沖縄から日本全国、そして世界へ。沖縄の魅力を発信し続けることが使命
- 沖縄
- 株式会社てぃーだスクエア 代表取締役 嶌田 浩司 氏
「てぃーだブログ」は、地域密着型メディアの先駆け
てぃーだスクエアを設立された経緯を教えてください。
私は静岡県浜松市出身で、静岡にあるシーポイントという会社で役員をしていました。シーポイントは20年ほど前、インターネットビジネスが盛んになってきた頃にできた会社です。買い物サイトのバックヤード、例えば請求書や注文書を発行するようなシステムを作っていました。2003年にその会社のサポートセンターとして沖縄支社を作ったことが始まりです。
システムの会社が、なぜブログメディアを作ることになったのでしょう?
2003年頃、沖縄の情報を発信しているメディアの多くが東京で作られていて、沖縄発というものがほとんどありませんでした。ある時、沖縄発のメディアを作れないか?と思ったことが発端です。私の地元の浜松には、ホンダやヤマハなどの世界的な企業がいくつかあります。これらの企業のように、情報発信の分野でも地方から世界を目指せるのではないか、と考えたのです。
ブログというものが世の中に広まった時期でもありますね。
そうなんです。その頃はライブドアが近鉄を買収するというニュースが世間を騒がせていた時代で、「ブログとはなんぞや」「ポータルサイトって何?」とインターネットメディアが注目を集め始めていました。地域に特化した情報サイトは大手企業がまだ参入しておらず、これはビジネスになると感じました。ただしすぐにメディアを作ったわけではありません。シーポイントはシステム会社なので、まずブログメディアを作る仕組みを作って、全国の企業へシステムレンタルをする事業を始めました。それから「地域情報」や「地域活性化」を切り口にしコミュニティサイト「てぃーだブログ」を立ち上げたのです。
今でも他県でブログサービスを展開しているのでしょうか?
全国40カ所ぐらいで行っています。「てぃーだブログ」というのは、沖縄の方言である「太陽」にちなんで名付けました。他県では別の名前で、別の会社がこのシステムを使って運営しています。例えば、熊本であれば「おてもやん」という名前で継続しています。
なぜ、てぃーだブログは成長したのか?
現在のてぃーだブログの利用者数はどのくらいですか?
会員数は12万人以上で、訪問者数は月間480万以上です。沖縄の人口が約140万人ということを考えますと、圧倒的に県外の利用者が多いことがわかります。
なぜ、てぃーだブログはここまで強く、大きなメディアになれたのでしょう?
社員の地道な活動、例えばチラシ配りなども一つの理由だと思いますが、まず人気ブロガーに告知する戦略をとったことが、大きかったと思います。当時人気のあったポータルサイトやランキングサイトで上位に名前を連ねている方に、「沖縄でブログを立ち上げる」というお知らせをし、広めてもらいました。
今でいうインフルエンサーのような方ですね。
そうです。そういう方を巻き込めたことが功を奏したと思います。当初は決して使い勝手のいいブログではなかったと思うのですが、ブロガーさんにとって、新しいブログを育て上げていく楽しみがあったんだと思います。事業予算もなく、広告費もない中、ブロガーさんを集めて講習会やセミナーなどを行い、ひとづてで広げていくしかありませんでした。そして徐々に認知されるようになり、利用者も増え、2010年に「株式会社てぃーだスクエア」として独立できるまでになりました。
今までの事業展開を振り返って、何が一番大変でしたか?
全て大変でしたが(笑)。一番は、てぃーだブログのマネタイズです。てぃーだブログの会員数が10万人ぐらいで、毎月400万ほどの訪問者数を獲得した頃、マネタイズの仕組みを本格的に作ることになりました。てぃーだブログは無料ツールなので、今更有料にすることはできない。ではどうすればいいのかと考えた時に、その膨大なアクセスを活用して、メーカーのウェブマーケティングやプロモーションを行う、という方法に至ったのです。
具体的にはどのような方法なのでしょう?
メーカーから料金をいただいて、ブロガーさんにそのメーカーの商品をサンプリングしたり記事に書いてもらったり、ブロガーさんを集めてのイベントを開いたりして、マーケティングやプロモーションを行う方法です。軌道に乗るまで5年ほどかかりましたが、今ではてぃーだブログの主な収益源になるまで成長しました。最近ではSNSなどのツールも用いて、海外のインフルエンサーを招聘して沖縄の情報を発信してもらうことも行っています。
沖縄を世界へ発信できるプラットフォームを目指して
海外へ向けても情報発信をスタートしていると伺いました。どのようなことを行っているのでしょうか?
沖縄で「てぃーだブログ」を広めたように、海外でもメディアを作ってコミュニティを広げています。まずはタイ、そしてベトナム、台湾、香港に広げ、現地の方にもブログに参加してもらっています。それぞれの国で基盤ができつつあるので、沖縄県内の企業やコンベンションビューロー※から、海外への情報発信を依頼されることもあります。
※ 自治体や民間企業が中心となり、国内外から観光客や国際会議を始めとした会議やイベントを誘致する組織のこと。
今後はさらに海外での展開に力を入れるご予定でしょうか?
そうですね。弊社は、東京ではなく沖縄から情報発信するメディアを作ったことがスタートです。次は、沖縄と世界を結ぶためのプラットフォームを作ることが使命と考えています。今まさに、台湾向けのコンテンツを作り上げている最中です。そして、海外からの旅行者が沖縄を訪問前、訪問中、訪問後の、全ての行程に役立つ情報を発信していきたいです。
訪問前、訪問中、訪問後の情報発信として、それぞれどのような方法をとっているのでしょう?
訪問前は、やはりブログを通しての情報発信です。特に食事に関しては海外の方の興味が非常に高いので、レストラン情報などの配信に力を入れています。訪問中のサービスとしては、国際通りのホテルにデジタルサイネージを設置して、飲食店のクーポンを発券できるようにしています。訪問後については、まだあまり手を広げられていません。今のところは、例えば香港などで、沖縄で食べたものと同じような食事を提供している現地の飲食店の情報を海外の方へ向けて発信しています。
最後に、御社で働く方にはどんなことを求めますか?
まず「やってみよう!」と考えることです。私の地元、静岡には「やらまいか」という言葉があります。「やってみよう」という意味なのですが、特に静岡の西部地域の人は一度決めたら取り掛かるのが早く、この血は私にも流れていると感じます。失敗を恐れずに、まずはトライできる有言実行の方と、ぜひ一緒に仕事をしていきたいですね。
取材日:2018年1月29日 ライター:仲濱淳
株式会社てぃーだスクエア
- 代表者名:代表取締役 嶌田浩司
- 創立年月:2010年2月
- 事業内容:
■セールスプロモーション事業
・沖縄県地域ブログポータルサイト「てぃーだブログ」
・タイ王国ブログポータルサイト「ナムジャイ」
・観光デジタルサイネージ事業「沖縄テテル」
・住まいの情報サポート事業「てぃーだ住宅イベントカレンダー」
・ブログ・SNSを活用したプロダクト・プロモーション事業
■ソフトウェア開発事業
・Webシステム開発、Webサイト制作
・Webアプリ開発、アンドロイド・iPhoneアプリ制作
・スマートフォン最適化Webサイト構築 - 所在地:〒901-2101 沖縄県浦添市西原2-4-1 P’s SQUARE 301
- URL:http://www.tida-square.co.jp/
- お問い合わせ先:Tel) 098-870-0860