飽くなきクリエイティブへの追求心。原動力は「夢中になる力」
- 新潟
- 株式会社スリー 代表取締役 桑野 一哉 氏
現場で企画・営業力を養った20代
会社立ち上げの経緯を教えてください
新潟の「刷屋(すりや)」というオリジナルプリントTシャツを制作・販売する企業を1999年に創業メンバーとして立ち上 げました。当時20歳。3人で起業して、僕はシルクスクリーン印刷でTシャツにデザインをプリントしていたんです。でも次第に 「営業も企画ももっと必要だ」と思うようになり、人を雇ってプリントは任せて営業に出るようになりました。 それで「新潟Tシャツ委員会」という企画や、サッカーチーム・アルビレックス新潟のサポーターの皆さんとのコラボ企画を立ち 上げたり...。今思うとこの時期、20代前半は僕の企画力・営業力を養った下積み時代ですね。バスケットボールのbjリーグ (現Bリーグ)が立ち上がった時は、刷屋の業務として当時サプライヤーであるスポルディングというブランドの仕事を担当し、新潟アルビレックスのウェアも担当していて毎試合会場に足を運んでいました。
刷屋:http://www.suriya.jp/ 新潟Tシャツ委員会:http://www.niigatat-shirts.com/
そして刷屋が2005年に法人化した際に役員になり、そこで経営を学ぶうちに、「自分でも起業してみたい!」という思いが 芽生えてきたんです。また、社内にデザインが得意なスタッフが多かったことと、世の中のIT化の流れもあり、Webの業界でメンバーの強みを生かした仕事が作れないかと思い、2015年6月に別で会社を作りました。
起業はスムーズでしたか?
最初から、3年、5年、10年と綿密な予算計画を立てて動いたわけではなく、まず動くことが大事!動きながら考える!というスタンスで始めたので、「自分たちらしさ」の表現に苦しみましたね。 それ以前に自分たち自身でちゃんと強み・弱みを理解していない状態が2年ほど続きました。2017年に自社サ イトをリニューアルした時に、ようやく前進した感じです。この時に反響をいただき、より突き詰めて考えを言語化し、発信することの重要さに気づきました。今もまだ満足はしていませんので、更新したいです(笑)。
THREEの社名の由来をお聞かせください。
実質、僕と2人のデザイナーで始めたので「3人」。もとの会社である「刷屋」とも響きが近いし、今は「みつける、かたち にする、とどける」という3つのテーマを掲げています。
また起業時に「THREE TO ONE」というキャッチフレーズをつけました。「3、2、1」というスタートのカウント ダウンのようでもあるし、「スリーはあなたのために頑張ります」というメッセージも伝わるかなと思ったからです。
「夢中になる力」が仕事への貪欲なパワーの源
THREEの事業内容を教えてください。
グラフィックとWebの制作を中心に行っています。 意識をしているのは、お客様の期待値を上回る結果を残すこと。
しっかりとヒアリングを行い、お客様の目的・課題を共有し、解決していくためのプランをご提案することを大切にしています。私はディレクションを担当しますが、デザイナーも初回の打ち合わせから参加するようにしています。
デザイナー出身ではない桑野さんがデザインの指示を出す難しさはありませんか?
私はお客様と近い感覚を大事にしています。いくらデザイナーがこだわりを込めていても、お客様やデザイナーでない人が見て伝わらなかったらそれはただの自己満足。結果が全てだと思うので、その感覚はデザイナーとも共有します。全然言いにくいことも言いますよ、僕素人なんで(笑)。
THREEは先端の情報にアンテナを張っているそうですね。
今は、情報は簡単に取りに行ける時代。ネット上でも、東京のセミナーとかエンジニアのワークショップとか...異業種の知 人から情報をもらうこともありますね。うちのスタッフはすごく勉強熱心で、報告を上げてもらえれば、勤務時間中でもそ ういったセミナーや展示会などへ参加することもできます。2018年からは東京の企業とも提携するなど、仕事の受け方も広げています。 今年は新たに東京にも拠点を設ける予定です。業務面でのパワーアップも目的の一つですが、いつも同じ場所で同じ人と一緒にいるのでは、あまり成長はないのではという懸念の方が大きいですね。東京でも海外でも、動くことで刺激がありいろいろな人と出会える可能性が広がるはずです。
THREEは社員が辞めないと聞きます。どうやって社員のモチベーションを高めていますか?
