AdMarket」というネット通販型Web・SNS広告運用サービスを立ち上げました。半年ちょっとですが全国から運用依頼がインターネット経由で集まり、手ごたえを感じています。
おそらく、2〜3年後にはインターネット広告だけでなく、いろいろな媒体を扱うようになっていると思います。媒体も売って、コンテンツも作る。ハコは作ったので、あとは大きくしていくだけです。
取材日: 2017年3月24日 ライター: 垣貫由衣
株式会社ジェー・ピー・シー
- 代表者名: 代表取締役 山本修司(やまもと しゅうじ)
- 設立年月: 1994年10月
- 資本金: 20,000,000円
- 事業内容: 宣伝広告物の制作、Webサイト・動画コンテンツの作成等
- 所在地: 本社 〒600-8062 京都府京都市下京区恵美須屋町193
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