ボーダレスなITの創造性で社会を楽しく、より良く
「楽しい想像を楽しく創造する」をモットーに、ITの可能性を追求する会社、モノつく。その業務内容は、Webサービスの運営や制作だけにとどまらず「パノつく」や「シスつく」という、ITを活用した自社サービスの開発を積極的に行いつつ、時々、チャリティーイベントを主催するなど、とても多彩です。そのボーダレスな業務を行える柔軟性と対応力は、どのように育まれてきたのでしょうか。その理由を探るべく、代表取締役の伊藤俊輔さんに話を伺いました。
時代の要請と、自分の興味に即してキャリアを磨く
2018年4月に「モノつく」を起業されるまでの伊藤さんのご経歴を教えてください。
キャリアのスタートは、東京の会社でのプログラマーでした。当時は2000年問題が取り沙汰されていたり、汎用系からオープン系へとシフトする時期だったりしたので、1年ほどで必要に迫られプログラマーからシステムエンジニアとして働くことになりました。その後、プロジェクトマネジャーに抜擢されて数年たった20代後半に、家庭の事情で祖母の介護を私がすることになりました。介護と並行して働けるように、自由度の高いフリーランスになります。当初は知人からいただいた開発案件をこなすことに専念していましたが、徐々に人脈が増えてくると、お客さまから直接システム導入のご相談を受けるようになりました。そしてシステムコンサルタント業も始めることに。祖母の住む愛媛県と東京を行き来しながらも数十社の顧問になることができ、10年ほど続けていました。すると、次第にお客さまからWebに関する質問をいただくことが増えてきたのです。
具体的にはどのような質問が増えてきたのですか?
会社のホームページをどのように作ればいいのか、どうやって活用すればいいのかといった、広告宣伝とマーケティングも含めたご相談です。しかし私の専門は主にコンピューターの世界で「基幹系」と呼ばれるシステム開発でしたので、Webに関する深い知識を持ち合わせておらず、しっかりとお答えできませんでした。そこで、半年ほど職業訓練校で勉強しましたら、Webが面白くなってきたんです。卒業後はコンサルタント業と並行して、Web制作のチームを作りディレクターとしての仕事も始めます。ところがしばらくすると、面白味を感じなくなってしまいました。
それはなぜですか?
Webという大きな可能性を持つ世界に身を置いているにもかかわらず、個人の活動に限界を感じたからです。そのうえ、ごみごみした東京で生活するのも飽きてしまいました。暖かくて環境のいい場所にある会社に入社し、趣味のマリンスポーツも楽しみつつ(笑)、規模の大きな仕事をしたいと思いました。知人からは、上海やタイにある日本企業のオフショアオフィスで働かないかと誘われもしたのですが、最終的に沖縄の会社に入社することに決めました。そこでしばらく働いたのち昨年独立し、「モノつく」を立ち上げました。
ITのボーダレスな知識と技術で、これからの時代を生き抜く
御社では、Webサービス開発や制作とシステム開発、両方の業務をやられているとのことですが、それはなぜですか?
Webとシステム開発に必要な技術は、ボーダレスになっていると感じるからです。かつての基幹系システムは、セキュリティの問題などでその会社内だけで使用できるように作られるもの、クローズドが前提でした。しかしWebの技術を使ったクラウドシステムを採用する会社が増えてきており、基幹系の技術だけでは到底対応できません。SEやプログラマーも、UIやUXに関する知識や技術が必要なんです。大手の会社であれば分業できるかもしれませんが、弊社のようにまだ小さい会社では一人が複数の役割を担わなければなりません。だからこそボーダレスな知識と技術が必要ですし、その方ができる仕事も視野も広がります。
ということは御社のスタッフは、いろいろな技術をお持ちの方が多いのですか?
そうですね。専門分野は持ちつつも、案件によってはデザインしたりコーディングしたりしています。対応できる業務の幅は広いと思いますし、そうなるように教えているつもりです。
デジタルトランスフォーメーション、つまりITの浸透が人々の生活を良い方向に変化させる、という考え方が言われ始めてからしばらく経ちますが、その間にIoTという考え方やAI技術が一般の実務レベルで導入可能になってきたりと、さまざまな分野でのITの活用が促進されています。その潮流の中で、何か専門的に特化しているだけでは生き残れないように思います。例えば金融業界や損保業界など、ある業種に特化している基幹系システムの会社は以前は多かったものの、今は衰退している印象を個人的に持っています。幅広い業種への対応力が求められていると感じます。
コミュニケーション能力を武器に、楽しみながら創造する
御社で開発されたサービスについて教えていただけますか?