「何か一つのことに対して情熱を持っている人は一生懸命やる人だ」という僕の中で信念みたいなものがあります。それは仕事でなくてもいいんです。THREEのスタッフだと、釣りとかダンスとかキャンプとかヒッチハイクとか車が好きとか...そういう何か夢中になるものを持っている人を採用しています。自分にとって楽しいことが夢中になれることだと思うので、うちのスタッフは、みんな仕事が好きでどうやったらより良い結果につながるかと真剣に考えて取り組んでいる、それがTHREEの強みですかね。だから「夢中」はキーワード。特に僕が何か意識を高く持つようにアプローチしていることはありません。 堅苦しく真面目に仕事と捉えずに、お客様の課題をどうやったらクリアできるかをシンプルに真剣に考えるんですよ。 そういうところを面白いと思ってもらえれば僕は本望です。
未来のニーズを予測し、事業拡大&スキルアップ
今後の展望についてお聞かせください
今年から、サービスの領域を広げようと思っています。一度Webサイトを公開するとそこでゴールかのように、サイトを育成していく、より良いサイトにしていくという概念があまりないように感じています。ですので、更新するとより良いサイトになっていくという概念を広げていくこと、そして他社との協業という形で動画やアプリなども絡めたサービスを展開していきたいです。そうしたこともあり、現在、案件ベースではなく、時間を設けてそういった分野に特化したアイディアをスタッフと出し合っています。 また、前半でお話しした自社サイトのリニューアルも行います。情報設計や課題解決に至る提案をしているのに、自分たちが実践できていないというのが一番説得力がありませんよね(笑)。
先端のシステムや表現を追求されていますが、それは新潟のクライアントからのニーズはありますか?
まだ多くはないと思っています(笑)。でもこの先、絶対に必要とされる確信があります。だから先にしっかりと学んでおいて、 いつでも提案できるような状態に持っていきたい。だから今は一生懸命インプットをしているところです。 僕、環境の変化に対応できるモノが生き残るというダーウィンの進化論がすごく好きなんです。まさに今は変化が凄まじく、特に柔軟性が求められる時代。「わからない」と言っているとそこで思考は停止してしまいます。変化に対応できるフットワークの軽さを大事にしてサービスを展開していけたらと考えています。
新潟をクリエイティブの力で面白い街に!
新潟から完全に拠点を東京や県外に移したりすることは考えませんか?
2040年には896もの自治体が消滅するとも言われていますよね。地方が生き残っていくには、自分ががんばるしかないと思いました。諦めて東京に行くのは簡単です。でも、自分が生まれ育った土地なので、 微力ですけどなんとかしたいという思いはありますね。自分が暮らす地域が潤えば、当然人も潤うし。街のために、貢献できる人であり企業になりたいです。だから東京に拠点を作り、新潟に仕事を持って来れるような形を模索したいです。
むしろ新潟だからこそ感じる可能性はありますか?
僕たちはWebの可能性を信じていて、新潟にはまだまだその辺が浸透していないと思うので、伝播していくポジションを担っていきたいと思っています。デザインとWebにできる可能性を発信し、新潟が面白い街と言われることに貢献できれば嬉しいです。 また、2018年に経済産業省と特許庁が、「デザイン経営宣言」を発表 しましたが、僕たちも共感する部分が大きく、その種を新潟にも私たちなりに蒔いていきたいですね。そういった新しい事業・価値作りに僕も今「夢中」なんです。
取材日:2019年2月1日 ライター:丸山 智子
株式会社スリー
- 代表者名:代表取締役 桑野一哉
- 設立年月:2015年6月
- 事業内容:WEBサイトの企画・戦略立案・情報設計 及びアートディレクション・デザイン・構築 / 企業ブランディング / CI,VIの企画制作 / グラフィックデザイン全般 / 広告・販売促進全般の企画制作 / 写真撮影 / 映像の撮影および編集 / コピーライティング
- 所在地:〒951-8068 新潟県新潟市中央区上大川前通3番町128番地2
- URL:https://three-inc.jp
- お問い合わせ先:025-378-2123