「映像は時として、誰かの生きる力になる」 お客様目線のウェディングムービーを制作!
- 京都
- 株式会社京都エタニティ 代表取締役 林明 氏
「商品」の良さが伝わりやすい映像の魅力を知る
ウェディングムービーの制作に至るまでのいきさつを教えてください。
大学卒業後、着物やがま口財布などの京都らしい商材を扱うメーカーに営業として就職しました。社内にテレビショッピングに商品を卸す部署があって、その部署の売り上げが多いことに気づき、その理由が「映像で商品の魅力を伝えている」ことにあると知りました。つまり、映像で表現すれば「商品」の良さが伝わりやすく購買につながるということです。それから、徐々に映像の魅力を感じ、手元にある資金で起業したいと思案している時に、周りで結婚式を挙げる友達が増えたことがきっかけで、ウェディングムービーのニーズの知り、3年半勤めた会社を辞めて、ウェディングムービーの制作を始めました。
映像制作の知識はもともとお持ちでしたか?
いえ、全く知識がなかったので、パソコンを購入し、映像編集について一から勉強しました。ただ、当時からメインで扱っている商材は「プロフィールムービー」という依頼者から事前にお借りした写真や動画の素材を編集し、結婚式当日に上映するための動画なので、撮影を必要とせず、編集さえできれば受注できるという多少の手軽さがありました。
時代の流れをつかみ、飛躍へ!
集客方法はどうされていましたか?
まずはホームページを立ち上げました。当時のプロフィールムービーは結婚式場と提携している企業が作成するのが主流で、当社は式場を通していない分、他社よりも5~10分の1程度の価格で提供することができるため、当社のサービスが周知されれば仕事につながると考えていたのです。しかし、立ち上げ当初はホームページをどう活用していいかが分からず、たまたまホームページを見た人が他社よりも価格が安いからと注文いただける程度でした。 やがて貯金が尽き、資金を集めるために深夜にアルバイトをするという生活が2年ほど続きました。アルバイトを辞めてからも大きな売り上げに至らず、一人でやっていくだけでギリギリの状態が続きました。
今では約20名のスタッフ(正社員とパートを含めて)が在籍されているとお聞きしました。飛躍のきっかけを教えてください。
2000年代の中頃、Webの通信速度が飛躍的に上がり、いわゆる「Web2.0時代」というWeb上で動画が見られる時代になり、それに合わせてYouTubeが出てきました。当時はYouTubeにウェディングムービーをアップしている人が少なかったので、これまでに作成した映像をYouTubeに大量にアップした結果、なんと1年を経たないうちに再生回数が100万回をはるかに上回り、YouTubeからHPに人が流動し、プロフィールムービーを作成したいという方が一気に増えたのです。続いて、スマートフォンが流行したことで、動画を見てくれる方が増加し、ビジネスとして軌道に乗る大きなきっかけとなりました。
一組の新郎新婦との出会いが励みとなる
これまで多くのウェディングムービーを作成されたと思いますが、その中で一番印象的だったエピソードを教えてください。
プロフィールムービーを作ることを迷っておられた一組の新郎新婦がいました。実は新婦のお母様が入院されていたことで、結婚式を控えながらも映像制作はためらわれていたんです。「映像制作は負担がかかりませんし、こちらもできる限りのフォローをしますので、せっかく式を挙げるのであれば作りませんか?」とお勧めしたところ、その後、快くご注文を頂きました。その映像制作の過程で、新婦のお友達から、新婦のお母様のメッセージを動画の最後に入れて、新郎新婦へのサプライズにしてはどうかという提案をいただき、お母様の協力を得て、動画を挿入しました。後から聞いた話ですが、結婚式の前日にお母様が亡くなられたそうです。お母様から結婚式は絶対挙げてほしいとの遺言があり、新郎新婦は式を挙げられ、サプライズとしてお母様の映像が流れた時、新婦はもちろんのこと、式場中が涙で包まれたそうです。映像には「思い出」を残せる力があり、その「思い出」は誰かの生きる力になると確信できた瞬間でした。未だにこの時のことを自分自身の励みとして、仕事に関わらせていただいています。
映像制作を軸にしながら、「記念日」にまつわる事業を拡大
軌道に乗り始めてから、事業内容として大きな変化はありましたか?
プロフィールムービーをはじめブライダルに関するあらゆる映像制作を軸に、新郎新婦の似顔絵やイラストパネルなどのブライダルに関連するグッズや、子供の誕生日プレゼントとしてのグッズなど、記念日に贈呈いただけるグッズの制作・販売を始めました。物を売っていた前職の知識や経験が役に立っているんだと思います。
会社設立から11年目に入るそうですが、これまで一番大変だったことは何でしょうか?
