Webの力で沖縄を元気に!Webマーケティングで地域振興を目指す
- 沖縄
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株式会社アザナ
代表取締役社長 田邊 裕貴 氏
管理部 人事 総務責任者
新垣ステファニー美香 氏
Webで地域振興を促進
御社設立の経緯を教えてください。
田邊さん: 東京の「株式会社フリーセル」が、2010年に沖縄にマーケティングセンターを作ったのが始まりです。当時は本社のニアショアやコストセンターとして機能しており、東京に比べて給与は低く、そのことについて私の前任者は疑問に感じていました。給与は低いにもかかわらず、沖縄の物価は東京と比べて決して低くありません。このままでは沖縄で働くスタッフはもちろん、関わる人や企業も幸せになれないと思ったようです。沖縄を元気にするべく事業を拡張しようと、自社の業務に加え地場での仕事を増やす方針に変更しました。そこで2013年、改めて現地法人として「アザナ」を設立しました。
御社の事業内容を教えてください。
田邊さん: Webマーケティング事業、Webクリエイティブ事業、地域振興事業という3本柱で事業を展開しています。まずWebマーケティング事業、Webクリエイティブ事業というのは、フリーセルグループの業務が主になります。Webマーケティング事業部ではインターネット広告の運用やWebコンサルティングなどを、Webクリエイティブ事業部ではWeb制作を行っています。
その2つの事業(Webマーケティング事業、Webクリエイティブ事業)において、御社の特徴はありますか?
田邊さん: Webマーケティングやクリエイティブの分野において、沖縄では作業のみを行う会社が大多数です。例えば、広告の修正はするが、運用はしないというような会社です。しかし弊社の場合は、マーケティングの施策、調整などの運用面まで担うなど、幅広い範囲の業務を行っているのが特徴です。
全国展開しているフリーセルグループの仕事ということで、やはり全国の案件を扱われているのでしょうか?
田邊さん: そうです。沖縄にいながらにして全国の多種多様な案件に携われることも、大きな特徴です。また、もう一つの特徴として挙げられるのが、上流から深く案件に関われるよう努めている点です。フリーセルグループの案件を単純にこなすのではなく、こちらからも本社へ提案するような事業スタイルに変換させています。
地域振興事業についても詳しく教えてください。
田邊さん: 沖縄県内の企業や自治体への営業と、その案件にまつわる制作や運用を主に担っています。弊社設立のそもそもの大きな目的は、沖縄を元気にすることです。いままで培ったノウハウを県内企業のマーケティングなどに役立て、活性化を図っていきたいと思っています。沖縄だけでは売り上げ的に厳しい時もありますが、県内企業に向き合っていくことこそ、弊社のミッションであると考えています。その甲斐あって、地域振興事業が会社全体の売上の3分の2を占めるまでに成長しました。
沖縄県内の企業との取引は、どのように開拓されたのでしょう?
田邊さん: 設立当初はテレアポなどプッシュ型の営業活動を行っていましたが、今ではプル型にシフトしています。というのも、弊社はWebマーケティングを主力事業としています。その会社自体がWebマーケティングを用いたプル型営業で集客できていないと、会社の実力を疑われてしまうからです。おかげさまで、最近ではお客様からご依頼いただけるようになりました。
人を大事にしてポテンンシャルを引き出す
田邊さんは埼玉ご出身とのことですが、なぜ沖縄で働くようになったのでしょう?
田邊さん: 実は昔は、スノーボードが好きなので寒い場所の方が好きで、暑い場所は苦手でした(笑)。しかし親しい友人が石垣島に引っ越すことになり、遊びに来て、その友人の海でひと泳ぎしてから仕事に向かうというライフスタイルをとても魅力的に感じ、それから沖縄に興味を持ち、頻繁に訪れるようになりました。来るたびに体感したのが、沖縄の人の温かさです。様々な方の温かさに強く心を打たれ、移住を決意しました。
人との出会いがきっかけだったのですね。
田邊さん: そうですね。昔から私は、人との縁を大事にするよう心がけています。会社で一番大事にしていることも、やはり「人」です。会社ですから、当然利益は大事です。しかし私の信条として、あくまで1番は人。人を大事にすることで、その人たちが有益な情報を集め、良い物を生み出し、その対価として利益を得て、人に還元し幸せになれると思っています。お金を稼ぐために人を集めるというのは、人を手段や物のように扱っているようで、本末転倒という気がします。
人を大事にするということですが、何か具体的に行っていることはありますか?
