地域資源を活かし、天然水や金沢カレーをオリジナルパッケージで販売
- 金沢
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株式会社ラップリンクス
代表取締役社長 手取 武志 氏
商機を逃すことなく商品を提供していくため、自社で企画、販売する独自アイテムを
ラップリンクスが販売する「オリジナルラベル天然水“水物語"」について教えてください。
お客様オリジナルのラベルを制作、ペットボトルに入った石川県・白山の天然水に装着し、販売しています。オリジナルラベルは、発色の良い包装素材(シュリンクラベル)を使用することで、フルカラーの高品質印刷に対応しています。最小ロットは96本、24本入りダンボール4ケースからご注文いただけます。デジタル印刷のため、版代は不要で、デザインデータが数種類あれば、一度の印刷で複数のデザインをラベル印刷することも可能です。
具体的には、どのような場面で利用されているのでしょうか。
企業や自治体のセミナーやコンベンション、大学のオープンキャンパス、商品展示会、ミュージシャンのコンサート、スポーツイベントなど幅広い場面で、ノベルティグッズとして利用されています。ラベルに企業や学校のロゴを入れたり、商品の紹介を掲載したり、イベント名を入れるなど皆さんがスペースを自由に活用して、PRや情報発信に活用されています。セミナーの卓上にそろいのラベルが付いたペットボトルが並ぶと壮観ですよ。
株式会社ラップリンクス立ち上げまでの経緯を教えてください。
グラビア製版を行う企業に入社し、工場長を経て、デジタル事業部の専務を務めていました。食品のパッケージやポリの手提げ袋、肥料の袋などを印刷するための版を製作するのが事業の中心でした。デジタル印刷機を導入し、少ないロットでの注文にも対応することで、商機を逃すことなく商品を提供していけるはずだと考えたのですが、導入後も注文を待っている状況でした。そんな中、自社で企画開発し、販売する独自アイテムを持つことが重要だと感じるようになりました。
「水」が一番ニュートラル
天然水の販売に思い至ったのはなぜですか。
グラビア製版、印刷の経験から、ノベルティグッズの企画を考えました。そんな中で、より多くの人達に受け入れてもらえる「水」が一番ニュートラルな商品になり得るという思いに至りました。デジタル印刷機を活かしたオリジナルラベルの商品媒体として、天然水を利用することが自分に一番しっくりきたんです。天然水を販売するに当たって、製版専業で通してきた会社が、人の口に入る水を扱うことに違和感を覚えたこともあり、独立して新会社を設立することを申し出て、製版会社の社長に認めていただきました。
天然水の提供元である企業とは従来、取り引きがあったのでしょうか。
いいえ、ありませんでした。オリジナルラベル天然水の商品開発に当たり、天然水の提供元を探すなかで、地元の資源である白山の水を使いたいと考え、同じ石川県内で天然水の製造販売をされているクリーンライフ様の存在を知り、直接おうかがいして交渉させていただきました。自分たちがラベルを作るので、小ロットでの注文に対応してもらえるよう協力をお願いしたところ、興味を示していただきました。互いの商品である、ラベルと天然水を世に広めることができる連携、Win-Win(ウィン・ウィン)の関係を持つことができたのです。
オリジナルラベル天然水の受注第1号はどのようなお客様でしたか。
2013年秋に天然水の提供元であるクリーンライフ様とお話しさせていただいて、翌2014年4月に会社を設立しました。初めは注文が取れずに焦りました。畑違いである水の販売に乗り出したのですから当然でした。結局、製版会社時代から何かとお世話になっていた印刷会社に、設立の経緯もご存じだったこともあり、会社立ち上げと同時に1,000本を発注していただきました。半分は独立祝いのようなものでしたが、お客様である印刷会社の社名やロゴがデザインされた天然水を制作し、納めさせていただきました。
小ロット対応で、複数デザインを印刷することも可能
立ち上げから、次々と営業を展開されていったのですか。
当初はスタッフは自分一人だったので苦労しました。最初はエンドユーザーに目が向かず、以前から面識がありお世話になっている県内の印刷会社を訪ね、商品を知ってもらうためにプレゼンを重ね、お客様から受注が出来るよう販促をかけて頂きました。一方で、エンドユーザー向けにはネットを通じて集客を図りました。開設当初は鳴かず飛ばずでしたが、どうやったらお客様の目を引くことができるだろうかと、試行錯誤を繰り返しました。SEO対策の効果か、次第にネットの集客も増えてくるようになりました。
