WEB・モバイル2017.08.23

好きなまちで仕事をしたい。地域の企業・商品をデザインでブランディング。

札幌
株式会社インプロバイド 代表取締役 小林 元 氏
札幌の名物、二条市場の周辺は「創成川イースト」と呼ばれ、個性的な飲食店や感性を刺激するセレクトショップが増えています。そんな注目エリアにオフィスを構えるのが株式会社インプロバイド。地域や企業・商品のブランディングや各種デザインをはじめ、プロジェクトの企画・運営など幅広く手掛けており、札幌で活躍目覚ましいデザイン事務所のひとつ。代表取締役の小林元(こばやし はじめ)さんに設立の経緯や今後の展望をうかがいました。

自分たちが暮らすまちに課題や価値を発見し、デザインする

食のショールームをコンセプトとする美瑛町のアンテナショップ、「美瑛選果」。10周年記念の際、外構グラフィックデザインを手がけた。

今年で会社設立から10周年だそうですね。設立の経緯を教えてください。

学生時代にフリーペーパーを制作していて、広告の営業や制作を経験。漠然と「こういうことも仕事になるんだ」と思いました。就職活動もして内定もいただきましたが、愛着のあるまちで仕事がしたいと友人3名と起業しました。会社を立ち上げることに苦労は感じませんでしたが、続けることの難しさはありますよね。

もともとデザイナーを目指していたわけではないのですか?

はい、大学も経済学部でデザインを勉強していたわけではありません。最近は地域とデザインを結ぶサービスが多数ありますが、弊社設立当時は少なかったことからクリエイターと企業をつなげるウェブマガジン「モスリンケージ」を作って、札幌の企業やクリエイターのインタビューやイベント情報を配信していました。東京で活躍するデザイナーを札幌に招いてセミナーや展示会などを行なううちに、今の会社のカタチになりました。

デザインという支軸ができたことで仕事は変わりましたか?

学生時代の友人に広告関係の仕事をしている人が多く、デザインに携わる機会も増えていきました。ネットがあれば北海道にいながらにして、東京や海外の仕事もできますが、せっかく北海道に暮らしているのだから地元の仕事がしたいと考えるようになりました。そして、地域の特性や個性を生かした商品やサービスに、デザインがもっとできることがあるのではと思っています。

会社を大きくするより、「ほかにない存在」でありたい

美瑛選果(http://bieisenka.jp/)で販売する「美瑛のジャム」のパッケージデザイン

商品のパッケージデザインの実物がたくさんありますが、「六次産業化」に参入しているのですか?

北海道の基盤産業は農業や酪農、漁業といった一次産業ですから、デザインを通して地域の産業を応援したいという思いから始めました。地域ブランドの価値を高めるためのデザインとブランディングは切り離せないものだと思います。ブランディングだけではなく商品の企画開発もお手伝いしていますので、生産・加工・販売といった「六次産業化」を意識はしていませんが、結果として携わっています。始めた当初は「六次産業化」という言葉もありませんでした。

コンサルティングのような活動ですね。

うちは10人程の会社なので、できることに限界があると思ってはできない。それなら1度きりの仕事ではなく、パートナーとして関わらなければ、おもしろいことやインパクトのあることはできないと考えました。おかげさまで長く取引きさせていただく会社が多く、周年イベントや新商品開発のプロジェクトもお手伝いしています。

まちづくり的な活動もしているそうですが。

自分が暮らすまちで仕事をすることは、地域の人と仕事をすることで、その地域にどれだけ価値を見いだせるかが大事です。自分が暮らすまちが元気になること、つまり地域が活性化することで暮らし方や働き方の可能性は広がると思います。「地元だからこその仕事=ライフワーク」を探し続けることで、新しいスタイルをつくる活動を目指しています。

チームだからできるデザインがある

「TABEGORO™」は旬の食材を事前に予約できる新しいシステム

「ママパパ採用」という取り組みはおもしろいですね。

「新しいスタイルをつくる活動」を目指しているので、会社で働く人に幸せになってほしいと願っています。うちにも子どもがふたりいますが、子育てしながら働くのは大変。ひとりの人間が仕事をしていくなかで起こる、人生のステージ変化に全員で対応していくこと。会社という目的をもった集合体だからこそ、それぞれをおぎない合いながら成長できると思います。会社はもっと柔軟な方がいいし、働きやすい環境作りをしたいという思いから、子育てしながら働きたいという親御さんたちの積極採用を「ママパパ採用」としています。現在はWebデザイナーの募集をしています。小さな会社なので、完璧な状態ではないかもしれませんが子育て時期を過ごすママたち(もちろんパパも)が働くことにも集中できる環境をつくっていきたいと思います。

どのような人材を希望していますか?

いまの時代、デザインはひとりで完結できる仕事です。でも、だからこそチーム力を大切にしたい。チームだからできること、学べること、得られることがあるので、その共有ができる人と仕事をしたいです。

今後の展望を教えてください。

今年2月、旬の食材を事前に予約できる新しいシステムTABEGORO™(http://www.tbgr.jp)を立ち上げました。観光客が旅先で食べられる旬の味覚は限られていますし、土産物は加工品ばかり。本当の旬の時期に野菜や果物、海産物を食べる機会はなかなかありませんので、食べ頃になったらお届け先に宅配するというサービスです。旅行中に購入すると荷物が増えて大変ですし、自家用はもちろん、贈り物としても使えますから便利だと思います。美瑛町にあるアンテナショップ「美瑛選果」で主に取り扱っていますが、今後は全道に広げていきたいです。TABEGORO™によって一次産業の生産者の取り組みも変わると思いますし、なにより北海道の旬の味覚を全国各地の食卓で楽しんでいただけると思います。

取材日: 2017年7月3日 ライター:師田真由美

株式会社インプロバイド

  • 代表者名:小林 元(こばやしはじめ)
  • 設立年月:2007年7月
  • 資本金:300万円
  • 事業内容:プロジェクトのプロデュースから、地域や企業・商品のブランディング、パッケージデザイン、各種グラフィックデザイン、ウェブサイト/ ECサイトのデザインや構築など
  • 所在地:〒060-0052 北海道札幌市中央区南2条東2丁目11番地兼山一ビル2階
  • お問い合せ先:電話)011-251-2691
  • URL:http://improvide.co.jp/
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