WEB・モバイル2019.03.27

絆育むスポーツウェアをIT技術を駆使して売り出す

東京
株式会社フラスコ100cc 代表取締役 矢口 貴士 氏
スポーツウェアの製造から販売まで手がける「フラスコ100cc」は、3Dを使ったシミュレーターなど、時代に先駆けたシステムやサービスを自前で開発しています。代表取締役、矢口貴士さんはもともとシステムエンジニア。会社も当初はシステム関係がメインでしたが、今ではスポーツウェアが主軸となり、大阪、新宿にショールームを設けるなど、販路を広げています。システムエンジニアが、スポーツウェアの販売に至った経緯とは?

スポーツウェアとシステムの二本柱

まずは事業内容について教えて下さい。

スポーツウェアの製造と販売、加えて関連会社「フラスコ100ccシステムサービス」でのシステムの開発とサービス販売、この二本柱で事業を展開しております。スポーツウェアについては、中国に工場があり、製造から販売まで一括して自社で行っているので、中間マージンが発生せず、大手メーカーに比べて低価格で商品を提供できるのが強みです。

ユニークな企業名ですが、どんな意味が込められているのですか?

フラスコは理科の実験の時に使うあのフラスコです。理科の実験のように、チャレンジ心、冒険心を忘れないようにしようという思いから名付けました。ただ、「フラスコ」だけだとさみしいので、「100㏄」を付け加えました。

どんな方がスポーツウェアを購入されているのですか?

お客様の8割は通信販売です。アマチュアチームや学校の部活動など、全国の方からご購入いただいております。売れ筋はバスケットボールと野球のユニフォームです。生地の薄さやパンツの丈まで選べて、幅広い選択肢があるのも弊社の強みです。

人と人とのつながりを重視 大阪に営業所、新宿にショールームを設置

他社と差別化を図るための工夫はありますか?

ウェアを注文する前に、自前で開発した「3Dシミュレーター」を使って、スマートフォンやパソコンから完成品をシミュレーションすることができます。また、西日暮里の本社、新宿、大阪のショールームで試着したりスタッフとやり取りしたりすることも可能です。無料で生地のサンプルも送付しています。

最新の技術を取り入れながらも、お客様と会ってやり取りすることも大切にしていますね。

販売生産は受注生産でやっていますので、お客様が欲しいと言ってから作り始めるものなので、ある程度、お客様の中でイメージがあった方が、販売しやすいのです。

2015年に大阪営業所を開き、2018年12月に新宿にショールームを設けました。ウェブやITの世界にとどまらず、人と人とのつながりがビジネスでは大切だと考えています。試着したり、スタッフと直接会ってやり取りしたりする中で、購入して下さるお客様もいらっしゃいます。

360度回転! 独自開発の「3Dシミュレーター」

「3Dシミュレーター」について、もっと詳しく教えて下さい。

3Dの立体画像で、商品の色や形、模様などを自由に変えて、お客様の好みのデザインをシミュレーションすることが可能です。(実際に使用して見せながら)こうして、色を赤からオレンジに変えたり、胸の模様を大きくしたり、さまざまにアレンジできます。立体画像なので360度回転させることができます。ホームページからどなたでも使えますよ。

これは便利で面白いですね!

はい、遊び感覚で、スムーズに使っていただいています。過去に作ったデザインをID登録することも可能なので、注文前に10パターンほど作られるお客様もいらっしゃいます。

この「3Dカラーシミュレーター」自体も関連会社からクラウドサービスで販売しています。商品に図柄や文字をプリントする業者さんなどに使っていただきたいです。

スポーツ好きのシステムエンジニアが思いついたアイデア

スポーツウェアを販売する会社が、システムも自前で作っているのは、珍しいですね。どうしてシステムにも力を入れているのですか?

私がもともと、システムエンジニアだからです。起業前はフリーランスでECサイトなど通信販売のシステムを作っていました。30歳過ぎてこのままフリーランスで行くのか、サラリーマンに戻るのか、いろいろと考えた時、法人を立ち上げてシステムの世界でやって行こうと考えました。ですから、起業当初はシステムの仕事がメインでした。

そんな中、通信販売のシステムで、自分でも何か売ってみようと考えた際に、スポーツウェアの販売を思いついたのです。

どうして、スポーツウェアを思いついたのですか?

