WEB・モバイル2017.06.28

沖縄でNo.1のIT系エンターテインメントコンテンツ会社を作る

沖縄
株式会社スタジオアイジャ 代表取締役 小野原 明仁 氏
今回訪問したのは日本最大規模のゲームや映画のレビューSNS「クチコ(kuchico)」の開発を行っている株式会社スタジオアイジャです。2016年7月後半に沖縄への進出を考えはじめ、1ヶ月半後の2016年9月に会社を設立したという代表取締役の小野原明仁(おのはら あきひと)さんに、起業までのキャリアから現在、将来のビジョンについて伺いました。

2000年からずっとIT系エンタメコンテンツ制作に携わる

以前は東京で仕事をされていたと伺っていますが、どのようなお仕事をされていたのですか?

私が行ってきた仕事の内容の本質は昔からずっと変わらずにコンテンツづくりの一言につきます。
IT系コンテンツプロバイダーに2000年から2012年まで勤め、当時はドコモやau、ソフトバンクのコンテンツプラットフォームで着メロやゲームなどのコンテンツ配信といったエンターテインメントのサービスを作っていました。自分たちが制作したコンテンツでお客様が喜んでくださることにやりがいを感じていました。
勤めていた会社は最初こそ小規模でしたが、エンターテインメントコンテンツの需要が高まっていくなかで上場もはたし、規模が大きな会社になりました。
しかし、組織が大きくなるに伴いエンターテイメントを追求できない状況も増えていきました。やりがいと感じていた自らコンテンツを作ってお客様に提供することが難しくなり、歯がゆい思いをしました。
このままではいけないと考え、会社を辞めて独立し、ネット系のコンテンツ企画会社を東京で作りましたが、それとは別に沖縄でスタジオアイジャを立ち上げました。

東京の会社とは別に新たな会社を作ろうと思ったきっかけを教えてください。

退職当時はグリーやmixiのようなソーシャルゲームがブームだったので、デザイナーやエンジニアの需要が高く、無名な会社はもちろん、中堅どころでも人材を揃えるのが難しい時代でした。東京にある会社はデザイナーやエンジニアはおらず、企画やディレクションもしくはコンサルティングといった機能しかありません。そのため、前の会社にいた頃から行いたいと思っていた自分たちでコンテンツを作ってお客様に提供する仕組みを東京の会社では作ることが出来ませんでした。
そうしたなかで去年ニアショア開発の話に触れる機会がありました。一度考えてみようと北海道から沖縄まで現地を見てまわり、県の職員の方や学校の先生、生徒さん、IT系企業に勤めている方にお話を伺いました。話を伺っていくと地方にもコンテンツ制作に意欲的な人がたくさんいるとわかり、東京以外でもコンテンツづくりをする組織を設立できると思い、地方への進出を決めました。東京の会社の支店という形での進出も考えましたが、私自身がこちらに来て地に足をつけて沖縄県の地元企業をつくり、そのうえで地元の方々と向き合いたいと思い別の会社として設立しました。

会社設立の際、沖縄を選んだ理由は?

個人的にですが、私は海や南国が好きなので、新たな生活を始めるのであれば寒いところよりも暖かいところがいいというシンプルな動機です。
仕事の面でいうと、沖縄はアジアの中でも海外につながりやすい立地で、IT系の開発やコンテンツ業界への就職を希望する地元の若者が増えており、IT業界への就職に対してモチベーションがあります。他の地域と比べた時にITに対するモチベーションの違いを感じて、沖縄に決めました。
また、沖縄にある同じ業界の企業と比較したときに、事業領域や仕事の内容が差別化できると感じたのも沖縄に来たひとつの要因です。沖縄にエンターテインメントに特化したコンテンツ作りをやっている会社はほとんどありません。ほんの小さな力ではありますが、地元の人と連携しながら沖縄の業界の発展に貢献できるのではないかと思っています。

GEO(ゲオ)が取り扱う映画やゲームのレビューSNSサイトの開発に携わる

現在の事業内容を教えてください。

GEOグループの中にゲオネットワークスというネット系の事業を行っているグループ会社があります。その会社と一緒にGEOが取り扱うゲームや映画などの商材を評価するレビューSNS『クチコ』の開発・デザインが現在のメイン事業になります。『クチコ』では6,000万レビュー以上のレビュー数を保有し、規模としては昨年日本一になることができました。しかし、サービスの浸透率はまだ低いのが現状です。例えば、居酒屋やごはん屋さんを探すのであれば『食べログ』といったように、今後は映画やゲームを調べるならGEOの『クチコ』と真っ先に思い浮かべてもらえるようにしていきたいです。

他にはどのような事業をされていますか?

映画やゲームの特集サイト制作、スマホゲームの開発・デザイン・キャラクター制作やゲームポータルサイトの運用・制作、CM動画制作などを行っています。

私達のビジョンに共感してくれる人と一緒に働きたい

オフィス風景

スタジオアイジャを起業してからこれまでに、大変だったことは何ですか?

