WEB・モバイル2017.12.13

大切なことは「相手に敬意を払い、共に成長すること」

滋賀
株式会社リーフワークス 代表取締役 澤 健太 氏
中学生の時にプログラミングを学び、高校生でアプリ開発に従事。そして、20歳でWeb制作会社の取締役に就任という、驚きの経歴を持つ澤 健太(さわ けんた)さんは、現在、Webシステムの開発・販売を行う株式会社リーフワークスをけん引する若き社長です。「新進気鋭のクリエイター=クール」といったイメージとは違い、会社や社員について、熱く語る姿が印象的でした。クリエイターとして、経営者として、澤社長が大切にされていることをお伺いしました。

「やりたい」が原動力!アプリ開発からシステム開発へ

学生時代からアプリを開発されていたとお聞きしました。その経緯を教えてください。

中学1年生の時に、親に頼み込んで、パソコンを買ってもらいました。その頃は家庭用のパソコンが世間に広がり始めたこともあり、パソコンに可能性を感じていたのです。
初歩的な機能だけでは飽き足らず、高度なことがしたいとパソコン雑誌を読みあさりました。その結果、プログラミングに出会い、インターネットの接続時間が制限されていたにもかかわらず、日々勉強し、中学生の頃、「TACTICS」というターン制の戦略ゲーム(チェスの形式で魔法攻撃+体力(ライフ))という概念を加えたPCゲームを開発。高校生の頃に、経営シミュレーションゲームの「President」を開発しました。 いま思えばなんとも雑なシステムでしたが、当時は投稿したパソコン雑誌で賞をいただき、特集も組んでいただきました。ゲームを公開する場所として、ホームページの制作を始めたのもこの頃です。
高校に入ると、制作領域をPCゲームから携帯ゲームに移行しました。より多くの人に遊んで欲しいと考えたからです。幸運にも開発したアプリが週間ランキングサイトで上位にランクインし、その直後にCP(※1)さんからお声がけいただき、各携帯キャリアで展開されている公式アプリ開発の仕事を受けるようになりました。

※1 Content Providerの略。ケータイサイトのコンテンツを提供する事業者

高校生で公式アプリのプログラマーを務めるなんてすごいですね!その後、会社を設立するまでのキャリアを教えてください。

高校卒業後、コンピューター系の専門学校に進学しました。引き続き、携帯アプリの開発にまい進しようと考えていましたが、やればやるほど労力と収入が見合わないと感じました。そして、PHP(※2)という新しいプログラミング言語に興味を持ち始め、専門学校の友達と一緒に、携帯に特化した検索サイト「Seeker」を開発しました。同じようなサイトがなかったこともあり、アクセス数が増え、ランキングが一気に上昇。この結果を受け、ゲーム開発よりシステム開発に面白さを感じるようになりました。
その後、学校の先輩に誘われ、Webシステムを開発する会社でアルバイトを始めました。やはりプロの現場は違い、本格的なシステム開発に関わりながら、Webビジネスも学ぶことができました。当時は求人サイト運営を主とする会社でしたが、社内で開発したシステムを販売するビジネスを展開・拡大することを提案し、その事業が会社としての売り上げにつながり、20歳の時に取締役に就任させていただきました。しかし、自分でも起業したいという思いがあったので、会社にその旨を伝え、退社し、独立しました。今の自分があるのはあの頃の経験のおかげだと、当時の社長にはとても感謝しています。

※2 動的なWebサービスやアプリを開発できるプログラミング言語

雇われる側から雇う側へ!まさに仕事が一変

雇われる側から独立して、一人でやることに不安はありませんでしたか?

独立した当時、すでに結婚しており、子供もいたので、お金の面での不安が大きかったです。知り合いの会社から仕事をいただきながら、寝る間も惜しんでWebシステムの製品作りに励みました。仕事を得るためには信用が大事なので、株式会社を立ち上げ、企画・開発・経理に至るすべての仕事を一人でこなしました。正直、そのくらい働かないと仕事として成立できませんでした。しかし、あまりにも不規則な生活を送っていたので、子供や家族への影響も考え、このままではダメだという結論に至りました。
その時、専門学校時代の同級生から久しぶりに連絡があり、会社を辞めて小売店を始めたいという相談を受けました。その会話の中で、友達が持つ小売としてのノウハウと、自分が培ってきたWebシステムのノウハウを連動させれば、ECサイトが運営できるのではないかと点と点が結びつき、友達を会社に迎え入れ、「Pascle(パスクル)」(https://pascle.net/)というECサイトを運営することになりました。このことがきっかけで、システムの開発も人に任せたいとの考えになり、専門学校時代の同級生や先輩を誘い、計4人で新たなスタートを切ることになりました。当然のことながら、人が増えるとより多くの業務をこなせるようになり、売り上げも上がるようになったので、昨年から新卒募集を開始し、現在16名の社員とともに会社を動かしています。

現在の事業内容について教えてください。

弊社では大きく分けて3つの事業を展開しています。一つ目はCMS(※3)の開発・販売を行う「制作事業」です。不動産販売業者向けや、人材事業者向けなど、細かくセグメントを分けて製品化しています。弊社はあくまでメーカーなので、制作会社と取引することが主です。制作会社と連携を密にし、相乗効果を生めるように力を入れています。
二つ目はアドシステム(※4)の開発・販売を行う「広告事業」です。費用対効果や広告の最適化を図るシステムに力を入れて制作しています。
そして、三つ目は社員を増やすきっかけとなった天然石のアクセサリー通販サイト「Pascle」の運営を行う「ストア事業」です。天然石の持つ魅力や楽しみ方を発信するメディア的な要素を重視した運営を心がけています。