単純に私がスポーツ好きだからです。私は子供の頃からサッカーをやっていて、大人になってからも社会人チームに参加していました。

高校生から40代まで様々なメンバーがいて、それぞれ使える予算も違い、出入りも結構ある中で、ユニフォームの管理が大変だったんです。みんなが納得できるユニフォームを買えたらいいな、と思っていました。

ユニフォームはチームの絆をつなぐ存在

他にはどんなスポーツが好きなのですか?

私は特に球技のチームスポーツが好きなんです。チームスポーツには、仲間と共に楽しみながら、勝つという目的を共有できる醍醐味があります。ユニフォームはチームの絆を繋ぐ象徴的なものです。それを作って売ろうと思ったのは、自然な流れだと思います。

私は会社に対しても、スポーツのチームと同じ思いを抱いています。目的を共有して、一緒に進んでいく。そんな気持ちで会社を経営しています。

会社を立ち上げてから、大変だったことは?

スポーツウェアを売ろうと思いついたのはいいのですが、服の知識がまったくなかったので、大変でした。ゼロから勉強して、仕入先を開拓する所から始めました。

どんな時に、喜びややりがいを感じますか?

商品をお届けした後、チームでユニフォームを着た集合写真を撮って送ってもらっています。みんながユニフォームを着て、笑顔になっている写真を見るのは、うれしいですね。

経営者として心がけていることはありますか?

謙虚にやることですね。会社は成長していますし、売り上げも上がっています。しかし、事業規模が大きくなるほど、周りから持ち上げられることも多くなります。「裸の王様」にならないように、謙虚さを意識しています。誰も怒ってくれないですし、注意してもらえないですからね(笑)

ITを駆使して、店で服を買うように、オーダーメイドのウェアを届けたい

会社について、どんな将来像を描いていますか?

スポーツ、服、ITという三つの切り口を組み合わせた所で、強みを出していきたいと考えています。服づくりについてはオーダーメイドや個人向けにカスタマイズするという潮流になってきています。我々が販売しているスポーツウェア、特にユニフォームはまさに “オーダーメイド”の商品なんです。

スポーツウェアは“オーダーメイド”なんですか?

同じチームであっても、背番号や名前が入っていてサイズも違うので、商品は一つひとつ異なります。かつては在庫の商品に番号や名前を貼るやり方が主流でしたが、ここ10年くらいは注文を受けてから生地を切って作り始めるやり方になっています。

大量生産ではなく、欲しい人にとって欲しいものを作る。これまでやってきたことを、ITの力でさらに効率化しながら、お店で服を買うような感覚で、オーダーメイドのスポーツウェアを購入してもらうビジネスモデルを追求したいと考えています。

お店で服を買うような」感覚を実現するために、課題はありますか?

チームオーダーであれば、注文を受けてから作るので、納品まで2週間ほどかかっても、待ってもらえます。ただ、個人相手にするとなると、その納期では遅いですよね。店に行けば、その場で服が手に入る訳ですから。納期を考えると、同じ土俵に乗るはなかなか大変です。それでも、チームだけでなく個人の方にもっと注文していただける環境を作っていきたいです。

この記事を読んでいるクリエイターの方にメッセージをお願いします。

ウェアのデザインから、カタログ、フライヤーの製作、ウェブ、3Dまで、クリエイターの方が活躍できる場が社内にたくさんあります。クリエイターの方々に会社を知ってもらって、一緒に働きたいという方がいらっしゃったら、うれしいですね。

取材日:2018年1月31日 ライター:すずき くみ

株式会社フラスコ100cc

  • 代表者名:代表取締役 矢口 貴士
  • 設立年月:2006年5月
  • 資本金:500万円
  • 事業内容:スポーツウェア、オリジナルグッズの企画、販売
  • 所在地:〒116-0013東京都荒川区西日暮里1-60-12 CATS2階
  • URL:http://www.frasco100.cc/index.html
  • お問い合わせ先:電話)03-6806-6531
  • メール:info@frasco100.cc
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