仲間集めとチームづくりです。決して仲間集めが上手くいっていないというわけではなく、仲間が足りていない状況です。
チームづくりに関して言うと、会社という組織には『会社としての目的があり、個々の事業としての目的があり、仕事と作業の分別ができて、スタッフそれぞれに役割と責任があり、そのうえで給料や売上、利益という対価を得られる』というのが根底にあります。この認識を全員であわせていくことが社長である私の役割なのですが、皆さん人間なので個人的な感情ももちろんあって、意思疎通が上手くいかないこともあります。私もこれほど急激に人を集めて組織づくりをするのは久しぶりだったので、一度初心に帰って、人への配慮をもっと重視していく必要があると感じています。これは苦労というよりは、改めて気付かされたことで、気づいて良かったと思っています。

どのような人と一緒に働きたいと思いますか?

まずは「私達のビジョンに共感しているか?」という点です。数ある会社のなかでなぜうちで働きたいのか、うちの会社で働く意味や意義を自覚しているかどうかを重要視しています。私達のビジョンに少しも共感できないのであれば他の会社でもいいのでは?と思います。
仕事でお願いする役割に対して対価を支払うのであって、出身はもちろん年齢や性別、学歴は関係無く、どれだけの能力があるのか、どのように取り組むのかを平等な目線でみています。きちんとお客様の事を考えてこだわる、事業目的を理解する、最後までやり遂げる、そういったことができるプロ意識がある人と一緒に働きたいです。

スタッフに求めるスキルはありますか?

この業界では、想像力が重要だと思っています。
想像力というのは奇抜なアイデアのことを言っているわけではなくて、例えば、物が机から落ちそうになっていたら、危ない、と気づき、誰に言われずとも落ちない位置に直しますよね。
簡単にいえばこれが想像力(気配りや配慮)だと思っています。
東京にいた頃から『想像すること』と『創造すること』が大事だと思い、色んなことを頭でシュミレーションすることを習慣化しています。
クライアントやユーザーは何を求めているのか?何を考えているのか?を想像する。
その結果、アウトプットの質が高くなり、最終的にはクライアントやエンドユーザーに喜んでもらうことに繋がります。
でもそれはどこの会社でどのような仕事をしていても普通の事だと思います。普通の人であれば是非こちらから弊社に参画をお願いしたいですね。

沖縄に貢献できるようなIT系コンテンツ制作会社を目指す。

人集め・組織づくり以外に今後の課題はありますか?

沖縄でパートナー企業になってくれる地元企業を探すことです。どうしても自分たちのリソースだけでは賄えない案件があるので、沖縄で地元の横繋がりを強化しつつ、業務を拡大していきたいと思っております。仕事を東京の会社に発注したら沖縄にいる意味が無いですし、沖縄で完結できるようにパートナー企業を見つけていきたいと思います。

今後どのような会社にしていきたいか教えてください。

沖縄でNo.1のIT系コンテンツ、エンタメ系の会社になるというのが将来のビジョンです。その収益で、沖縄に社会貢献をしたいと思います。それができないと売り上げは伸びないとさえ思っております。「相手から感謝されること」=「何かに貢献した」=「お金をもらうこと」に繋がると考えているので採用面も含めて地域貢献していきたいです。
また、少なくとも自分の会社では「沖縄だから安くする」という状況を脱却したいです。「沖縄だから安く」と見られても、沖縄の物価は世間が思うほど安くはないので、成果物やサービスに対して正当な値段・価格をつけて、それでも沖縄にあるスタジオアイジャに仕事を頼みたい、一緒にやりたいと言ってもらえるような会社にしていきたいです。そのためには良いものを提供していくことが必要不可欠になります。

今後の事業展開について教えてください。

自分たちの努力が成功にも失敗にも繋がるという仕事のやり方、具体的な対価に現れる形に今後は変えていきたいと思っています。BtoCの自社サービスを今年から開始できるように進めています。
会社としての規模を大きくすることを考えると、人月、作業量ありきのやり方では、限界があり売上を伸ばすことができません。それを脱却するために、スタッフの人数に依存せず売上を変えることができるよう、お客さんの数×売上という売上構造のBtoCサービスを作っていきたいです。
ビジョンや社会貢献など少し偉そうなこと言っておりますが、仲間と共に一歩ずつ進んでいかないことには始まりません。

取材日:5月23日 ライター:小南 光

 

株式会社スタジオアイジャ

  • 代表者名:代表取締役 小野原 明仁(おのはら あきひと)
  • 設立年月:2016年9月
  • 事業内容:PC、スマートフォン、モバイルを中心としたアプリ、インターネットサービスの企画、開発、制作、運営業務全般
  • 所在地:〒900-0002 沖縄県那覇市曙2-26-6 202号
  • URL:http://ijar.jp/
  • お問い合わせ先:TEL:098-894-8670(代表)
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