現代版「飛騨の匠」を具現化する。
インターネットの黎明期から20年にわたってウェブサイトの企画・制作を行い、業界内での先駆けとなるシステムやサービスの開発も手がけてきた株式会社電脳職人村。そのユニークなネーミングの会社を率いる“村長”の米澤浩史(よねざわこうじ)氏に、電脳職人村を設立するまでのストーリーや手がけてきたビジネス、クリエイターへのメッセージなどを伺いました。
事業再編を模索するなかでインターネットに出会う。
経営者になることを意識されたのはいつ頃のことですか?
地元の飛騨市で父が印刷業と新聞業を営んでいたため、将来は家業を継ぐものだと思っていました。ですから、物心がついた頃には経営者になることを意識していました。
卒業と同時にお父様の会社に入られたのですか?
高校を卒業して東京に出たのですが、実は、学生時代に最初の起業をしているんです。地元にいた仲間とともに、高山市にビジネスホテルを創りました。
ビジネスホテルの経営に参画する一方で東京の大手印刷会社にも就職し、家業である印刷業の勉強も同時に行いました。そして、23歳の頃にUターンして父の会社に入りました。
それぞれの事業は順調に推移しましたか?
ビジネスホテルは順調に客足が伸び、借りたお金も7年で完済することができました。印刷業のほうも最新の技術を導入することで大手のお客さまを3件ほど掴み、ピーク時には30名ほどの社員さんと共に夢を見ていました。
しかし、お客さまの会社が合併したり、事業撤退したことで数年後に売り上げが激減。会社が一気に傾いてしまいました。採算の合わない事業を見直しながらなんとか踏ん張り、別の方向を模索していく中でインターネット事業部が立ち上がり、それが電脳職人村の前身となったのです。
電脳職人村の立ち上げについて教えてください。
立ち上げのきっかけは、飛騨の異業種の集まりでした。インターネットを活用して地元を盛り上げるために、運送業、造り酒屋、ホテル、冠婚葬祭業、鉄工所など10ほどの事業体が株主となり、自治体とも協力して立ちあげました。(酒瓶を掲げて)このお酒も、発起人のひとりである造り酒屋のオーナーが創業時にプレゼントしてくれました。
設立当初は行政の空き家対策事業で「映画資料館 キネマ茶屋」を企画運営し、2階に設けたオフィスで地域のポータルサイトを手始めにさまざまなウェブサイトの企画・制作を行うようになりました。最初の1年は制作依頼も少なかったため、地域のイベントに出かけては飛騨牛やみたらしだんごを販売し、運営資金を作っていたことを懐かしく思い出します。
4度のリニューアル任せられるほどお客さまからの信頼を獲得する。
手がけてきたビジネスについて教えてください。
電脳職人村を立ち上げて2年目に営業拠点を名古屋に設け、約20年にわたってウェブサイト制作を中心としたインターネット関連事業を手がけています。この20年でおつきあいしてきた顧客は1000社以上。中には創業期からのご縁が続いて4度のリニューアルをお任せいただいたお客さまもおられます。
電脳職人村の特徴のひとつが「企画から運用までをワンストップで行えること」なのですが、システム面も強く、たとえばインターネットを活用した動画や音声のストリーミング放送の先駆けとなるシステムを開発してライブポータルサイト「TVDo」を立ち上げたり、アプリ開発にいち早く取り組んだり、大規模ECサイトに会計システムなどを連動させたりといった業界内での先進的な事例も数多く残しています。
御社の「強み」はどんなところにありますか?
さきほどの「ワンストップ」も強みになるかと思うのですが、しいて言えば「信頼」を受けているところでしょうか。これまでに多くのお客さまに信頼いただいたおかげで20年にわたって事業を継続できていますし、ただ制作するのではなくトータルコンサルティングの領域からご相談いただくことも多いのが強みです。昔も今も「お客さまが抱える課題を代行して解決する」というスタンスは変わっていません。
電脳職人村の名前の由来も教えてください。
飛騨地方には「飛騨の匠」という言葉があるのですが、「現代版の飛騨の匠って何だろう?」という自問自答から、IT技術を使いこなす職人のイメージを思い描いて名付けました。
また、当時は全国に約3,300の村がありました。「同じ志を持った仲間を全国に作りたい!」という想いを込めて社名に「村」を入れ、私自身も「村長」と名乗るようになりました。おかげさまで、このユニークな社名を気に入ってくれるお客さまも多く、企業ブランディングの一助となっています。
深掘りすれば、穴も広がる。
米澤村長がビジネスで心がけていることを教えてください。
一番に心がけているのは「ありがとう」と言っていただけるよう、目の前の仕事に真摯にとり組むことです。「ありがとう」と自分から言うことも大事にしています。
また、経営者としてビジネスを進めていくうえで「深掘りすれば、穴も広がる。」という格言を大事にしています。「これだ!」と決めた場所を深く深く掘り下げていくうちに自然と穴も大きくなり、深く掘ることによって物事の真髄に近づけると考えています。
今後、力を入れていく領域を教えてください。
ウェブサイトの「保守」の部分に力を入れていこうと考えています。現在は60社ほどの保守を任せていただいているのですが、今後さらに増やし、電脳職人村で受けた業務をリモートワークで働く全国のパートナーに振り分けるビジネスモデルを検討しています。設立当初の「同じ志を持った仲間を全国に作りたい!」という想いを、今の時代なら実現できると考えています。
最後に、クリエイターへのメッセージをお願いします。
私がデザイナーに常々伝えているのが「センサーを働かせてさまざまなことを吸収し、それをアウトプットに活かしていこう!」というメッセージです。クリエイティブの仕事は、五感で感じたものや自分の気づきがとても大切です。自身のセンサーを働かせることは「センス」の獲得につながってアウトプットの精度も高まりますし、周りの状況に気づき、気遣いができるようになれば仕事ももっとうまくいくと思います。
取材日:2019年3月19日
株式会社 電脳職人村
- 代表者名:代表取締役 村長 米澤 浩史
- 設立年月:1999年10月
- 資本金:2,565万円
- 事業内容:インターネットのトータルコンサルティング/webサイト全般の企画・制作・運営/システム構築の総合コンサルティング・制作・運営
- 所在地:〒460-0002愛知県名古屋市中区丸の内2-17-30 ie桜通伏見ビルディング8F
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