スペース2019.04.17

コミュニケーションを大切にして一人ひとりに合った暮らしをあつらえる

札幌
株式会社ミックス 代表取締役社長 西風 裕幸 氏
今回お話を伺った企業はインテリアコーディネートを専門とする株式会社ミックスです。「インテリアコーディネーターは営業マン」と語るのは代表取締役社長の西風 裕幸(にしかぜ ひろゆき)さん。営業スタッフから叩き上げで代表に就任された西風さんのキャリアや「暮らしをデザインする」というコンセプトのもとでインテリアコーディネーターに求めるもの、今後の展望などをお聞きしました。

インテリアコーディネートやリノベーションを通して暮らしをデザイン

御社の事業内容を教えてください。

当社はインテリアコーディネートと、それに伴うインテリアの販売をメイン事業としています。マンションのモデルルームや新築戸建てのモデルハウスのインテリアコーディネートを手掛けたり、そこで家を購入・新築されるお客様へインテリアの提案・物販を行ったりしています。お客様のご希望やイメージをお聞きして、ぴったりのインテリアコーディネートを提案し、そこで必要となるインテリアの販売をしています。

ハウスメーカーなどの企業と個人のお客様、どちらが多いのでしょうか?

基本的にはエンドユーザー向けのサービスの提供が中心です。当社はインテリアの販売と言っても、販売店を持っているわけではない※ので、個人のお客様へアプローチするきっかけがモデルハウスやモデルルームとなります。また、近年はリフォームやリノベーション事業にも力を入れています。リフォーム、リノベーション事業は今まさに拡大中の市場ですから。

※カーテンなど一部インテリアのショールームはあります。

リフォーム・リノベーション事業で御社独自の取り組みなどはありますか?

カーテン修理の「カーテンドクター」というサービスを提供しています。今は家具量販店で安価なカーテンが手軽に購入できるようになっていますが、一昔前はカーテンって結構高価で、家に合わせてオーダーで作って長く使うものでした。10年、20年と使っていくうちに色々と不具合が出てきますが、高価なカーテンは修理して使い続けたいと考える方が多いです。そこで私たちがご自宅へ伺って不具合を直接確認し、修理などを行います。インテリアの修繕、修理自体は利益が大きくはないですから、同業他社では敬遠される企業が多いです。もちろん私達も、純粋にカーテンだけを修理する話ではなく、「カーテン修理」をきっかけにお客様とつながり、その後のリフォームやリノベーション、インテリアのご提案をするためも足掛かりとして取り組んでいます。

実績を積み上げ、営業・販売スタッフからたたき上げで社長に

西風社長のキャリアを教えてください。

学校卒業後は家具量販店に就職し、3年ほどで店舗の販売や物流、商品管理など一通りを経験しました。当時そのお店にはインテリアコーディネーターがおらず、お客様から「インテリアコーディネーターはいないの?」とよく聞かたことをきっかけに、働きながらインテリアコーディネーターの資格を目指すことにしました。資格の勉強をしていくうちに、もっと専門的な会社で働きたいと思うようになり、ミックスへインテリアコーディネーター見習いとして転職しました。

販売スタッフからインテリアコーディネーターになったということでしょうか?

実は、入社時の配属部署は営業部でした。もちろん、モデルハウスをつくるだけの専門の部署もあったのですが、当社で言う「インテリアコーディネーター」とはお客様とハウスメーカーやデベロッパーを結ぶ橋渡しのような役割で、平たく言うと「営業」でした。 入社後は営業と物販を担当し、当時当社でほとんど取引のなかったハウスメーカーを一から新規開拓をしたり個人の過去客を掘り起こすためのテレアポを毎日行ったり、地道な営業活動をコツコツと積み上げました。この時に開拓したハウスメーカーが、現在は当社の中心クライアントにもなっています。当時の営業がなければ今のミックスはなかったと思っています。営業や販売で実績を積んで、32歳で副社長、3年前に35歳で社長に就任しました。

一営業スタッフからキャリアアップして社長とは、かなりの叩きあげですね。

物販と言いながら店舗があるわけでもない知名度のない専門店で、量販店のように待っているだけでは仕事は生まれません。会社を知ってもらって取引をしてもらうためにはやはり自ら開拓していくことが大切です。リーマンショックの後長く続いた不動産業界低迷のあおりを受けて、インテリア業界の業績も大変落ち込んでいました。元々、不動産会社のインテリア部門としてスタートした会社で、当時の社長はインテリア業界の人間ではなかったので、会社の立て直しのために業界の知識があり営業に強い私が代表に選ばれたのだと思います。社長就任時には業績回復の命題を背負っていたのでとてもプレッシャーでした。「とにかく会社の売り上げを立て直さなくては!」の一心で今まで必死に走ってきました。

インテリアコーディネーターは人(お客様)と人(メーカー)をつなげる仕事

仕事をする上で大切にしていることは何ですか?