やはり、立ち上げ当初が一番大変だったと思います。今は年を増すごとに、収益がアップし、企業としても熟してきている実感があります。僕の見た目は一見チャラく見えるかもしれませんが、意外と堅実派で、これまで借金を一切せずに、できる範囲内でのみ事業を展開してきました。人員も仕事量に応じて増やしてきました。
これからは立てた目標に向けて、スピードを上げ、事業を拡大させていこうと考えています。
競合他社にはない御社の強みを教えてください。
商品力はもちろんですが、当社が何よりも強いと自負しているのはSEOやSNSの活用法など、商品を購入したいと思っている人をホームページに誘導するシステムです。起業当時からの10年の間、試行錯誤を繰り返し、蓄積した知識と経験が我々にはあります。それは今も変わらず、式場と提携せず、価格を抑えた質の良い映像を提供したいという、お客様目線の展開を大切にしているからたどり着いた結果です。このシステムは他の商材を販売する際にも生かせるので、今後の展開として考慮しているところです。
京都という地の利を生かして
話は戻りますが、京都で起業した理由を教えてください。
僕は兵庫県の出身ですが、京都の大学に通っていたため、その後京都が大好きになりました。四季折々を肌で感じられたり、至る所に観光地としての楽しさがあることが理由です。また、「京都」という全国に通じるブランド力も魅力に感じていました。社名に「京都」を入れたのは、そういった意味合いが強いです。これから事業を展開していく中で、京都の職人さんとのコラボレーションも考えており、より京都の地の利を生かしたいと思っています。また、京都には芸術大学がたくさんあり、クリエイティブな人材の宝庫だと感じています。これから会社を大きくしていく上で、良い人材との出会いは必須なので、改めて京都で起業して良かったと思っています。
働くスタッフのためにも堅実に成長していく
将来のビジョンを教えてください。
将来的に、観光・食・伝統産業などの京都の情報を発信できるWebメディアを運営したいと思っています。当社独自の切り口で、日本語だけでなく、英語、中国語に対応したメディアを展開できればと思っています。メディアを持つことでより発信力を身に付け、この5年で(2022年までに)今の売り上げの30倍を目標に邁進していきます。
2020年には東京オリンピックが開催されますが、その時に向けて進めていることはありますか?
当社はオリンピックに向かうのではなく、オリピックが終わった後にどう勝ち抜いていけるかをビジョンとして捉えています。在籍している社員やパートさんたちの生活を支えていく必要があるので、一過性のブームに乗ってリスクを背負うのではなく、どんな状況でもしっかり収益が出るように展開し、長く継続できる企業となるように努めていきます。
夢は安易につかめないが、きっとかなう
最後に、当サイトを見ているクリエイターの皆さんにメッセージをお願いします。
クリエイターが歩む道として、やりたいことに特化するのか、お金もうけに特化するのかという両極があるとして、それぞれをバランス良く捉えることが大切になるのではないかと思います。例えば自らお金を出さないのであれば、クライアントの考え方に沿ったものを作る必要があり、当然、自分本意なものは作れません。しかし、諦めなければ、きっと夢はかなうと思っています。例えば、自分でお金を貯めて、そのお金でやりたいことをするなどです。現に、海辺で映画を上映したいという夢を持っていた友達がいて、その話を聞いた当時は実現するのは相当難しいだろうと思っていたのですが、その7年後に彼は地元の淡路島でその夢をかなえました。やり続けて、考え続けて、動き続けたら、いつか夢はかなうとその時に強く思いました。ただ、その夢には安易にたどり着けないというのは、今、僕が経営者だからこそ伝えられることかと思います。頑張ってください。
取材日: 2018年5月9日 ライター:7omoya
株式会社KYOTO ETERNITY(株式会社京都エタニティ)
- 代表者名: 林 明
- 設立年月: 2007年11月
- 資本金: 300万円
- 事業内容:
ウェディング映像制作、ブライダル関連グッズ制作、ウェディングムービー撮影、CM制作、WEB動画制作、セミナー撮影、ウェブサイト制作事業、(企画、マーケティング、デザイン制作、システム開発)、自社メディア運用事業、プロモーション・コンテンツ企画制作事業 - 所在地: 〒604-8115 京都府京都市中京区雁金町373 みよいビル307号
- お問い合わせ先: 075-746-4119
- URL: http://www.jiyuujinn.com