利用者と提供者の“心とココロをつなぐ” クリエイティブな地域活性化活動で皆を元気に!
- 大阪
- 株式会社StarFACTORY 代表取締役 宮本 司氏
新しいことを怖がっていたら一生飛べない⁉
この業界に入られたきっかけは何ですか?
元々サッカーが大好きだったことや、マウンテンバイク選手の友人がよく取材で話したことと記事内容が違うと不満を口にしていたので、選手の想いと読者をうまく繋げられるようなスポーツライターになりたいと思ったのがきっかけです。当時、専門の養成講座を東京にしか見つけることができなかったので、毎週日曜に東京行きの夜行バスに乗り、月曜の講座を受けて、その日の夜にまたバスに乗って翌朝大阪に戻りそのままバイトに行くという生活を1年位続けていました。そこで知り合いになった人の関係で日韓ワールドカップのニュース速報を1ヶ月位担当させてもらい、大阪に戻ってからも、とにかくこの仕事がしたかったので、関西のJリーグチームに直接電話をかけて、週に1回グラウンドに行って監督のコメントをもらうなどして記事を書いていました。
念願のスポーツライターになられたのですね。
バイトと掛け持ちをしながらライターをしていたのですが、本職にしたいと思い約15年前に旅行関係や地域情報紙を作っている編集プロダクションに入社したんです。そこではライティング以外の編集の仕事もさせてもらえたので、広告や営業の仕事も面白いと思うようになりました。ライターだけというよりは、クリエイティブ全般で何かを伝える方が楽しくなって、チラシやロゴ、看板の制作などプロモーションも含めたクリエイターの仕事で、やりたいようにしたいと思うようになり独立したんです。
起業当初はどのようなことを手掛けられていたのですか?
当初は紙媒体のみを扱っていました。僕自身新しい事に挑戦するのがすごく好きで、よく例えで言うのが、初めての所へ飛び込む時に骨折まではいいと言うんです。怖がっていたら一生飛べませんからね。初めての事って知識も足りないし、結構なトラブルも起こるし、やり直しが入ったりするので、怪我する事を前提にして取り組まなければいけません。でも一回飛べば高さもわかるので、次は分かった状態で取り組む事ができるようになり、その結果、今では印刷物の他にWebやイベント、映像にも従事しています。特に映像なんて最初は散々でした。取材でインタビューしている所を記録として残して簡単な編集をしていたのですが、プロモーションやイメージ映像などクライアントからの色々な要望に応える内に、怪我をしながらでもそれが出来るようになり、今では毎月の売上の柱の一角になりつつあるんです。
会社としてかなり積極的に新しいことに取り組まれているので事業内容も幅広いですね。
事業の柱としては3つあって、1つめは今まで蓄積してきた取材、ライティングや雑誌の編集、フリーペーパーや企業の会報誌、BtoB向けのカタログなど読み物的なものの制作、2つめは代理店経由が多いのですが、企業やメーカー等の商品の印刷物やWeb、映像も含めた全体的なプロモーションを提案・企画書作成から制作までを行っています。3つめはこれから特に注力していきたいACTIVATION(アクティベーション)という地方活性などの分野です。
故郷を離れ、ふるさとの大切さを知った
国も地方創生を喫緊(きっきん)の課題に挙げていますが、その分野に取り組まれたきっかけは何ですか?
私は高知県の離島出身者で、過疎化が進む中いずれは何かの形で故郷に貢献したいと考えていたんですが、日々の業務に追われ何もできていなかったんです。起業して約10年が経ち僕も40歳の節目を迎えたことをきっかけに、原点に一度立ち返ろうと思い、僕に出来ることってクリエイティブで故郷を含め地域に貢献することではないかと考えたのがACTIVATIONです。そんな時に仕事でつながりのあった大阪高槻市の洋菓子店から、利用客が少ない地元商店街を盛り上げてほしいと依頼されたんです。ACTIVATIONの取り組みとして、色々と策を練る中で子供たちに地元愛とまではいかないにしても、地元での楽しい想い出として残るようなことをしたい、将来に夢を持ってもらいたいという想いから、商店街の店舗の厨房等至る所で「とんだ和っかデイ」と題した子供たちの職業体験を実施したんです。最初、商店街側に提案しに行っても全然取り合ってくれなかったのですが、地道に説明をし続けた結果、最終的には教育委員会や商店街から協賛していただき実施することができました。
イベントの手応えはいかがでしたか?
今年で7年目になるのですが、とにかく参加者からの評判が良くてすぐに定員がいっぱいになるんです。地元の新聞やケーブルテレビにも取り上げられたり、他の地域でも同じようなイベントを実施したりするなど拡大しています。今では当時小学生だった子供たちがイベントの手伝いに来てくれるんです。その内就職する歳になる人も出てくるので、反応が楽しみです。
現在のACTIVATIONの取り組みを教えてください。
大阪のツアー会社とリニューアルしたWebサイト「OSAKA旅めがね」の企画・運営です。大阪の魅力を発信する3部構成にしていて、1部は地元のガイドだからこそ知っている面白いお店情報等を毎月配信しています。取材には産学連携事業としてライターを志す学生に授業の一環として取材・記事作成を担当してもらっています。2部は、個性豊かな外国人ガイドによるスポット紹介で外国人観光客に受けているようです。3部は趣向を凝らしたツアー紹介をしています。今年(2018年)リニューアルしたばかりなのですが、グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)で「私の選んだ一品・2018年度グッドデザイン賞審査委員セレクション」に選んでいただきました。単純に街を紹介するサイトではなくて、インバウンドも含めた観光客とガイド、またガイドと学生ライター、学生ライターと読者をつなぐといった人と人とをつなぐところが評価されたようです。他にも「八尾市ダンスプロジェクト」といって、大阪府八尾市の様々な観光地で、市長をはじめ消防士や大病院の院長、地元の大手企業をはじめとした働く人々にフラッシュモブで踊ってもらうという観光誘致用のムービーを制作し、市のPR活動の一端を担いました。
大阪以外ではどのような活動をされているのですか?
