精鋭チームの好奇心と情熱で 次々にAI実用化の実績を刻む

大阪
株式会社ジージックス 代表取締役
HISAKAZU KAKEBA
架場 久和
拡大

イリノイ大学時の架場久和さん

拡大

「探偵ナイトスクープ」プロデューサー松本修と

拡大

ミステリー作家・綾辻行人と自宅で

担当ありきの組織ではなく、一人一人が自発的姿勢で取り組むチームとして、AI、IoT開発を中心に数々の開発実績をあげているジージックス。 大学教授として教育と研究に従事してきた代表取締役の架場久和さんをはじめ、IT専門の研究者、京都大学大学院でブラック・ホールや数学の研究をしてきた社員などさまざまな方面で才能あふれる逸材がそろっています。 AIがますます隆盛する中、架場代表にAIの活用事例や、AIと人間の能力の違いなどについて気になるお話を伺いました。

大学教授からCEOへ

 

これまでのキャリアについて教えてください

もともとは文化社会学を専攻していまして、京都大学・関西大学で、教育や研究に携わっていました。その間アメリカのイリノイ大学の大学院で映画理論を教えていたこともあります。教授として勤める一方で、大学を通じてさまざまな企業との付き合いがあり、コンサルティング的なこともしていました。文化が専門なので、アメリカにいたころに何気ない日常風景からヒントを得て、日本にこれまでにないビジネスモデルを提案したこともあります。他にも、芸術大学をプランニングしたり、友達のIT会社設立に携わったり、小説家志望の教え子に戦略的なアドバイスをしたりしていました。現在彼は書店にコーナーを設けるほどの小説家・推理作家になっています。

それはすごいですね! 御社設立についても何かお声がけがあったのでしょうか?

IT関連の仕事をしていた教え子から友人たちと会社を設立したいと相談を受けまして、経営戦略などについての相談を受けたんです。ちょうどその頃、大学のあり様にも愛想が尽きていた頃で、人的なコネクションもできていましたので、2013年7月に設立し、現在はさまざまなAIとIoTを活用したシステム開発を中心に取り組んでいます。

AIって注目度が高まっていますよね。

現在、AIは開発途上なんですが、ニーズはかなりあります。大手通信会社も研究開発と、それらを実際のビジネスにどう当てはめるのかということに注力しています。その中で、よくAIが人間の能力を超えると誤解されていますが、まず人間の「思考」が何なのかということをよく理解しなくてはいけません。ディープラーニング(深層学習※)を使ってAIに学習させることで、何でもできると錯覚してしまう人が多いのですが、AIは自分で成長できるとしても周辺部分を変えることは出来ても、中心部分を書き換えることはできないんですよ。例えばPCのWordで使う予測変換機能であれば、どんどん学習して、PCが自らの形を変えていきますよね。でも根本的なそのシステムの中核を書き変えることはできません。

※人間が自然に行うタスクをコンピュータに学習させる技術の一つ

AIが人間の能力に勝てないわけ

人間は「思考」の中核を変えられるということですか?

人間は学習するだけでなく、自分を根本的に変化させることができるんです。それが社会的なレベルで起こることもあります。例えば文化の境界でなかなか日本に入ってこなかったロック音楽を初めて聴いたとき、それまで日本人が聴いていた近代西洋音楽やフォークソングとは拍のとり方が全く違うため、最初は受け入れられなかったんです。しかし、根底的な音楽の感性が書き換えられ変容していったんです。もっともロックンロールもまともにできるバンドが未だに数少ないのが実情ですが。自分の形を変えていく変容と対にする言葉を探すとしたら学習か自己拡大ですが、AIは学習のみができるんです。

AIは変容することはできないんですね。

根本的な変化を起こすような変容はAIには出来ないんです。このようなインタビューでも、インタビューを受ける側から思いもよらないような話が出てきて、お互い考えもしなかった新たなものが両者の中間に出来上がる、これが基本的な会話の魅力です。変容が起こらないと、あらかじめ持っていたものしか出せないので、新たなものを生み出すことはできないんです。文章の作成でも、新聞記事のような一定の型にはまった紋切り型のものはAIにすぐに書けるようになりますが、小説のような創造的な文章は不可能です。

今、AIでできること

御社が開発された事例をいくつか教えてください。

映像にも対応しているシステムがあります。例えばテレビ局では、放送前に放送禁止用語やスポンサーの競合他社の商品の映り込みなどのチェックに、かなりの時間と人力を費やしてるんです。それを「映像解析システム」を活用することで、AIが文字や音声、もの、ロゴなどを全て自動で解析することができます。また、放送局や制作会社で膨大なビデオのアーカイブの中から、あるタレントの初出演シーンも自動で簡単に出すことができます。

ニーズはAI進化の源

経営者としては、そこに費やしていた時間や労力を他に有効活用できますね。御社はコンサル業もされているとか?

