光の演出で勝負する。
- 名古屋
- 株式会社アコードデザイン 代表取締役 本田 和也 氏
教育学部から、空間デザインのベンチャーへ。
起業されるまでのキャリアをお聞かせください。
大学では教育学を学んでいたのですが、CM制作に憧れを抱いていたため広告代理店に入ろうと考えていました。しかし、就職活動を進めていく中で空間デザインのベンチャー企業に興味を持ち、入社を決めました。ベンチャー企業ならではの風通しの良さと、若い社員が責任ある仕事を任されている環境に魅力を感じましたし、“自分の考えをカタチにする"という意味では広告も空間デザインも同じかなと考えたのです。
ベンチャー企業の社員から独立を決めたきっかけは?
会社の方針やルールと、自分の考えが合わなくなったのが一番のきっかけです。魅力を感じて入社した会社ではあったのですが、いざ入ってみると入社前のイメージとの乖離が大きく、多くの同期がすぐに辞めてしまいました。そんな中でも会社の状況を良くしようと、さまざまなアクションを起こしたのですが、残念ながら約300名の組織を根本から変えることはできませんでした。結果、誰にも縛られず、”自分の考え”価値観を表現できる環境を築くために5年弱で退社しました。
”自分の考え”価値観を表現したいと思われて、起業を選択された理由は?
その時に社外に目を向けてみると、クライアント企業のオーナーや協力会社の社長など、仕事を通じて魅力的な方々との出会いがありました。そんな尊敬できる人たちと同じステージに立って一緒に仕事をするためには自分も経営者になるのが最も近道だと感じ、起業に踏み切ったんです。
起業されて、大変なことはありましたか?
アコードデザインを創業して8年目に入りましたが、やはり最初は苦労しました。どの業界にも独特のルールやしがらみがあると思うのですが、若い私がその既成概念を“イケイケドンドン"で壊していったため、業界内で叩かれたこともありました。また、資金力や信用力の壁や、さまざまな失敗を一つひとつ乗り越えていきました。
オーナーさまと我々の想いを共有し、最高の空間デザインを実現する。
社名「アコードデザイン」の由来を教えていただけますか?
この社名は、私が最もお世話になっている設計事務所の会長さんが名付けてくれました。その会長さんが乗っていた車が「アコード」(Honda)という車種で、私の名字が「本田」のため気軽に命名いただいたようですが(笑)。調べてみるとアコードには「共有」や「同調」といった意味があることを知りました。『オーナーさまと我々の想いを共有し、デザインを行う。』という起業への志とマッチする社名だと感じ、授かりものとして大切にしています。また、「ア」から始まるネーミングは電話帳にも最初に名前が載るため、営業的にも優れた社名だと感じています。
御社の現在の事業内容を教えてください。
創業当時からの柱となっているのが、会社員時代に多くの経験を積んだ空間デザインの事業となります。名古屋と福岡に営業拠点を設け、アミューズメントホールを中心に空間デザインやサイン計画、店舗の演出などを行っています。営業拠点は現在2箇所ですが、手がける案件は全国に広がっています。
飲食事業も手がけられているとお聞きしました。
会社員時代の後輩が「飲食業を始めたい!」という夢を抱いていたため、当社の事業として展開することにしました。その後輩と一緒に仕事がしたいとずっと考えていましたし、当社としても事業内容に多様性が生まれると感じたのです。現在は大阪を中心にハンバーガーショップ「RICH GARDEN(リッチガーデン) 」を3店舗経営しています。
御社の強みを教えてください。
空間デザイン事業での当社の強みは「光の演出」にあると考えています。アミューズメント施設は外観、内装ともにLEDなどの光を使った演出がとても重要なのですが、経験値やどのような設備を用いるかといった“目利き"が必要です。私はこの光の演出に会社員時代から貪欲に向き合い、実績とノウハウを積み上げてきました。おかげさまで良い製品をコストを抑えて導入できる環境づくりも進めることができたので、当社が選ばれる理由になっているのかなと思います。
街には、仕事のヒントが溢れてる。
仕事において本田社長が大事にされていることを教えてください。
ビジネスである以上、経営者として電卓をたたく力は必要だと思いますが、それ以上に“人と人の関わり"が大事だと考えています。仕事をする上でいつも根底にあるのは「喜んでもらいたい!」という想い。いただいた仕事に真摯に向き合った結果、店舗確認の際に「すごい!」「期待以上だ!」と言っていただけた時が一番嬉しいですね。
御社の今後の展望についてお聞かせください。
近い将来、飲食事業を別会社にする考えを持っています。飲食事業が力をつけてきて、ある程度の資金も回るようになってきたため、さらなる多店舗展開やフランチャイズ展開、新たな商品開発など、さまざまな夢を追える状況になってきました。
空間デザインに関しては、これまで実績を重ねてきたアミューズメントホールの演出ノウハウを武器に、公共施設や地域開発へとフィールドを広げていきます。2020年には東京オリンピックが開催されますし、2027年には名古屋でリニアが開通予定です。今後も私たちの強みが発揮できる領域がどんどん広がっていくと考えています。
実は、5年前に「こうなったらいいな」と思い描いていたことは、現在ほぼ達成できる状態になっているんです。来年(2019年)には念願の自社ビルも完成します。その先の具体的な展望については、来年になれば見えてくるのかなと感じています。
最後に、空間デザインに携わるクリエイターにメッセージをお願いします。
私も、協力してくれる仕事仲間たちも、とにかく空間デザインが大好きで、街を歩いていても常にアンテナを立てています。街には、私たちの仕事のヒントが溢れています。
空間デザインのプロフェッショナルとしていい意味で「職業病」になっていただいて、街中の建物やホテル、レストラン、駅など、自分が日々接している身の回りのものに興味を持って、何かを学び続ける感性を養ってほしいと思います。
空間デザインを含む建築関連の仕事は、自分の考えたモノが世の中に残る素晴らしい仕事です。しかも、目に見える成果として大きなモノが長期にわたって残る仕事です。ぜひ、その部分に誇りを持って毎日の仕事に取り組んでください。
取材日:2018年8月10日
株式会社アコードデザイン
- 代表者名:代表取締役 本田 和也
- 設立年月:2011年8月
- 事業内容:デザインシート/LED照明演出/LED節電改修/店舗空間デザイン/サイン計画/飲食店事業部
- 所在地:〒460-0008 愛知県名古屋市中区栄4丁目16-27 富士サカエビル8F
- Tel:052-265-8797
- URL:http://accord-design.jp