沖縄の路線バス広告を一手に担う、地域密着型の広告代理店
- 沖縄
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株式会社アカネクリエーション
代表取締役 識名 朝哉 氏、
取締役 企画推進部 部長 伊藤 烈 氏
※ Meeting(会議・研修・セミナー)、Incentive tour(報奨・招待旅行)、Convention またはConference(大会・学会・国際会議)、Exhibition(展示会)の頭文字をとった造語で、ビジネストラベルの一つの形態。
沖縄県内全てのバス広告を手がける、県内初のバス交通広告代理店
アカネクリエーションの設立までの歩みを教えてください。
識名さん: 1974年に、私の父が創業しました。父はもともと米軍基地内で発行される英字新聞の営業マンでした。父が若い頃に栃木県の日光を旅行した際、たまたま乗ったバス車内で流れていたアナウンス広告に驚いたそうです。当時、沖縄では車内放送の広告はありませんでした。これはビジネスになりそうだ、と考えた父は独立し、沖縄で初めて「バスの車内放送広告」専門の代理店をスタートさせました。
車内放送から始まり、現在ではどのような交通広告を手がけているのでしょう?
識名さん: バスに関連する広告は全て担っています。アナウンスはもちろん車内の中吊りやポスター、ステッカー、車外に貼るタイプの広告、バス全体のラッピング広告などです。広告の営業、販売から制作、広告の施工、維持管理まで一括で行います。県内には4社の路線バス会社がありますが、おかげさまで現在では、全てのバス会社の広告、枠にして7,000以上もの数を請け負っています。また、バス以外ではタクシーやモノレールの広告も手掛けています。中でもモノレール広告は、営業こそ他の代理店でも行っていますが、設置、撤去、維持管理など施工に関する業務も弊社が全て担っています。
県内に多数の広告代理店がある中で、なぜ交通広告では貴社が強いのでしょうか?
識名さん: 弊社が創業してから40年あまりの間に、参入された会社はいくつもありました。バス広告はクライアント数が非常に多く、さらに「この沿線だけで広告を出したい」など要望も細かく、予算規模も大小あります。弊社は、どんなクライアントにもしっかりと向き合ってニーズを拾い対応できることが、強みだと思っています。
また弊社では、広告枠の営業から制作、施工、維持管理までトータルで請け負えます。全て一度に発注できるという便利さと、それゆえ可能なお付き合いの深さもクライアントから買っていただいていると思います。
細やかな営業活動やサービスが実を結んでいるのですね。
識名さん: そうだと思います。弊社の営業マンはフットワークが軽く、とても街に精通しています。どこにどんな会社やお店があるのかということはもちろん、地図アプリよりも道路に詳しいほど(笑)。地域に密着した仕事をしていると感じています。
交通広告と他媒体の組み合わせで最大効果を狙う
交通広告専門の代理店としてスタートした貴社ですが、現在では様々なメディアの広告も手がけられています。なぜ他の広告を始められたのでしょうか。きっかけを教えてください。
伊藤さん: クライアントの様々なニーズに応えたいと思ったことがきっかけです。多くのクライアントと接する中で、交通広告以外の媒体にも出稿したいというお声を聞くことが増えてきました。テレビや雑誌、新聞の広告分野では既に他社が大きなシェアを占めていましたが、弊社は屋外広告に着目しました。
それはなぜですか?
伊藤さん: 車社会である沖縄の特徴として、首都圏の駅前のように一気に人が集まる場所は多くないので、運転中に目にする場所、例えば大きな道路沿いの看板や、トラック等の大きな車のラッピングなどの屋外広告の効果は高いと言われています。さらに屋外広告であれば、制作から施工、管理という、交通広告で培った弊社のノウハウを活かせると考えたからです。今では、交通広告と屋外広告を組み合わせつつ、ラジオやテレビCM、ネット広告なども少しずつ手がけるようになり、複合的な広告プランを提案できるまでに成長しました。
ネット広告の成長の勢いが加速している昨今、貴社はどう対応されているのでしょう?
識名さん: ネットが普及し始めた20年ほど前、交通広告を止めてネットの方へ予算を回すクライアントが出始め、驚異に感じました。しかし今では弊社でもネット広告やHP制作に注力できる体制が整い、それぞれの媒体は補完し合えると実感しています。特に沖縄では交通広告や屋外広告が強いため、ネット上だけで完結するキャンペーンや広告よりも、交通、屋外広告をネットへの誘引媒体として利用する方が効果的な場合が多くあります。それらをいかに組み合わせて効果を上げていくかが焦点になります。
MICE事業で広告代理店ならではの強みを発揮
交通広告、総合広告に加え、近年ではMICE事業も手がけているとの事ですが、具体的にはどのような事を行っているのでしょう?
識名さん: 沖縄は日本でトップクラスの観光立県です。この立地を魅力的に感じる方は一般の旅行客以外にも多く、ビジネスや学会、企業のインセンティブツアー、研修で沖縄へ来たいというニーズが増えていますが、沖縄にはMICE事業を営む会社はまだ多くありません。そこで弊社では、旅行代理店の勤務経験のある社員が入社したことも手伝い、宿泊や移動手配はもちろん、会場設営、プログラム作成、演出、懇親会、催し物の提供など、MICEをトータルでサポートできる部署を立ち上げました。
沖縄でのMICE開催は今後も増加してくのでしょうか?