「人」ですね。先ほどもお話ししましたが、インテリアコーディネーターは営業マンなんです。お客様とメーカー・デベロッパーの要望をそれぞれ聞いてうまくまとめてつなげてあげる、人に関わる仕事です。だから会社としても「人」を大切にしたいとすごく思っています。特に当社は自社商品を持っているわけではないので、契約の最終的な決め手は「この人にお願いしたいかどうか」だったりします。色んな個性を持つスタッフがそれぞれの持っているものを十二分に発揮できれば、そのスタッフに合ったお客様が付いてくると思っています。現在もインテリアコーディネーターを募集していますが、そういった意味では経験の有無はあまり重要ではないと考えています。人と関わる仕事ですから、色々な個性のあるスタッフがいる方が色々なお客様が付いて良いのではないでしょうか。

経験やスキルは重要ではないと?

「暮らしをデザインする」というコンセプトも、パッと見て恰好良いもの、おしゃれなものを作るという意味ではありません。お客様との会話の中からニーズをキャッチし想いに寄り添って、お客様と一緒に作り上げたものが最終的にデザインとして形に残るのです。当社のインテリアのブランド「Be Spoeks(ビスポークス)」は「あつらえる」という意味の造語です。一人ひとりのお客様のライフスタイルに合った暮らしをあつらえるには、お客様との丁寧なコミュニケ―ションが大切です。最終的には知識や経験、能力よりも人間力や個性が重要と考えています。

新たなマーケット開拓を目指して

今後の展望を教えてください

一つ考えていることはインテリアコーディネーターの価値をアップさせたいということです。インテリアコーディネーターの仕事は住宅関連に関わらず多岐に渡るものだと思っています。今までのようにマンションや戸建てを建てる人へインテリアを提案するだけではなく、コーディネーターをブランディングすることで提案に付加価値をつけ、新たな市場を見つけていきたいですね。コーディネーターはデザイナーではないので新しいものを作り出すわけではありません。でも、世の中にすでにある良いモノを組み合わせて、新たな価値を提案する仕事です。店舗や自社商品を持っていないからこそ世の中のすべてのモノを扱うことができ、とても幅の広い提案ができるものだと考えています。今後は、例えばそれぞれのコーディネーターのおすすめ商品を集めたWebショップの展開や、各地にいるコーディネーターとお客様をマッチングさせるような事業を作っていきたいと思っています。

今後目指す会社の形はどんなものでしょう?

当社の企業理念は「シアワセを創造し、シアワセを届ける」です。幸せを創造するためには、まず働いているスタッフが幸せででないといけないと思っています。幸せな働き方とは、最近よく言われる残業や職場環境などもそうですが、一番は「好きなことを楽しんでやれる」ことだと考えています。世の中の市場や流行り、会社の方針に合わせて動かされるのではなく、自分のしたいことを、面白いと思ったことを、良いと思ったことを世の中に提案していくような仕事の在り方が理想です。自分が好きなことは困難があっても頑張れますし、自分主導の提案なら常に自分事として仕事に取り組むことができます。そのためにもこの仕事が好きだと思える人ならどんな個性を持った方でも歓迎ですし、色んなことを自由にやりたいように取り組むことができる環境を提供していきたいです。

取材日:2019年3月8日 ライター:小山佐知子

株式会社ミックス

  • 代表者名:代表取締役社長 西風 裕幸
  • 設立年月:1991年3月
  • 資本金:1,000万円
  • 事業内容:インテリアコーディネート、リフォーム、リノベーション、住宅関連用品販売など
  • 所在地:〒003-0826 北海道札幌市中央区南2条西22丁目 1-45 HAL22ビル2F
  • URL:https://www.1st-mics.com/
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