田邊さん: 働き方の改善です。特に女性の育児休業や時短勤務などは、本人の希望を叶えるようにしています。在宅勤務の体制も整えました。多様な働き方を受け入れているので、仕事をする時間が減り利益が少なくなってしまう場合もあります。働き方と利益のバランスを取ることは今後の課題です。
新垣さん: ただし、育休など会社の制度の整備は会社のブランディングになり、必然的に人は集まってくると考えています。例えば必死に採用活動をしなくても応募が増えたり、案件の依頼が増えたり。スタッフのライフステージに応じた制度作りに取り組むことは、未来につながると思っています。
田邊さん: 働き方の改善ともう一方で取り組んでいることに、仕事を「自分ごと」として考えられる社風の浸透があります。
「自分ごと」とはどんな事でしょう?
田邊さん: スタッフは会社で起こることを、他人事のように考えてしまいがちです。ただし「会社」というものは、社長である自分だけのものではなく、社員全員のものです。「会社は自分のもの」「会社での出来事は自分ごと」という考え方を浸透するようにしました。その結果、以前は自分で深く考えず、「やっていいですか?」と質問ばかりしていた社員が、「やります」と、責任を持って仕事に向かうように変わりました。自分の権限で責任を持って仕事をすれば、やりがいが生まれます。やりがいのある職場こそ、働きやすい職場と言えます。つまり会社を「自分ごと」と捉えることは、自らの力で働きやすい環境を作り出していることになるのです。
「自分ごと」という意識を浸透させるために、どのような工夫をされたのでしょう?
田邊さん: 特に管理職に対して、常に「なぜ?」と質問するようにしています。コミュニケーションを図りながらそれを繰り返すことで、考える癖をつけられるからです。そして管理職が「自分ごと」として仕事を捉えられれば、それが下のスタッフへ自ずと浸透していくと思います。
また仕事を属人化させることも、「自分ごと」に感じてもらえる方法の一つと考えています。属人化は会社経営の手法としてはNGと言われていますが、私個人の考えとしては、良いと思っています。なぜなら一定の責任を一人に集約させることで責任感が生まれ、「自分ごと」として真剣に捉えられるようになるからです。
夢は「沖縄のグーグル」。一生働ける会社を目指して
最後に、御社のこれからのビジョンを教えてください。
田邊さん: 大きいビジョンは2つあります。一つ目は、「沖縄のグーグル」と言われるように、沖縄での成功事例を積み上げていきたいです。そして、エリアマーケティングのプロとして認知されるようになりたいですね。
エリア、つまり地方でのWebマーケティングを、なぜ重視したいとお考えですか?
田邊さん: これから日本は超高齢化社会を迎えます。首都圏は物価や家賃が高く、高齢者は住みづらくなっていきます。特に東京には地方出身者が多いので、高齢者たちは自分の故郷である地方へ戻ると言われています。その時、各地方で経済を回してく必要が出てきますので、弊社が既に沖縄で行っているような、ローカルな視点でのWebマーケティングが役立つはずです。
2つ目のビジョンも教えてください。
田邊さん: 人が働きやすく、さらにポテンシャルを発揮できる「一生働ける会社」にすることです。誰かに成長させてもらうよりも、自らがポテンシャルを発揮できるような環境を整え、マネジメントを構築することが大事だと思っています。そのためには、まず「自分ごと」として考えることが必要です。「自分ごと」として取り組めば、Web制作にも、コンサルティングやマーケティングにも、気持ちが入ります。気持ちが入れば大概成功します。その積み重ねが、アザナで「一生働きたい」という思いに繋がるのではないかと思っています。
取材日:2018年7月3日 ライター:仲濱 淳
株式会社アザナ
- 代表者名:代表取締役社長 田邊裕貴
- 設立年月:2013年4月
- 資本金:1000万円
- 事業内容:ネット広告運用事業、ウェブサイト制作、コンサルティング事業
- 所在地:沖縄県豊見城市与根518−7
- Tel:098-987-4761
- URL:http://azana.co.jp