WEB・モバイル2017.04.19

北海道のプロモーションと言えば、一番に名前が挙がる会社を目指して

札幌
株式会社インサイト 代表取締役 浅井一氏
北海道・東北エリアにおける広告・販促プロモーションにおいて、行政をはじめ多くの企業から厚い信頼を得ている株式会社インサイト。様々なメディア、自社媒体、更には自社のマーケティングリサーチシステムを活用したマーケティングプロモーションの提案を行っています。これからの広告業界と広告会社のあり方とは。代表取締役の浅井一(あさいはじめ)さんにお話を伺いしました。

31歳で父の会社を引き継ぎ、代表に就任

代表になるまでのキャリアを教えてください。

高校卒業は建築会社に勤務しましたが2年ほどで退職し、その後父が経営するインサイトの前身会社に入社しました。入社後2年間は関連の印刷会社で印刷知識を学び、こちらに戻ってきた後は営業部門に配属になりました。 その8年後に社長だった父が亡くなり、1990年に31歳で代表取締役に就任しました。

31歳の若さで代表に就任されたのですね。その頃の苦労についてお話いただけますか?

私もまだ若かったのでその年齢で社長になるなんて考えておらず、まさに青天の霹靂でした。営業としてはそれなりにやれていた自負はありましたが、会社の経営については全くわかりませんでした。しかも当時はちょうどバブルがはじけた頃で、住宅マンション系広告の仕事が中心だったこともあって、売上が7割まで落ちて、とても大変な時期でした。社長になってから3年くらいは父から引き継いだ会社を守ることで精いっぱいでしたね。新しいことを考える余裕もなく、当時クリエイティブ部門のトップだった専務と、総務経理部長と一緒になんとか会社の経営を回しているという状態でした。

若いが故のご苦労もありましたか?

社員との関係性など人の問題についても当時はずいぶん悩みました。就任後4年目くらいから少しずつ会社の理念や方向性、仕組みなどの改善に取り組み始めたのですが、60歳近かった先代社長と30代半ばの私では仕事の考え方や進め方が違います。新しいやり方や仕組みを取り入れようとすると、それを良く思わない古参の社員もいました。若造に使われるのが嫌だという年上の社員もいたと思います。今でこそ30代の経営者も多いですが、25年以上前の話ですから。会社が新しく変わっていく過程で折り合いのつけられない人は辞めていき、元からいた社員の半数くらいは会社を去りました。その一方、理解してくれる人は残り、賛同してくれる新しい社員が入り、新しい体制が少しずつ社内に浸透していきました。

自社のマーケティングシステムで得たデータをベースにプロモーション提案を行う

現在の事業内容を教えてください。

いわゆる「総合広告会社」として、各クライアントへプロモーション活動の企画・提案・実施プロデュースの全般を行っています。 また、他の広告会社にはない当社だけのオリジナルのものとして「インサーチ」というマーケティングリサーチシステムがあります。札幌市内とその近郊の30・40代を中心にモニターが6,500人おり、ママ向け情報誌「CouLeur.(クルール)」の会員でもあるママサーチのモニターも合わせると約1万人のモニターを有しています。札幌でこの規模のモニターを自社で持っているのはほとんど類を見ないと思います。そのシステムを活用してマーケティングリサーチを行い、そこから得たマーケットデータを元に商品開発やプロモーションの企画、提案を行っています。

マーケティングリサーチも自社でできるということですね。

マーケティングは、大手企業では専門の部署やスタッフがある程度力を入れて行っていますが、ローカル企業ではまだまだです。取り入れているつもりでも、実際は担当者や社長の好みでプロモーションや商品が決まっていることも珍しくありません。そこに対してどんな提案をしていけるのかということを日々考えています。しっかりとしたマーケティングデータがあれば、一個人の感覚や感性ではなくデータという根拠を元にした提案ができます。根拠がしっかりあれば、クライアントからの「なんか違うんだよな」という感覚によったNGはなくなり、やるべきことが明確になるはずなのです。

行政とのお仕事も増えてきているとか。

2016年からは日本オラクル株式会社さまと提携をして、抽出・解析したビックデータとインサーチモニターのデータを合わせてマーケットデータを作成し、北海道庁へ提供しています。SNSへの投稿などを北海道観光に関わる特定のワードで抽出して解析し、新たな観光資源の発掘に活用しています。特に現在のように、インバウンドが多い時期の行政機関にはとても重宝されるデータです。