高知県、沖の島のWebサイトを年内(2018年)に公開する予定で制作しています。島の情報を提供するだけではなく、島を出た人が離れていても繋がることができるよう、島を想っている人を取材したり、閲覧者同士が自由にリンクをはって交流することができたり、島を360度カメラで撮影しWebサイトを通してバーチャル体験をしてもらうなどコンテンツの充実を図っています。また、京都市の事業でコインロッカーやホテルに荷物を預けて、手ぶらで観光を楽しんでもらう「ハンズフリー京都」のPR活動が来年から実施される予定ですが、その一環としてYouTubeで全世界に配信されるムービーの担当もしています。
御社の幅広い事業内容が活かされていますね。ACTIVATIONを展開される中でこだわっていることはありますか?
地方出身の僕が思うのは、一方通行の地域活性ではなく、住人にとってもプラスになるものじゃないと意味がないと思っていて、訪れる人と住民のお互いの心が通じるということが大切だと考えています。アート等を展示することにより、観光客誘致を図るプロジェクトがあるのですが、島と直接関連がなければ、住民の多くはそのアートに興味がないと思うんです。
なるほど、心が置き去りにされている感はありますね。宮本社長がこれまでに取り組まれたことがあれば教えてください。
以前、島の花火大会の際に海から上がる花火に見立てて、島の浜で取れた流木にエアープランツをつけた物を育て方のリーフレット付きで観光客等にお渡ししたのです。エアープランツに水をあげる度に島を思い出し、島を忘れずにまた来てくださいといった想いをこめたもので、そういった心が入ることを大切にしたいと思っています。今後は事業として成り立たせられるよう、そういった取り組みに利益を生み出すことができるようにしていくことが弊社の目指すところになります。また、ACTIVATIONは地域にだけこだわっているのではなく、少子化や核家族化、デジタル社会といわれる中、逆にリアルなものに触れる子供の教育など、クリエイティブを使ってより良い方向に持っていけるようになることも考えています。
具体的にはどのようなことですか?
大阪の箕面市にリニューアルするホテルがあって、改装期間中に忘れられないように準備期間用のサイトを用意しています。建物を壊す前に子供たちと壁に思いっきり落書きをして、掲載内容の一つとしてその様子を動画で配信予定です。子供たちはデジタルだけではなくリアルなものに触れることで情操教育や思い出づくりにもつながり、ホテル側にしても話題性もあり、改装期間も印象付けることができ、リニューアルオープン後の集客率も期待できると考えています。
音楽のパワーをクリエイティブでも届けたい
次々と興味深い企画に取り組まれていますね。その中で大切にされていることはありますか。
よく僕は「ミュージシャンに嫉妬しています」と言っているんですが、音楽の力ってすごいじゃないですか。ライブに行くとその場で盛り上がれるし、日常でも元気づけられたり感動があったり、悲しみが軽減したり……、僕たちも見栄え良くカタチを形成していくだけの仕事ではなく、クリエイティブでも同じようなパワーを届けられることを考えて取り組んでいます。後、お客様のニーズを大切にしていて、弊社は、デザイナーやライター、編集にもスキルのある色々なジャンルの人材が揃っており、協力しながら提案からトータルでも対応できますし、それぞれの分野のみでも受けることができます。ヒアリングをキチンとした中で、特にWebや紙などアウトプットにこだわらず、そこに適しているものを提案できるのが強みにもなっています。僕自身人の話を聞くのが大好きで、クライアントからは弊社は求められていることを掴むのが早いと言っていただき、そこを気に入って長いお付き合いをしていただいているようです。
今後はどのような方向性をお考えですか。
「ACTIVATION」を発展させていくことで、子供の情操教育や高齢者の介護用品のメーカー・企業等が心に響くクリエイティブで商品㏚をしたいという時や、地域の商店街や自治体など、クリエイティブで地域を活性化するプロモーションやツールが必要になった時など「スターファクトリー」を思い出していただけるようになっていきたいです。自社のホームページ等でどんどん発信していき、世の中にもっと認識されるように取り組んでいきたいと思います。
取材日:2018年10月30日 ライター:川原 珠美
株式会社StarFACTORY
- 代表者名:代表取締役 宮本 司
- 設立年月:2007年4月
- 資本金:300万円
- 事業内容:広告媒体及び雑誌媒体のデザイン・制作・編集
- 所在地:大阪事務所 〒550-0012 大阪市西区立売堀1-10-3 タブチビル3F
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