業務一般に対する技術アドバイザーもしています。「グローバルECサイト」については、もともと日本のブランド企業からコンサルティングの依頼を受け、その販売戦略の一環として取り組んだものなんです。その会社の取り扱う商品が世界中の富裕層にかなりのニーズがあることがわかり、そこに向け情報発信することを目的に始めたサービスです。ECサイトは企業によって商品の種類が豊富で、返品交換・ペイメント(決済)の種類など仕様がものすごく複雑なうえ、各国の文化や慣習・歴史なども配慮しなければなりません。かなりの経験を積んでいるので、依頼があればすぐに対応することができます。

世界進出を狙う企業や、伝統工芸を扱う方々など、かなりニーズがありそうですね。

現在、半導体製造装置のメーカーに主要な部品を提供している企業からも依頼をいただいています。以前は半導体製造装置を取り扱う国って限られていたのですが、今は情勢が変化して新興諸国に広がりつつあるんです。その主要な部品を供給しているメーカーですから、グローバルに対応していく必要が出てきたという相談を受けたので協力しています。

「何ができる」という制限を設けない

御社からの提案より、お客さまから依頼されることの方が多いんですか?

まず先方と友達になるんです(笑)。じっくり話していくうちに、こちらが現在の技術で何ができるのかを提示し、先方はニーズを伝えてきます。そこで折り合いがつけばどちらも予想していなかったような仕事になっていきます。ジージックスは、基本的に何でもできる人たちの集まりなんです。ここにいるエンジニアはプログラミング言語を選ぶことはなく、知らない言語であっても勉強すればすぐにできるのが当然という自信のある人たちばかりです。だから僕の役割はできるだけ社員が面白がる仕事をさせてあげること、それだけです。

高スキルな方ばかりですね。今後どのような人材を求めていますか?

チームを活性化させてくれる人が欲しいんです。ここは組織じゃなくてチームなんです。役割を決めることなくお互いの長所が分かったうえで、それを生かし合い、効率よく動ける環境を作ってます。技術的なことだけではなく、営業やメンテナンスなどさまざまな場面でも支援を求めてるところがあれば、周りから言われなくても自発的に動ける人を求めています。

募集要項:豊かな感性と自発的姿勢

ITリテラシーやプログラミングでの高スキルが必要になってくるのでしょうか?

システムが作れなくても、まずは社内でどういうシステムを手掛けているのかということを理解してもらえればいいと思います。数学や理論物理、生物学をやっていた人もいいかもしれません。また、このチームを活性化させてくれる人が欲しいので、僕たちにはない経験を持つ人、例えば、ダンスが得意な人、昆虫や恐竜が好きな人とか(笑)。何かに特化してる人、チームの幅を広げてくれそうな人もいいですね。大人になっていくにつれて、突拍子もない発想や感性って潰されていきます。社員の中には、職場というより大学の研究室に似ているという人もいるくらい、ここではそういったものを育てていこうという環境にしています。実は今、ものすごく人を必要としています。

具体的にはどのような分野の人材が必要ですか?

開発であれば、ありきたりのITをやってきましたという人ではなく、新しい感性を持った人に来てほしいですね。映像についても、これまでのルールをひっくり返してやろうという勢いがある人、少なくとも今までに見たこともない映像の見分けができる人です。映像をそういう感覚で捉えることができる人がいれば、ぜひ一緒に仕事をしたいです。また、グローバルECサイトでエッセイやイラストを描いてくれるような人も募集しています。

幅広く人材を求められていますが、共通していえるのは、チームの一員として働ける方ですよね。

そうですね。自分にないものでも興味を持って話が聞ける前向きな姿勢は必要だと思います。僕たちが集まれば自然と数学の話になりますし、僕の場合、人類学について語ることもあります。自発的に受け入れようとすることで、自ずと感性は磨かれていきます。「この話は面白いから聞いておきなさい」と言われるような受け身ではなく、自発的に議論に参加することが大切ですね。相手の変容が理解できる人でないと、自分を変容できませんから。

取材日:2019年10月25日 ライター:川原 珠美

株式会社ジージックス

  • 代表者名:代表取締役 架場 久和
  • 設立年月:2013年7月
  • 事業内容:AI/IoT開発、グローバルECサイト開発、組み込み・制御系システム開発、業務系システム開発、システム戦略立案・コンサルティング業務、アプリケーション開発(Windows/Mac/iPhone/Android)、映像・アニメーション制作
  • 所在地:〒541-0045 大阪府大阪市中央区道修町1丁目7-10
  • URL:https://www.xyzzyx.co.jp/
  • お問い合わせ先:06-6210-2450

日本中のクリエイターを応援するメディアクリエイターズステーションをフォロー!

TOP