※3 Contents Management Systemの略で、スキルがなくてもホームページを更新できるシステム。テキストを打ち、画像を登録することで、簡単にサイトを更新できます。
※4 費用対効果や広告の最適化を図るシステム。このシステムを駆使すれば、効果的に広告を打つことができます。

社員が生み出す点と点の組み合わせを意識して指揮する

会社を立ち上げた頃(一人でやっていた頃)と、社員がいる今との心持ちの違いについて教えてください。

会社を立ち上げた頃は、自分がやりたいと思うことの実現を最優先に考えていましたが、現在では社員の成長を重要視するようになりました。やはり、一人でやるには限界があります。組織でやっている以上、一人では実現できないことを、協力して実現させていくことが大事だと思うようになりました。

つまり、社員の成長を考えて、ある程度の役割を任せるということですね?

はい。もし、やりたいことが出てきたら、適した社員を配置して、あとは基本任せています。好きにやっていいよと。そうすれば、みんなが責任を持って行動してくれて、それがいつしか新たな点となり、既存の点と点が線でつながり、それぞれに相乗効果を生む結果をもたらします。僕の中で、こうすれば仕事につながるという構想はあるのですが、社員が進める過程で違う結果になったとしても、その理由を話し合い、もしそれが面白ければ自分の考えを排して、事業シフトします。もちろん、違っていれば軌道修正します。大きなリスクがないのなら、基本は自由にやってみて欲しいと考えています。この考えは一人では気づかないことです。僕としては、この点と線の組み合わせを意識しながら指揮することで仕事が広がると思っています。

なるほど!社員それぞれが責任を持って役割を果たせば、大きな成長につながりますね。それでは、会社として大切にしていることを教えてください。

弊社では「関わる人全てに敬意を払い、共に成長する気持ちを大事にする」という行動指針を掲げています。これはまさに、近江商人の「売り手よし、買い手よし、世間よし」の考え方と同じです。つまり、自分の事だけを考えるのではなく、日頃から周囲の人に敬意を払い、ともに相乗効果を生むような関係を作っていくことです。社員にはこの思いを大切にして欲しいと思っています。それは取引相手だけでなく、社員同士においても同様です。クリエイティブな仕事は優劣で比べるのではなく、お互いフェアであってこそ、高め合うことができます。スキルの向上ももちろん大切ですが、まずはこういった姿勢が前提であると考えています。

今後の展望について

弊社はこれまで、良いモノを作れば売れるというスタンスでやってきましたが、Webビジネスを行う上で発信力を持つことが大切だと考えるようになり、メディア事業を展開させたいと考えています。システムを開発する中で、社員おのおので調べた知識・情報が蓄えられてきたので、それらを公開しようかと。内容は弊社が今やっているB to B(※5)に関するもので、おそらく、その情報は取引企業さまにも有効な情報だと思うんです。これらの情報を発信できるメディアとしての機能を持てればと考えています。
また、人に伝えるためには、自分が十分に理解する必要があり、それが社員の成長につながるのではないかと考えております。弊社にとってメディア事業は多くのメリットがあると考えており、年内公開に向けて進めています。

※5 Business to Businessの略で、企業(法人)を相手に行う事業や商取引のこと。

既存のかけ合わせがクリエイティブにつながる

若きクリエイターの皆さんにアドバイスを一言、お願いします。

クリエイティブな仕事とは、今ないものを創造する仕事だと思うんです。しかし、それは0から1を生み出すのが全てではなく、大半の創造物がそうであるように、既存のものの組み合わせから新しい仕事が生まれます。最近では「金融」と「テクノロジー」をかけあわせた「フィンテック」(※6)とか。そういった新しい組み合わせを生み出すには、知識の引き出しを増やすことが大切です。つまり、たくさんインプットすること。今まで必要ないと思っていた情報や、仕事に関係のない知識をインプットしておくと、どこかのタイミングで勝手に線としてつながります。それが今まではなかった仕事を生み出すということです。それも1人で学ぶだけでなく、相手に情報を伝える、または相談することで新しい発想が出てきます。そういった意味でも、当社の行動指針である「共に成長する」といった精神がクリエイティブには大切だと考えています。

※6 金融(ファイナンス)と技術(テクノロジー)と組み合わせた造語で、IT技術を使った金融サービスのこと。ネットバンクやスマホ決済など。

取材日:2017年10月23日 ライター:7omoya

 

株式会社リーフワークス

  • 代表者名:代表取締役 澤 健太
  • 設立年月:設立年月:2010年7月
  • 資本金:1,000万円
  • 事業内容:WEBサイト企画・制作・運営事業、WEBパッケージ製品開発・販売事業、
         WEBシステムソリューション事業、ITコンサルティング事業
  • 所在地:本社)〒520-1102 滋賀県高島市野田310-7
        営業本部)〒520-0242 滋賀県大津市本堅田4-16-3 エルミナ堅田ビル 2F、3F-B
  • URL:https://www.leafworks.jp
  • お問い合わせ先:電話)本社:0740-20-1382、営業本部:077-535-9027

 

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