グラフィック2018.06.06

北陸新幹線の福井延伸を見据え、旬な街ネタ&おでかけ情報ポータル「ふーぽ」を展開

福井
株式会社fuプロダクション 代表取締役 滝本光男 さん
専務執行役員/月刊fu編集長
堀一心 さん
全国の地方新聞社の中でも、高いシェアを誇る福井新聞社。そのグループ会社で、雑誌「月刊fu(ふう)」の編集・制作をはじめ、雑誌や冊子などの編集・出版を行っている株式会社fuプロダクションが、ポータルサイトを利用した情報発信に乗り出しました。5年後に迫った北陸新幹線の福井開業も見据えて、紙媒体からウェブ媒体による新たな事業展開を目指す同社社長の滝本 光男(たきもと みつお)さん(写真左)と専務執行役員の堀 一心(ほり いちじん)さん(写真右)が描く未来の設計図に迫りました。

福井のまちと人をつなぐローカル・ライフマガジンを目指す

会社の成り立ちを教えてください。

滝本さん:fuプロダクションは福井新聞社の100%出資会社です。2006年に「メデイアプラス風丸」という社名で、「月刊fu」の編集・制作を中心としたプロダクションとして設立されました。当時、福井新聞社が印刷、編集など部門別に関連会社を立ち上げる中、新聞以外の編集部門を担う会社として設立されました。

福井のまちと人をつなぐローカル・ライフマガジンとして発行されている「月刊fu」について教えてください。

滝本さん:現在の発行部数は福井新聞社本紙と同じ約19万7000部で、毎月第4火曜日に福井新聞の購読者に配布しています。配布世帯は福井県内の約7割に上ります。料金については、福井新聞の購読料に含まれていますが、定価110円で別途販売もしています。

創刊の経緯を教えてください。

滝本さん:創刊は1997年9月です。制作会社が設立されるまでは、当時の福井新聞社広告局(現在は組織変更で営業局)の生活情報誌部という部署が担当していました。新聞では拾いきれない広告主、特に女性や若年層をターゲットにしている企業の広告を展開する受け皿とし、若い女性に情報発信できる媒体を作ろうとしたのが始まりでした。

お二人が株式会社fuプロダクションへ参加された経緯を教えてください。

滝本さん:私は福井新聞社に入社し、現在も営業局次長と株式会社fuプロダクションの代表取締役社長を兼務しています。もうすぐ創刊20年というタイミングで「月刊fu」のコンセプトをリニューアルすることになり、別の出版社でタウン情報誌の出版に関わっていた堀に入社を求めました。

堀さん:新たなターゲット層に向けて内容を一新したいので、協力してほしいとの要請を受けて移籍することを決断し、2014年12月に入社しました。

具体的には、どのようにリニューアルしたのでしょうか。

堀さん:2015年4月号から「月刊fu」を、それまでの若い主婦層に向けた生活情報誌から、男性にも読んでもらえるようなテイストを採り入れるようし、新たに「ローカルライフマガジン」というコンセプトを打ち出しました。パステル系のイメージだった表紙も男性が手にとりやすいように変え、写真のカットや読み物の特集ページを格段に増やして、より「雑誌」を意識した構成にシフトしました。読んだ人が「月刊fu」を持ってまちに出かけ、お店に行ったり、イベントに参加したり、読後のアクションを意識した編集を心がけました。

滝本さん:それまでも福井新聞社からの受注に加え、行政や企業からも印刷物などの編集業務を請け負っていましたが、会社としての成長に限界を感じていました。当時、弊社に全面的に任せていただいた「月刊fu」のリニューアルに対し、読者やクライアントから非常に高い評価を得たこともあり、自分たちのクリエイティブは市場の中でもっと支持を広げられるのでは、自分たちが新しい媒体を創刊すれば受け入れられるのではと思いました。手がけた企画や制作物が一般ユーザーに評価され、売上にそのまま反映されれば、スタッフのモチベーションも上がり会社の成長につながると思ったんですね。

月刊誌のリニューアルとともに企業体質の転換を図る

「月刊fu」のリニューアルととともに、企業体質の転換も図ったのですね。

滝本さん:はい。「月刊fu」のリニューアルだけでなく、2016年に、ランチクーポン付きのガイドブック「ランチパスポート福井」を発行したのをはじめ、その後もコンスタントに自分たちから発信する事業を展開しようと努めています。

堀さん:2017年には、自社媒体の第2弾として「ふくいのカフェBOOK vol.1」をリリースしました。

新聞を含めて、紙媒体離れが進んでいると言われます。これからの出版についてはどのようにお考えでしょうか。

滝本さん:ウェブ媒体へのチャレンジを進めてきました。2018年4月から「毎日発信!ふくいの旬な街ネタ&おでかけ情報ポータル」と銘打って、「ふーぽ」(https://fupo.jp/)という情報ポータルのサービスを開始しました。従来の出版ではなく、ウェブへの広告で収益を得ていくビジネスモデルの確立を目指します。

堀さん:「ふーぽ」は、スマートフォンでの閲覧を前提とした作りになっており、イベント、読み物やスポット情報などを掲載しています。当社の持ち前の編集力で「毎日開けばなにか新しい情報がのっている」ように、毎日発信することをコンセプトにしています。

具体的には、どのような記事を展開していくのでしょうか。

堀さん:グルメ情報をまとめたものや、街のうわさなど、福井の旬な街ネタや身近な情報です。例えば、新しい店ができる噂があったとして、店がオープンする前から、オープンする過程までを情報として載せたらおもしろいかなと思っています。既に当初の想定を大きく超えたペースでユーザー数、PV数を順調に増やしています。

新聞とは異なる領域で、社会に役立つ媒体でありたい

既存のグルメサイトやまとめサイトのような情報量重視ではなく、取材力と機動力を生かして差別化を図るということでしょうか。

堀さん:社内に、これまでの取材実績が蓄積されていますので、そのままウェブに良質なコンテンツとして仕立てられると考えています。これは当社が長年、取材を続けてきた強みだと思います。同時にそれらのコンテンツはデータベースとしての機能も果たしてくれます。福井の人から愛され、一日一回開いてもらえるサイトになれば、広告ビジネスにもつながってくると思います。

福井県内では、2022年度に北陸新幹線が敦賀まで延伸され、開業を迎えます。経済効果にも期待が寄せられますが。

滝本さん:新幹線開業までには、福井のことは「ふーぽ」を見ればわかるというような存在になれるよう内容を充実させます。新聞社のグループ企業としての取材力や情報量を生かしながらも、「ふーぽ」は、福井新聞や「月刊fu」とは結びつけず独立した一つのメディアとして、新聞、雑誌とは異なる領域で社会の役に立つ媒体でありたいと考えています。

取材日:2018年4月12日 ライター:加茂谷慎治

株式会社fuプロダクション

  • 代表者名:代表取締役 滝本 光男(たきもと みつお)
  • 設立年月:2006年10月 株式会社メディアプラス風丸 設立
         2015年6月 現社名へ変更
  • 資本金:3,000万円
  • 事業内容:福井新聞社発行 月刊fu の編集・制作、ランチパスポート福井 の発行、雑誌、冊子、記念誌、その他の編集・出版、広告、ポスター、ロゴマーク、パンフレットなどのデザイン制作、販売促進支援、イベントプランニング、企業・自治体の広報コンサルティング
  • 所在地:〒910-8562福井市大和田2-801 福井新聞社7F
  • URL:http://www.fupro.co.jp
  • お問い合わせ先:TEL)0776-60-2000 FAX)0776-60-2100
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