次第に注文が広がっていったのですね。
企業や団体から天然水ボトルに社名やロゴマークを印刷してほしいという注文や、コミックマーケットに出展する方が、自分で描いたアニメの図案を送ってこられたこともありました。ネット上の取引ではお客様とは最低限の情報のやり取りしかしないのですが、だからこそ手軽に注文しやすいという側面もあります。小ロットに対応していますので、仲間と共同で注文すれば、複数のデザインを一度の注文で印刷することも可能です。
販売が軌道に乗ってきて、新しい展開はありましたか。
「水物語」はペットボトルのラベル装着機の仕様から、上半分を覆うラベルとなっています。ボトル全体を覆うフルシュリンクラベルはできないかとの要望が多く寄せられるようになってきました。そんな時、山梨県で富士山の天然水を利用して、ペットボトルを製造する企業からお問い合わせをいただき、当社のラインナップに富士山の天然水が加わり、フルシュリンクラベルでの対応も可能になりました。おかげさまで、手探りで始めた設立当初の5~6倍を出荷しています。天然水の製造販売を行う同業他社からもラベルの印刷・加工を委託されるケースが増えてきました。
地域資源を活かして、製版会社のノウハウを活かし、新たなビジネスチャンスを
今後の天然水販売の展望はいかがでしょうか。
受注を拡大することにより、お客様にいっそうリーズナブルな価格帯で提供できるよう営業活動を充実させていきたいですね。これまではお客様のもとへ足を運んでの営業活動中心であり、ネットを介したお客様とのやり取りは初めての経験です。ネットによるビジネスチャンスを掘り起こしながら、従来の人と人との繋がりを活かし、北陸三県を中心とするアナログな営業活動も展開していきたいと考えています。ネット販売に関しては、当社で扱ったユニークな用途や具体例をできるだけ提示することにより、こちら側では思いつかないようなアイデアをお客様のほうから持ち込んでもらって、利用していただいている例も多くあります。
オリジナルラベルから派生して、オリジナルパッケージの金沢カレーの販売をされているそうですね。
オリジナルラベルは、企業やイベントのPRをすることが主な目的ですが、天然水のペットボトルでは、広告媒体としては、限られたスペースになります。そんな時に、石川県の名物ともなっている「金沢カレー」のレトルトパックを一枚の紙で包装するラッピングを目にしました。包装を開くと一枚の大きなポスターのようになります。A3判の表裏を利用することで、これはより大きな情報量を伝えることができる新たなノベルティ媒体になり得ると考え、オリジナルパッケージの金沢カレーを開発しました。金沢カレー製造のメーカーに協力いただき、50個から発注を受けています。
ICTや地域資源を活用し、これからはどのような事業展開を目指しますか。
自社のウェブサイトを充実させることはもちろんのこと、アプリやSNSの活用も図っていきます。ウェブサイト上で、関係取引先との相互リンクを行い、協力関係を結び、自社だけでなく、お客様とともに発展していけるような事業を築いていきたいと願っています。白山の天然水、金沢カレーといった地域資源を活かして、地元に根ざしながら、製版会社のノウハウを活かし、新たなビジネスチャンスを常に追い求めていきたいと思います。
※金沢カレー
戦後、石川県金沢市の複数の店舗を中心に提供されていた特徴的なカレーライスを指す。▽ルーが黒色濃厚でドロッとしている▽ステンレスの皿に盛られている▽フォークまたは先割れスプーンで食べる▽付け合わせとしてキャベツの千切りが載っている▽ルーの上にロースカツが載り、ソースがかかっている-などの特徴が挙げられ、ご当地グルメとしての人気も高く、全国的に店舗の展開が広がっている。
取材日:2017年10月19日 ライター:加茂谷慎治
株式会社ラップリンクス
- 代表者名:代表取締役社長 手取武志(てどり たけし)
- 設立年月:2014年4月
- 資本金:100万円
- 事業内容:オリジナルラベル天然水販売、小ロット多品種パッケージ販売、オリジナルポリ手提げ袋販売
- 所在地:〒921-8002 石川県金沢市玉鉾4-170-1
- URL:http://wraplinks.co.jp/
- お問い合わせ先:TEL)076-291-0085 メール)info@wraplinks.co.jp