識名さん: 沖縄だけでなく、どこの大都市、小規模都市でさえ、MICE誘致を目標に掲げています。全国的にMICEの奪い合いのような状況の中で必要なことは、MICE運営のノウハウを磨くことはもちろん、いかにPRして誘致するかということです。PR無しに伸びる事業ではないのです。
誘致のためのPRという点では、広告代理店であることは有利に働きますか?
識名さん: 運営を得意とするイベント専門の会社は沖縄にも多くありますが、PRという部分では弊社が強いと思っています。クリエイティブの感覚、編集能力、コピーの質など、広告のノウハウがMICE事業を展開する上で大いに役立ちます。
働き方の「健全性」を追求
御社の経営理念を教えてください。
識名さん: まず、全体の理念としてかがけていることは、「街を咲かせます」ということです。広告の力で町全体の雰囲気を良くしていきたいというのが、大きな目標です。 そして、その目標のために3つの柱を設けています。1つ目が、速さと品質の向上のための「スピード&クオリティ」。2つ目が、社員同士や媒体とクライアント、それを見る方との関係性を大事にする「コミュニケーション」。3つ目が、財務や経営の「健全性」。 現在は、3つの中で特に、「健全性」の向上に注力しています。今、世の中では、「働き方改革」が叫ばれています。広告代理店には特に必要で、弊社でも残業は減らすよう努めています。それを突き詰めていくことも、健全性だと思っています。
具体的にはどのような方法で残業を減らしているのでしょう?
伊藤さん: 広告代理店は接客業、サービス業なので、クライアントがいます。当然、締め切りがあり、私たちののペースだけではどうしても進められない部分がありますので、まずは自分でスケジュールを立てて、それを遂行できるような手段を上司とともに考えることが重要です。外部パートナーに依頼し業務を効率化させたり、クライアントとのコミュニケーションの取り方を工夫したり、担当者だけでなく上司が一緒に考え、具体的な方法に落とし込むようにしています。
識名さん: 上司も部下も、試行錯誤して具体策を練った結果、ずいぶん残業時間を減らすことができました。また、働き方の健全性UPでいうと、女性の働きやすさも重視しています。
具体的に、どのような策を取られているのでしょう?
識名さん: 産休や育児休暇は当たり前ですが、職場復帰後については時短勤務など、本人の希望に100%対応しています。クリエイティブの部署には女性が多く、女性を大事にすることは広告業では当然だと考えています。女性のライフステージに合わせ、女性自身が仕事をする時間を決められるようにしています。
また、これは社風と言えると思いますが、「女性である事は強み」だと信じて仕事をして欲しいと、言い続けています。消費の主導権を握るのは女性と言われていますし、実際に女性をターゲットととした広告を多く手がけています。クリエイティブや企画の面で特に、女性社員がやりがいを感じてくれていればいいな、と願います。
探究心と向上心で「正解のない」広告を追求することが大事
御社が今後目指していきたいことは何ですか?
識名さん: 弊社は、沖縄県内の交通広告を一手に引き受けていると言っても過言ではありません。クライアント数が非常に多く、バス広告しかやっていないお客様も多くいらっしゃる中で、媒体を守り育てる責任があります。これからも理念に掲げている3つの柱を軸に、「街で一番見かける」交通広告を、交通以外の媒体との相乗効果で発展させていきたいです。
最後に、一緒に働く方には、どのようなことを求めますか?
識名さん: 探究心、向上心を持って仕事ができる方です。広告の仕事の面白さは、「物がない」「正解がない」ところにあると思っています。まず、クライアントの実現したい「何か」があり予算があります。その「何か」を形作る時に必要なのが、どれだけこちらにノウハウやアイデアがあるかということです。探究心や向上心さえあれば、様々なことを吸収し自分のノウハウを蓄積できます。それによって知恵を絞り、より良い広告を作っていけると思います。
伊藤さん: 広告には正解がないからこそ、相手に対して知恵やアイデアを出すことには怖さもあります。しかしそこで大事なのは、怖がって「出せない」のではなく、「出すんだ」という気概です。その気概を持つためには、やはり探究心や向上心が必要だと我々は考えています。
取材日:2018年6月26日 ライター:仲濱 淳
株式会社アカネクリエーション
- 代表者名:代表取締役 識名 朝哉 氏
- 設立年月:1975年9月
- 資本金:1,000万円
- 事業内容:交通広告 (バス、モノレール、タクシー・空港・航空機・船舶広告)
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コンベンション事業(学術会議・学会・展示会の企画・運営)
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セールスプロモーション、CIプランニング
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車両ラッピング施工、管理
印刷物全般
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その他の広告全般など - 所在地:沖縄県那覇市銘苅1-19-29 アカネビル
- TEL:098-862-8280
- URL:http://www.akane-ad.co.jp/