アプリゲーム「おそ松さんのへそくりウォーズ」が大人気!沖縄で東京と同じクリエイティブを発揮する
- 沖縄
- ちゅらっぷす株式会社
- 取締役 中山詞夫氏(写真右)
eスポーツ部部長 喜納正博氏
(写真右から2番目)
アートディレクター 竹廣将史氏
(写真右から3番目)
インフラマネージャー 菱沼雄太氏
(写真左)
「沖縄だからできる」ではなく「沖縄でも東京でもOK」
会社設立までの経緯を教えてください。
中山さん: 東京にある会社「株式会社DLE」のデジタル部門として、2015年に設立されました。DLEは「東京ガールズコレクション」などのイベントや、「秘密結社鷹の爪」などのアニメを手がける会社です。現在でもイベントやアニメ、映画などの部署は東京にありますが、アプリゲーム開発を含むデジタル部門のみを沖縄に作りました。
なぜ沖縄に設立したのでしょうか?
中山さん: 特別な思い入れや理由はないんです(笑)。DLEと取引のあった沖縄の会社が無くなることになり、優秀な人材の流出を止めるべく受け皿として設立されました。東京の会社の、沖縄スタジオという位置付けですので、あえて沖縄にこだわらず、シンプルに面白いゲームを作ることを目的としています。
とことんファンの気持ちに寄り添うことが、面白いゲームを生み出す鍵
DLEのデジタル部門ということですが、ゲーム以外にも何か取り組んでいらしゃることはありますか?
中山さん: 設立して間もないこともあり、まだゲーム以外に手を伸ばせていない状況です。まずはゲームを極めようと、全社一丸となって取り組んでいます。
御社が作るゲームの特徴を教えてください。
中山さん: IP(知的財産権)を持つキャラクターのゲーム開発を得意としています。当社が手がけた「おそ松さんのへそくりウォーズ」は、まさにIPゲーム。近年のゲーム業界ではプロモーション費用が増大していて、いくら面白いものを作ってもその費用が少ないと、なかなかヒットしません。IPものであれば既にファンが多いので、プロモーション費用をかけずにゲーム開発に力を注げます。おそ松さんゲームの場合も、ユーザーのほとんどがアニメのファンです。ファンが喜ぶように作っているからこそ、ヒットに繋がったと考えています。
ファンが喜ぶゲームを作るために、心がけていることはありますか?
竹廣さん: まず作る側である自分たちが、そのコンテンツのファンになることです。スタッフ自身がコンテンツを大好きになってはじめて、ファンの心理が本当に理解できて、ファンの視点でゲームを作れると思っています。そしてファンになった上でリサーチを徹底していきます。おそ松さんの場合、テレビ放映が終了した今もなお、コミケでは広いブースが確保されるほど熱心なファンが多くいます。我々は実際にそこへ足を運び、コスプレや同人誌などを見ながら、何が受けるのかをリサーチしています。
スタッフの皆さんもファンと同じ心理になっているのですね。
中山さん: そうですね。コンテンツにかけるディレクターやプランナーの愛情はとても強いです。アニメの画一枚見ただけで、これは何話のどのシーンだ、というのがわかるぐらい。
竹廣さん: 少しでも手を抜くと、すぐにファンに見透かされてしまいますから。やはり好きでないと台詞の一言一句にまで気を配れません。
「おそ松さんのへそくりウォーズ」がヒットした理由とは?
なぜ「おそ松さんのへそくりウォーズ」は誕生したのでしょうか?
竹廣さん: DLE経由で、アニメの放映前の企画段階で話をいただいたのがきっかけです。「おそ松くん」は昔の漫画なのに、今更作ってヒットするのか?と半信半疑でしたが、ちゅらっぷすができて間もない頃でしたので、まずは一つ何かを作ろうということになりました。
企画段階から参加されていたのですね。
中山さん:そうですね。当社ではそのようなケースが多くあります。流行っているアニメだから作らせて欲しい、ということではなく、流行る前から深く作品に関わり、アニメもゲームも一緒に作っています。そこが他社とは違う、作品とファンに寄り添ったゲームを作れる強みだと自負しています。
竹廣さん:おそ松さん関連のゲームは、当社が作った「へそくりウォーズ」を含めて8本ほど出ています。ブームになってから後追いで続々ゲームが発売されたのです。今では運営が中止になったものもありますが、その中でも一番最初に出した当社のものが一番ヒットしています。それは、今でも運営面にも力を入れているからだと思います。継続してユーザーにアクセスしてもらえるよう、次々と新しい仕掛けを提供し続けています。
具体的にはどのような仕掛けを作っているのでしょう?
竹廣さん:例えば、アニメ本編とは異なるストーリーと、それに伴う衣装などを用意して提供してます。
中山さん:本編の世界観をしっかり踏襲しながら、アニメでは見られなかった新しいシーンや表情、衣装などを作り込んでいる点が、評価に繋がっているようです。
DLEの総合力を生かしてヒットゲームを生み出す、強いクリエイティブ集団へ
ちゅらっぷす株式会社の今後の展望をお聞かせください。
中山さん:基本的には、現在取り組んでいることを積み重ねていきます。ファンがいるコンテンツのゲームを、ファンに寄り添いながら作り上げていく。完全オリジナルのゲームを作ることに特にこだわっていません。当社の母体であるDLEは、アニメ、イベント、プロモーションなど、コンテンツにまつわる多くのことを実現できる会社です。当社だけで動く必要はなく、連携することでより強いゲームを作れると考えています。
多角的な事業を展開されている強みですね。
菱沼さん:そうですね。東京と変わらないダイナミックな仕事が沖縄でもできれば、もっと多くの方が当社で働きたいと考えるようになると思います。沖縄に、面白いゲームを作る会社がある、と思われるようになりたいですね。
中山さん:当社はDLEのデジタル部門ですので、東京と同レベルのクリエイティブを生み出せる会社です。沖縄には、東京のニアショア的に作られた会社も多いですが、それだと面白くありません。今後もヒットゲームを作り続けることで、沖縄で、より優秀な人材が集まる会社を目指しています。
取材日:2018年3月9日 ライター:仲濱 淳
ちゅらっぷす株式会社
- 代表者名:代表取締役 椎木隆太
- 設立年月:2015年7月
- 事業内容:スマートフォンアプリ、webアプリの企画・開発・運用
- 所在地:沖縄県那覇市字小禄1831-1 沖縄産業支援センター411
- URL:http://churapps.co.jp/index.html