まず「パノつく」というサービスを開発しました。このサービスでは、360度のパノラマ写真をWebサイトに取り込んで、そこにテキストやリンクをつけることをお客さま自身で手軽にできます。主に不動産会社さまなどに使っていただいていますね。
そして、最近特に注力している2つ目のサービスが「シスつく」です。これは顧客管理をベースとしたシステムで、台帳、日報、見積もり請求などを管理しつつ、帳票を自由に作成したり、CTI機能といって電話がかかってくるとパソコンにポップアップ表示されたりする機能がついています。また、一番の大きな特徴がプラグイン機能です。おのおのの会社で必要な機能を弊社で開発し追加できるので、自由度が高く自在にカスタマイズできます。
御社の業務では、自社サービスの開発が主軸になりますか?
自社サービスと、お客さまから請け負っているシステム開発やWeb案件のバランスは半々ぐらいになりますね。システムについては全て弊社で作る場合もあれば、運用やエンハンスを請け負う場合もあります。
会社を運営するうえでのモットーはありますか?
「楽しい想像を楽しく創造する」を社是に掲げています。自社開発のサービスしかり、クライアントへ提供するサービスしかりですが、自分たちで考え抜いて作り出したものを喜んでもらえたら、うれしいことこのうえないですよね。それを糧に、常に楽しみながら創造していきたいと思っています。
もう1つ重視していることはコミュニケーション能力です。それを磨くために、月に1度定例ミーティングを設けています。そこでは自社製品やサービス、イベントなどさまざまな案件を社員それぞれが考え、プレゼンしています。私はそれに強くダメだしする役割なのですが(笑)、それを乗り越えられる力を身につけてほしいんです。そうすることで、お客さまへの要望に応えるだけでなく、それ以上のものを作れるようになれるはずです。
また社員皆が同じベクトルを持つためにも、コミュニケーションは重要です。お互いの意見を交換することで、課題解決策をブラッシュアップできますし、思わぬアイデアが生まれることもあります。
今後の展望や目標を教えていただけますか?
これからも、「楽しい想像を楽しく創造する」というモットーのもと、新しいサービスや製品を作り続けていきたいと思っています。会社設立から1年間は人脈を作ることに奔走しましたが、2年目の今は、それが開花してきていると感じます。3年目はさらにそれを広げていきたいですね。
一方で、CSRというわけではありませんが、社会福祉のイベントなども少しずつ行っていきたいと思っています。実は今年の7月に障害者の方のサポートを目的としたイベントを主催しました。私が祖母を介護した経験もあり、いつか福祉に役立つことをしてみたいと思っていたところ、たまたまご縁がつながり開催の運びとなりました。おかげさまで多くのご支援をいただけまして、来年も開催することになりました。
本業とは随分異なることのように感じますが?
最後に、何をスタッフに求めますか?
ITを介した物作りが好きであってほしいと願います。何かを作りたいというモチベーショさえ高ければ、技術は後からついてきます。もう一つ大事にしてほしいことが、コミュニケーションです。活発な意見交換を自ら進んでできないと、いいものは生まれません。弊社では仕事上はもちろん、業務外でもコミュニケーションを多く取れるよう、頻繁に社内イベントを設けています。先日もサバイバルゲームをみんなで楽しみました(笑)。コミュニケーション能力を高めることでお客さまとのやり取りも円滑になりますし、いいアイデアを提案できると思っています。
取材日:2019年11月13日 ライター:仲濱淳
株式会社モノつく
- 代表者名:代表取締役 伊藤俊輔
- 設立年月:2018年4月
- 資本金:100万円
- 事業内容:WEBサービス、システム開発、ホームページ制作
- 所在地:〒902-0064 沖縄県那覇市寄宮3-18-9 TAMAKIビル3F
- URL:https://www.monotsuku.co.jp/
- お問い合わせ先:098-851-8139