そこに居る人や物語を感じさせる、シネマチックな映像でクライアントを刺激

札幌
モノサイト 代表
Shunsuke Takama
高間 俊輔

札幌市を拠点に映像制作を行う「モノサイト」。臨場感や現場感を大切にした映画のような手法を用いた作品作りに注目が集まっています。他社とは一線を画したクオリティーが高評価され、着実に業績を重ねています。代表の高間俊輔さんに、仕事にかける思いやこだわり、今後の展望について伺いました。

スノーボーダーから映像制作の世界へ

起業までの高間さんの職歴について教えてください。

18歳から始めたスノーボートでプロを目指していました。スキー場の近くにある大学を選び、卒業後もフリーターをしながら滑り続けていました。プロのスノーボーダーになる方法は、大会で勝ち続けるか、メディアで有名になってメーカーからお金をもらうかの2つの方法があります。僕はその当時から映像が好きで、スノーボードのDVDもたくさん見ていましたし、将来的に映像がやりたいという気持ちもあったので、まずはプロを目指して、メディアに出るためにも自分が滑っている姿を撮ってもらおうと後者の方法を選びました。

撮影役はどなたが担当されたのですか?

もっぱら僕でした。楽しく撮っていたのですが、途中で、自分で撮ったら出られないということに気付いて(笑)。ただ、残念ながら周りに撮影ができる人がいなかったことや、所属していたショップの映像を作ったときに喜んでいただいたり評判が良くて。それが嬉しくて、止めるに止められなかったんです(笑)。そのうち、ショップの人がメーカーの仕事をもってきてくれるようになりました。プロに頼むと高いお金がかかりますが、プロアマレベルという意味では、ちょうど僕が頼みやすかったんだと思います。

スノーボーダーと映像制作を両立していたんですか?

しばらくはアルバイトをしながらスノーボードを続けていたのですが、22〜23歳頃になると、それだけで食べていくのは無理だと気付きました。そこで、25歳のときにアルバイトを辞めて、フリーランスで映像をやろうと思ったんです。その際に、税金関係について教わろうと思って声を掛けたのが、親会社「モノモード」代表の五十嵐翔太でした。彼とは以前から知り合いで、連絡をしたところ、考え方が面白いから一緒にやろうという話になり、Web制作に取り組むことになりました。

「役員」として、人の3倍仕事をこなす

モノモードとはどういった会社ですか?

当時は五十嵐が1人で、Web制作やパンフレット制作を行う「モード」という会社を経営していたのですが、僕はその3期目の終わり頃に入社しました。スタッフは僕を含めて4人だったのですが、それからすぐに、同世代でWeb制作を頑張っている「SIRO」という会社と合併して「モノモード」になりました。人数が8人に増え、僕は役員に就任して4期ほど務めました。

いきなり役員を任されたのですか?

そうなんです。自分でも驚きましたよ。僕は20歳頃から独学で映像制作を行ってはいたのですが、Web制作に関しては全くの素人で。Web制作歴が半年程度しかないのに役員になったので、社内のスタッフから不安や不満の声も出ていましたね。

やりにくさはなかったんですか?

技術面ではどうしてもベテランにはかないませんので、行動で示すしかないと思いました。売り上げ金額や仕事量、他の人のケアをするといった別の形で勝負しようと、最初の頃は試行錯誤していました。認めてもらうためには結果が全てですから、役員として経営はもちろん、営業やミーティングの統轄、全案件の内容把握、納期のスケジューリングをこなすなど、人の 3 倍は働きました。Web制作ももちろん頑張りましたし、何度も徹夜を経験しました。気が付いたら、3年経っていましたね。でも実は、僕はWeb制作よりも、ずっと映像がやりたくて、五十嵐にも言い続けていたんです。その結果、2018年6月に、映像制作をするための子会社「モノサイト」を立ち上げることになりました。

他社とは一線を画す映像のテイストやレベルで勝負

モノサイトの具体的な仕事内容について教えて下さい。

「モノサイト」は映像制作に特化した会社で、現在はカメラマンとアシスタントを含む3人が所属しています。他社とは違う方向を目指さなくては意味がありませんので、 そこで取り組んだのが、“映画のワンシーンのような”映像を意識した作品作りです。たとえば学校案内の場合は、ナレーションをプロではなく生徒に担当させたり、工場の撮影であれば、あえて現場らしさを出すなど、「そこに居る人」「そこにある物語」を感じさせるような臨場感を大切にしています。ありがたいことに、それが格好いい、オシャレと評価され、次第にオファーが増えるようになりました。

クライアントはどういった方が多いのですか?