フリーペーパーなどの自社媒体も出されていますね。

子育てママ向けのフリーペーパー「CouLeur.(クルール)」札幌版(http://sapporo.couleur-mama.net/)を隔月で発行しています。事業全体におけるクルールの収益自体は大きなものではないのですが、そこから派生する仕事の広がりはとても大きいです。メイン読者である20~40代の子育て世代はあらゆる業界のターゲットになり得ます。そこに対する広告展開はもちろん、様々な企業とタイアップしたイベントや講座なども年間50回程コンスタントに行っています。今の時代、イベントは大掛かりなものでなくても良く、実際にママさん達を集めることができるという意義が大きいのです。ママ世代をターゲットに持つ企業に対して情報発信やイベントを通して貢献していくことで、そこからマーケティングやプロモーションの仕事に繋がっていきます。インサーチと同じで、あまり表には見えづらいですが会社全体の仕事がうまく回っていく要因の一つになっています。

小さいことでも自分で考えてチャレンジできる人が伸びる

一緒に働くスタッフに対して、会社としてどのようなことを求めますか?

ソリューション能力ですね。最初から能力が高くなくてもいいんです。自ら課題を見つけて解決しようと動ける、要は能動的に仕事ができる人ということです。少しずつ経験値が増えるのは当たり前で、自然にそうなっただけです。しかし能動的にチャレンジをしていける人はそうでない人より1段跳び2段跳びでステップアップしていける。物事に興味を持ってアンテナを張っていれば自然と疑問も沸くし、それを解決していくことで知識と経験に繋がっていきます。

2008年にはアンビシャス市場(札幌証券取引所)に上場されていますが、上場して大きく変わったことはありますか?

やはり対企業への信頼度が大きく変わりました。特に大手企業と取引の際など、昔は取引をしていた支社の支社長が変わるたびに泣かされたりもしましたが、上場してからは話が早く進みますね。ある一定以上の規模の会社であるという証明になりますから。 採用の面でも上場後は優秀な人がさらにたくさん応募してくれるようになりました。しかしその反面、「上場企業だから安定してそう」という考えで応募される方も増えたように感じます。広告業界には華やかなイメージを持っている人が多いと思いますが、実際には大変なことや地味な仕事も多いので、イメージ先行で入社すると辛いと思います。

何を売るかではなく、目的のために何をするか。

現在の北海道の広告業界についてはどう思われますか?

現在、広告業界は色々なことが劇的に変わっている最中です。働き方もそうですが、スマホの普及率も上がり、SNSの世界が大きなウエイトを占めてきています。旧来からのメディアだけでは効果的な広告活動ができない時代になってきています。その中で、北海道は圧倒的に遅れていると感じています。テレビの影響力がまだ強く残っていることもあり、デジタルメディアとのリンクがまだまだなされていませんね。当社でもデジタルメディアの仕事とそうでないものの割合は1:9程度です。ただ、収益のバランスはそう遠くないうちに変わってくると思います。

今後の展望をお聞かせください。

今までマーケティングを重要視しながら広告会社として取り組んできたことは、ある程度形になってきたと自負しています。これからはそれを活用していくメディアが変わっていきます。単なるメディアの広告提案ではなく、マーケティングプロモーション、デジタルプロモーションの提案をさらに強化していきたいですね。 仕事の幅はとても広がってきていて、単純な「広告代理店」という立ち位置には既に在りません。北海道のマーケットを一番理解して、いろいろなソリューションを提供していく会社にしていきたいと考えています。

取材日:2017年3月22日 ライター:小山佐知子

株式会社インサイト

  • 代表者名(よみがな):代表取締役 浅井一(あさいはじめ)
  • 設立年月:1975年6月
  • 資本金:1億3925万円
  • 事業内容:広告・販促企画の制作と総合プロデュース、
         地方自治体・公共団体のイベント・広報計画の企画・制作の総合プロデュース、
         マーケティングリサーチサイトの運営、市場調査分析・CS調査・広告効果測定、
         情報紙誌の発行など
  • 所在地:【本社】北海道札幌市中央区北四条西三丁目1番地 札幌駅前合同ビル6階
  • URL:https://www.ppi.jp/

TAGS of TOPICS

続きを読む
TOP