非常識を、論理的に。
- 名古屋
- 株式会社アババイ 代表取締役 山本 晋 氏
会社の倒産を機に、7人の部下と共に起業する。
社会に出てから起業までのストーリーを教えてください。
僕の学歴は中卒なんです。ラグビーで活躍していたのですが腰を痛めてしまい、地元の志摩で土木関係の仕事に就きました。しかし、土木や漁師など肉体労働の仕事しかない地元でずっと暮らしていくのは難しいと感じ、19歳で名古屋に出ることにしました。
名古屋ではIT関連の営業会社に入りました。まるで軍隊のような会社でしたが、自分はイケイケの営業というわけではなく戦略的に“楽をして”売り上げを立てるタイプ。その戦略が見事にはまり、3年ほどで多くの部下を抱えるブロック長になっていました。その後、別のIT企業から引き抜きのオファーがあり、インターネット関連の事業部長として新規事業を複数立ち上げました。
その中の事業のひとつが御社の前身となったのでしょうか?
そうではなく、2006年のITバブル崩壊時期の影響を受けて会社自体が倒産してしまったんです。取締役ではなかったのですが会社のナンバー4くらいのポジションだったので、正直堪えました。業界の別の会社から誘いはあったのですが、ITはもういいかなと感じてお断りしました。
そこから、起業に至った経緯を教えていただけますか?
自分に来た誘いは断っていたのですが、僕には仕事を失った多くの部下がいました。その中の7名を集め、起業することにしたのです。当時は26歳。会社としてやることも決まっていなかったのですが、貸してくれる金融機関から合計300万円を借りて資本金250万円でアババイをスタートしました。実はちょうどその頃に結婚したのですが、起業後の半年間は自分の給料はゼロだったんです。
圧倒的な差別化戦略とマーケティング力で勝ち続ける。
御社が手がけてきたビジネスについて教えてください。
起業してしばらくして、取引先から「ソフトバンクの代理店をしてみないか?」という打診を受けました。そして携帯電話や通信インフラを販売し、稼いでいきました。その一方で、今後のインターネット時代を見据えてホームページ制作の事業もスタートさせました。
ソフトバンクの代理業は絶好調だったのですが、今度はリーマンショックの煽りをうけてインセンティブが減るという事態になってしまいました。そこからホームページ制作に絞って事業を進め、紆余曲折ありますが現在に至っています。
御社の現在の状況と強みを教えていただけますか?
建築業界をメインに、これまで1000社以上のホームページを制作してきました。また、得意とする「おもしろブランディング」の提案によるマーケティング施作を展開しています。たとえば名古屋市の生鮮スーパー「サンエース」さまの事例(https://ababai.co.jp/case/case4666/)ではホームページに使用したキャッチフレーズと写真がSNSを中心に大きく拡散されましたし、お笑いコンビ「バイきんぐ」の西村氏を起用したアババイの広告動画「熱海で不倫に失敗した建築会社社長(https://youtu.be/D_v1WyDROh4)」では、数億規模の広告効果を叩き出すことに成功しました。
アババイの強みは、ひとつは建築業界に特化していること。そのためノウハウと情報の集積が他社とは圧倒的に違いますし、「デザイン工務店」(クロスメディア・パブリッシング)という書籍まで発刊しています。また、マーケティング戦略にとことんこだわっているため、高い効果を生みだせるという自信を持っています。アババイのホームページを見てもらうとわかるのですが、ただおもしろく作っているわけではなく、他社との差別化のためにあえてユニークに振り切った構成としてます。
「アババイ」という社名の由来も教えてください。
「アババイ」とは、地元志摩の方言で「まぶしい」という意味です。学生の頃、毎朝バスに乗って海を眺めていたのですが、海面が朝日を浴びてキラキラと輝きだすと「あばばいねぇ」と言ってカーテンを閉めていた風景がとても印象的だったのでそう名付けました。ロゴマークも太陽と海ときらめく光をモチーフにしています。また、SEO対策として「A」から始める社名のほうが強いというウェブマーケティング上の理由も考慮して名付けています。
稼いだお金は、社員のみんなが楽しくなることに使う。
山本社長が仕事で心がけていることを教えてください。
「組織を作る」ということに重きを置いています。アババイには、個性的な、別の言い方をするとどこかが欠落した人間が数多く在籍しています。そのような個性的な人材が「やめたくない!」と感じる組織にしたいと日々考えています。バランスの良いフラットな組織などは求めていませんし、他人があまり触れないような話題にも僕が率先して切り込んでいきます。信頼し合うためには、互いの自己開示がとても重要だと考えているためです。
御社の今後の展望についてお聞かせください。
僕はビジョン型ではなく感性型の人間。だから、ビジョンなどを掲げるのは好きではありません。今は優秀な人材が集まる大企業でもすぐに傾いてしまう時代なので「俺たちがそんなこと考えてもしょうがないよね」という思いもあります。それよりも大切なのは、たえず変化に対応していくことだと思います。ただ、2014年に改装した本社オフィスも手狭になってきたので、2020年頃には移転をしたいと考えています。今後も稼いだお金を社員のみんなが楽しくなることに使っていきたいですね。
最後に、世のクリエイターにアドバイスをお願いします。
世のクリエイターを見てよく感じるのは「独りよがりだな」ということ。アババイの制作スタッフやデザイナーにもよく言っているのですが「誰に向けてのデザインで」「何を強調させるべきで」「これで何を伝えるのか?」という意識をしっかりと持つことを心がけてください。この世界でアーティストとして生きていけるのはわずかで、ほとんどが商用クリエイターだと思います。そこを理解して作っているかがすごく大切で、「かっこいいと思うもの」ではなく「売れるもの」を作るべきです。また、何かを「かっこいい」と感じた時に「なぜ惹かれたのか?」の部分をしっかりと考え、論理を入れていくのが重要だと思います。
取材日:2018年11月30日
株式会社アババイ
- 代表者名:代表取締役 山本 晋
- 設立年月:2006年5月
- 資本金:777万円
- 事業内容:Webマーケティング事業/デザイン事業/CM・動画制作/広告代理業
- 所在地:
【名古屋本社】〒460-0012 愛知県名古屋市中区千代田1-10-12 ネスパルド千代田2F
【広島支社】〒730-0048 広島県広島市中区竹屋町1-17 iMビル4F
【沖縄支社】〒901-0311 沖縄県糸満市字武富228番地C
【東京オフィス】〒130-0005 東京都墨田区東駒形4丁目6番地9 リバハイツワコー301 - 電話:052-684-4370
- URL:https://ababai.co.jp
- お問い合わせ:0120-388-801