直接のクライアントさんが7割、広告代理店は3割ほどでしょうか。広告代理店はほとんどが東京で、自分たちが自信を持って提案できるテイストやクオリティーを求めてくれそうなところに、直接営業をかけます。選んでもらうための戦略、勝つための方法を常に考えていますし、その他大勢ではなく、選択肢の一つとして評価していただくためにも、必要な数の作品を用意して、満を持して臨みました。自分たちが見ても、最初の頃に比べて格段にクオリティーが高くなっていると思いますので、自信を持って提案しています。実際、電話をしてその場でホームページを見てもらうと、仕事につながる確率が高いですね。

高間さんご自身が仕事で大切にしていることを教えてください。

僕が大切にしているのは、シンプルに「根性」です。これまでの職歴や学歴は関係なく、目まぐるしく技術が進化し機材の性能が高まるなかで、それに合わせて「勉強をする・学ぶ・追究する・新しい事に挑戦する」という気持ち、すなわち根性が大事だと思っています。僕自身、映像に対する探究心が強いので、東京で行われるセミナーにもよく参加して情報を得ますが、それは自分のためであり、会社のためでもあります。今は何でもネットで知ることができる時代ですが、有料でないと得られない知識もあると思っています。話題のドラマや映画も、今求められているものを知る意味でチェックしますし、色合いやカット割りの参考にもしています。よくクリエイターといわれますが、僕は自分のことは「映像屋」だと思っています。仕事にステータスや称号を求めるのではなく、映像に対する探究心や追究心を持ちながら作ることをシンプルに楽しんでいるだけです。

映像制作のなかでは、どういったものが得意なんですか?

ドキュメンタリーが好きなので、現場感や臨場感を大切にしています。例えば企業の映像を作るとしたら、モデルよりも現場で働く人を撮りたいと思いますし、実際にその点も重視しています。不自然に“キレイ”であることより、そこにあるものを、ありのまま、どう格好よく見せるかが腕の見せどころだと思います。決まりきったものはやりたくないですし、他社がやっていないことが面白いと思うんです。実際に僕たちが作る映像のテイストやレベルは他にはないと思いますし、ニッチなところに刺さっていると思います。制作に関しては、考える時間や編集に時間をかけたいので、たくさんの案件ではなく、一本一本にじっくり取り組むのがうちのスタイルですかね。

“楽しい”気持ちを増やせるように仕事をしていく

今後の人材に求めること、強化したいポイントなどについて教えてください。

仕事は楽しいことばかりではありませんし、正直やりたくないこともあると思います。僕はそんななかで、2〜3割の“楽しい”を3〜4割に増やすように取り組んでいますし、スタッフにもそういった気持ちで仕事に臨んでほしいと思っています。また、最後まで自分がその作品に関わることで、責任はもちろん達成感も感じられるよう、あえて分業にせず、ディレクター、カメラ、編集すべての作業ができるようにしていきたいです。その方が、作品に向き合う姿勢も変わりますし、クライアントの思いを形にしやすいとも思いますしね。そのためスタッフたちには、たとえ会社がなくなってもこの仕事で食べていけるくらい、全ての技術を身につけてスキルアップしてほしいと思っています。

今後の事業構想や展望を教えてください。

映像制作を軸に、札幌で面白いことができる制作会社にしていきたいと考えています。スタッフは現在3人ですが、いずれは10人くらいにしたいですし、能力のある人が札幌で暮らしながら仕事ができるような受け皿にもなりたいと思います。この先業績を伸ばしていくために、現在新たなプロジェクトにも着手していますので、今後の展開にもご期待ください。

取材日:2019年11月28日 ライター:八幡 智子

株式会社monocyte

  • 代表者名:高間 俊輔
  • 設立年月:2018年7月
  • 資本金:200万円
  • 事業内容:ブランディング映像制作、プロモーション映像制作、アウトドア映像制作等
  • 所在地:〒001-0015 札幌市北区北15条西2丁目2-11-105
  • URL:https://monocyte.co.jp/
  • お問い合わせ先:上記HPの「お問い合わせ」より

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