ゲーム2018.04.25

アプリゲーム「おそ松さんのへそくりウォーズ」が大人気!沖縄で東京と同じクリエイティブを発揮する

沖縄
ちゅらっぷす株式会社
取締役 中山詞夫氏(写真右)
eスポーツ部部長 喜納正博氏
(写真右から2番目)
アートディレクター 竹廣将史氏
(写真右から3番目)
インフラマネージャー 菱沼雄太氏
(写真左)
大人気アニメ「おそ松さん」のゲームアプリをヒットさせたのは、実は沖縄にある会社。それが、今回ご紹介する「ちゅらっぷす株式会社」です。沖縄の方言で美しいという意味の「ちゅら」に、アプリを表す言葉「アップス」を合わせて「ちゅらっぷす」。この社名だけ聞くと沖縄生まれの沖縄に根付いた会社に思えますが、その考えはいい意味で裏切れました。沖縄という地方で「東京を超える!」と特に気負うのではなく、どこにいてもひたすら面白いゲームを作る。そんな考えを貫く、プロフェッショナルなクリエイティブ集団です。

「沖縄だからできる」ではなく「沖縄でも東京でもOK」

会社設立までの経緯を教えてください。

中山さん: 東京にある会社「株式会社DLE」のデジタル部門として、2015年に設立されました。DLEは「東京ガールズコレクション」などのイベントや、「秘密結社鷹の爪」などのアニメを手がける会社です。現在でもイベントやアニメ、映画などの部署は東京にありますが、アプリゲーム開発を含むデジタル部門のみを沖縄に作りました。

なぜ沖縄に設立したのでしょうか?

中山さん: 特別な思い入れや理由はないんです(笑)。DLEと取引のあった沖縄の会社が無くなることになり、優秀な人材の流出を止めるべく受け皿として設立されました。東京の会社の、沖縄スタジオという位置付けですので、あえて沖縄にこだわらず、シンプルに面白いゲームを作ることを目的としています。

とことんファンの気持ちに寄り添うことが、面白いゲームを生み出す鍵

「斉木楠雄のΨ難」

DLEのデジタル部門ということですが、ゲーム以外にも何か取り組んでいらしゃることはありますか?

中山さん: 設立して間もないこともあり、まだゲーム以外に手を伸ばせていない状況です。まずはゲームを極めようと、全社一丸となって取り組んでいます。

御社が作るゲームの特徴を教えてください。

中山さん: IP(知的財産権)を持つキャラクターのゲーム開発を得意としています。当社が手がけた「おそ松さんのへそくりウォーズ」は、まさにIPゲーム。近年のゲーム業界ではプロモーション費用が増大していて、いくら面白いものを作ってもその費用が少ないと、なかなかヒットしません。IPものであれば既にファンが多いので、プロモーション費用をかけずにゲーム開発に力を注げます。おそ松さんゲームの場合も、ユーザーのほとんどがアニメのファンです。ファンが喜ぶように作っているからこそ、ヒットに繋がったと考えています。

ファンが喜ぶゲームを作るために、心がけていることはありますか?

竹廣さん: まず作る側である自分たちが、そのコンテンツのファンになることです。スタッフ自身がコンテンツを大好きになってはじめて、ファンの心理が本当に理解できて、ファンの視点でゲームを作れると思っています。そしてファンになった上でリサーチを徹底していきます。おそ松さんの場合、テレビ放映が終了した今もなお、コミケでは広いブースが確保されるほど熱心なファンが多くいます。我々は実際にそこへ足を運び、コスプレや同人誌などを見ながら、何が受けるのかをリサーチしています。

スタッフの皆さんもファンと同じ心理になっているのですね。

中山さん: そうですね。コンテンツにかけるディレクターやプランナーの愛情はとても強いです。アニメの画一枚見ただけで、これは何話のどのシーンだ、というのがわかるぐらい。

竹廣さん: 少しでも手を抜くと、すぐにファンに見透かされてしまいますから。やはり好きでないと台詞の一言一句にまで気を配れません。

「おそ松さんのへそくりウォーズ」がヒットした理由とは?

おそ松さんのへそくりウォーズ~ニートの攻防~

なぜ「おそ松さんのへそくりウォーズ」は誕生したのでしょうか?

竹廣さん: DLE経由で、アニメの放映前の企画段階で話をいただいたのがきっかけです。「おそ松くん」は昔の漫画なのに、今更作ってヒットするのか?と半信半疑でしたが、ちゅらっぷすができて間もない頃でしたので、まずは一つ何かを作ろうということになりました。

企画段階から参加されていたのですね。

中山さん:そうですね。当社ではそのようなケースが多くあります。流行っているアニメだから作らせて欲しい、ということではなく、流行る前から深く作品に関わり、アニメもゲームも一緒に作っています。そこが他社とは違う、作品とファンに寄り添ったゲームを作れる強みだと自負しています。

竹廣さん:おそ松さん関連のゲームは、当社が作った「へそくりウォーズ」を含めて8本ほど出ています。ブームになってから後追いで続々ゲームが発売されたのです。今では運営が中止になったものもありますが、その中でも一番最初に出した当社のものが一番ヒットしています。それは、今でも運営面にも力を入れているからだと思います。継続してユーザーにアクセスしてもらえるよう、次々と新しい仕掛けを提供し続けています。

具体的にはどのような仕掛けを作っているのでしょう?

竹廣さん:例えば、アニメ本編とは異なるストーリーと、それに伴う衣装などを用意して提供してます。

中山さん:本編の世界観をしっかり踏襲しながら、アニメでは見られなかった新しいシーンや表情、衣装などを作り込んでいる点が、評価に繋がっているようです。

DLEの総合力を生かしてヒットゲームを生み出す、強いクリエイティブ集団へ

ちゅらっぷす株式会社の今後の展望をお聞かせください。

中山さん:基本的には、現在取り組んでいることを積み重ねていきます。ファンがいるコンテンツのゲームを、ファンに寄り添いながら作り上げていく。完全オリジナルのゲームを作ることに特にこだわっていません。当社の母体であるDLEは、アニメ、イベント、プロモーションなど、コンテンツにまつわる多くのことを実現できる会社です。当社だけで動く必要はなく、連携することでより強いゲームを作れると考えています。

多角的な事業を展開されている強みですね。

菱沼さん:そうですね。東京と変わらないダイナミックな仕事が沖縄でもできれば、もっと多くの方が当社で働きたいと考えるようになると思います。沖縄に、面白いゲームを作る会社がある、と思われるようになりたいですね。

中山さん:当社はDLEのデジタル部門ですので、東京と同レベルのクリエイティブを生み出せる会社です。沖縄には、東京のニアショア的に作られた会社も多いですが、それだと面白くありません。今後もヒットゲームを作り続けることで、沖縄で、より優秀な人材が集まる会社を目指しています。

取材日:2018年3月9日 ライター:仲濱 淳

 

ちゅらっぷす株式会社

  • 代表者名:代表取締役 椎木隆太
  • 設立年月:2015年7月
  • 事業内容:スマートフォンアプリ、webアプリの企画・開発・運用
  • 所在地:沖縄県那覇市字小禄1831-1 沖縄産業支援センター411
  • URL:http://churapps.co.jp/index.html
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