WEB・モバイル2019.02.06

挑戦が個人を成長させ企業を発展させる

仙台
株式会社ファースト 取締役 事業本部長 杉山 達郎 氏
株式会社ファーストは建築のための電動工具や測定器具、発電機などの販売する会社として、1996年仙台市に設立されました。2004年に楽天市場に「セミプロDIY店ファースト」を開設、2009年には業態をEC中心へとシフトし、2010年Yahooストアに「ファーストヤフー店」を開設し、2018年には株式会社バローホールディングスのグループ会社となりました。今回はバローホールディングスで多岐に渡る小売業の経験とマネジメント経験をお持ちの取締役 事業本部長 杉山氏にお話を伺いました。

創業者のパソコン好きから始まったEC

インターネット販売を始められたきっかけとは?

株式会社ファーストは企業へ営業を行い、注文をいただいて配達を行う販売スタイルでしたが、2009年にECへとシフトしました。創業者の今野が趣味としてパソコンが好きだったことからインターネットに着目し、この業界ではECへの参入企業も少なく、チャンスであるという早い判断ができたのです。当初は自社サイトのみの販売で集客力は低かったのですが、楽天市場へ「セミプロDIY店ファースト」を出店したことから、効率よく売上が見込めたこともあり、卸売業からECに業態をシフトしました。
(参照URL:https://www.rakuten.co.jp/first23/

ECへ転換された理由についてお聞かせください

販売方法をECに切り替えるのは大きな決断でしたが、東日本大震災のときに、従来からお取引がない全国の企業から発注をいただくなど、ECによる注文が急激に増え、対応の必要が生じました。また人的資源の配分など経済合理性を考えての決断でした。
現在日本の物販EC化率は約6%程度だと言われております。カテゴリー別では文具販売のEC利用率は40%、家電製品やインテリアなども高い利用率で販売されています。その中でDIYは1%程度と言われているので、今後の伸びしろがまだまだ期待できるというのも大きな理由です。

EC事業へ転換された際、ご苦労された点とは?

創業者がインターネット販売に着手した時期は早すぎたため、販売実績は伸ばしにくかったと言えます。インターネットの通信速度や、特に画像処理に関しては時間がかかりすぎて快適ではなかったこともあり、5年前くらいまでは苦労しました。しかし、現在は通信技術向上の結果、パソコンやスマートフォンで商品説明の動画を見ることができる環境になり、ここ2、3年のEC化率の伸び方は年間5%ずつ向上していますので、弊社が苦心してきたことがやっと報われる状況になってきたというところです。 また、ECでは低価格化が進む傾向を懸念される企業が多いため、仕入先やメーカー様のご理解を得るために、より信頼関係を高めていくことが重要課題でした。

ECにおいて御社のメリットとは?

例えば、電動ドリルには価格帯で1万円から5万円ほどの幅があるのですが、威力やスピードにも幅があり、危険も伴う工具です。説明書きを読んでいただくよりも、実際に電動ドリルを使用している動画を掲載できればより比較がしやすく、技量や力に合った商品を安全に納得する価格で選んでいただくことができます。店頭でデモンストレーションするのは難しいですが、インターネットではそれが可能です。同時に、プロからアマチュアまで幅広いお客様への販売が見込めます。

サイト作りをはじめ、業務を社内で完結させたい

サイト作りにおいて強化されていることについてお聞かせください。

私どもの商品は仕事で使う方が主ですから、「ついで買い」などを誘うような広告を省いて、商品の説明をしっかり行うページ作りを心掛けています。また、必要とする方が決めた商品を購入されることが多いので、掲載点数を増やすことに注力しています。現在の点数は掲載可能数の50%程度ですので、残りの商品を早くサイトにアップしたいと考えております。さらに色々な商品をお持ちのベンダー様や、まだお取引ができていないメーカー様へのアプローチも含め、今後も掲載点数をさらに増やしていく予定です。

ECサイトにおける強みをお聞かせください

システムの構築からサイトへの商品掲載、発注対応業務など、すべて自社で行っています。内製化の一番のメリットはスピードが速いことです。外注価格の見積もりのやり取りや、仕様の確認などは、とても面倒で時間がかかります。さらに費用をかけたノウハウは社内に蓄積されません。日本ではシステムは費用として捉えられ、8割が外注化の道を歩みましたが、米国では逆転しており、8割が内製化され投資と考えられました。どちらの国が現在のシステムにおいて成功しているか? という実情から、弊社は内製化を進め、Webクリエイターやオペレーターを自社で雇用して質・スピードを高めていこうと考えています。

また、2018年バローホールディングスのグループ会社になったメリットもあります。 バローホールディングスは岐阜県に本社を置く、スーパーマーケット、ホームセンター、ドラッグストア等の小売業を傘下に持つ企業です。グループに入ることによって、物流網は拠点が増えましたので、配送業務は大きく変わりました。

新しい価値を生み続ける会社は人材によって作られる

一緒に働くスタッフに求めることについてお聞かせください

親会社であるバローホールディングスのスローガンである「創造・先取り・挑戦」という理念に集約されています。いつも新しいことを創造し、先例がないことは情報を集め、勉強して先取りする。でも誰も行ったことがないから、失敗するかもしれませんが、挑戦することに意義があり価値があると思っています。挑戦しないことは最大のリスクという価値観を共有したいと思います。弊社ではこの理念を共有するための朝礼をしっかり行っています。そのかわり会議は少なく、月に一度くらいです。

クリエイターに望まれることは?

最新の知識や技術を得るための学びと努力はいつの時代も、どの業種、業態にも必要です。理念を実現するためには、具現化できる人がいないと成立しません。クリエイターの方には、特に、日々情報を収集しスキルを磨く努力を行ってほしいと思います。 物事を発展させるためには仕組みが必要で、それを作り出すのは人の思いです。たとえば、同じ時間で10の仕事を12にするためにどうすればできるか?と考えるのは人の思いで、パソコンの画面を2つにして用途を振り分け効率を上げるとか、音声入力ソフトを導入するという仕組みづくりで実現できるとしても、導入すべき情報を知る人がいなければ実現できません。

今後の展望についてお聞かせください

お客様にとって新しい価値を提案していくことができる会社になりたいですね。新しい価値を生み続けることができれば、自ずと売上・利益は上がっていくと思います。上場企業のグループ会社として、掲げた目標は達成していかなくてはなりません。そのためには、一人ひとりが自分を成長させる努力を怠らないことです。 特に若い人には本を読むこと、色々な人と話をすること、他の人よりも早く物事に触れる努力をしてほしいです。そして仕事の中で「これが好き」というものに早く出会ってほしいですね。

取材日:2018年12月27日 ライター:桐生 由規

株式会社ファースト

  • 代表者名:代表取締役 和賀登 盛作
  • 設立年月:1996年3月
  • 資本金:1,000万円
  • 事業内容:インターネットショップ 楽天市場内【セミプロDIY店 ファースト】運営
  • 所在地:〒983-0036 宮城県仙台市宮城野区苦竹3丁目6-10 協和ビル1F
  • URL:http://www.first23.net/
  • お問い合わせ先:022-781-6027
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