他産業との連携を通して、新しいWebサービスを開発
「株式会社ゴールドバリュークリエーション」は一口に「Web制作の会社」と言い切れないほど、多岐にわたる事業を展開しています。「サイトの制作や運営、マーケティング、システム開発はもちろんのこと、テレビCM制作といった広告会社と同様の事業までトータルで行えることが強み」と語る、代表取締役の金見義教(かねみ よしのり)さん。他産業との連携を積極的に進め、宿泊施設の業務をサポートするための新しいシステム「スマートフロントMujInn」を開発し、ビジネスの場をさらに広げています。その原動力は一体何か? 金見さんに伺いました。
他社とともに、価値あるサービスを開発したい
起業までのキャリアを教えてください。
ITに興味を持ったのは2005年ごろ、20代半ばでした。当時はまだ地元の北海道でITとは全く別の仕事をしていましたが、IT関連の新しい会社が業績をどんどん伸ばしていた頃で、自分もその世界に入って力をつけたいと感じました。また、北海道と違って暖かい沖縄への憧れがあり、沖縄のIT系の専門学校へ通うことにしました。
卒業後は東京の会社へ就職し、SE(システムエンジニア)として働くことになりました。その会社では、主にプロジェクトごとに他の会社に出向するという業務を担っていましたが、徐々に興味が薄れてしまったんです。もっと自社サービスの開発をしていきたい、その中でスキルアップを図りたいと思うようになりました。
また満員電車の通勤が本当に嫌になってしまって(笑)
なので会社を辞めて、改めて沖縄で働くことにしました。しばらくフリーランスだったのですが、企業とつながる機会に恵まれ、会社のシステム開発が仕事の中心になりました。より本腰を入れてその事業に取り組み、広く展開していきたいと思い、会社を設立することにしました。
どのようなシステムを開発されたのですか?
車検をオンラインで予約できたり、点検やオイル交換などメンテナンスの案内を定期的に送信したりできる「CONED(コネッド)」という名前のシステムを作りました。
沖縄で自動車整備工場(株式会社西自動車商会)を経営していた親戚が、ITを使って業務を効率化したいということで、共同で開発しました。1~2年もの歳月がかかりましたが、その甲斐あって完成度の高いものを作ることができたと自負しています。
今では、株式会社西自動車商会のマイカーリースのサービス「スーパー乗るだけセット」の加盟店で利用していただいています。また、自動車整備業の全国的なネットワーク「ロータスクラブ」(加盟店約1500社)の子会社「ロートピア」と業務提携を締結し、名前を変更した同サービスをロータスクラブ加盟店で使っていただいています。
御社の事業内容は「CONED(コネッド)」をはじめとしたWebサービスの開発や運用だけでなく、テレビCMの制作もあると伺いました。その理由を教えてください。
テレビCMはWebと相性がいいと感じたからです。従来のやり方、つまりテレビCMだけを打った場合、その商品の売り上げが伸びたとか、問い合わせが増加したといった効果の計測はしづらく、費用対効果を目に見える形にするのは困難です。
しかし、テレビCMとWebページを連動させれば、ページへの流入数や電話、メールでの問い合わせ件数など全てを測定し、効果を明らかにできます。それらを一貫して行えれば弊社の強みになると思いました。
また、先ほどお話した「CONED(コネッド)」が軌道に乗ったことで資金に余裕ができ、スタッフを雇えて、CM制作などに人員を割けるようになったことも、理由の一つです。おかげさまで、弊社がシステム開発からWeb制作、運用、テレビCM制作、マーケティングまでオールインワンで提供できるという部分を買っていただき、自動車整備会社以外のジャンル、例えば飲食店などともお付き合いが広がっています。
他にも、御社独自のサービスや事業はありますか?
「スマートフロントMujInn(ムジン)」というサービスが、沖縄県が公募する「沖縄アジアITビジネス創出促進事業」に採択されました。
どのようなサービスかというと、宿泊施設の規模を問わず、施設運営のフロント業務をオンラインでサポートするシステムで、宿泊業を営む「株式会社ユナイテッドコーポレーション」との共同開発、共同出資で作り上げました。現地決算やスマートロック連携、多言語翻訳、騒音センサーなどの機能を備えています。沖縄はインバウンドの需要も増え、多くの宿泊施設が作られていますが、人手不足が叫ばれています。「スマートフロントMujInn」ならば、そのような課題を解決し、業務の効率化を図れると考えています。
また、「株式会社沖縄ファミリーマート」とも連携し、民泊など中小規模宿泊施設の入室ナンバーキーの受け渡しと、現地決済をマルチメディア端末Famiポートを利用し実現しました。
「スマートフロントMujInn」も、先ほど伺った「CONED(コネッド)」もそうですが、他社からの発注を受けて何かを作るというより、他社と一緒に作り上げるサービスに注力しているように感じますが、なぜですか?
起業した理由もそうなのですが、誰かからお願いされて作るより、自ら新しいものを開発する方が、面白いと感じる性質のようです。また、他社と受発注の関係になると、どうしても上下の関係が出てしまいます。そうすると、目的は「良いものを作る」ということなのに、それが薄らいでしまうように感じるんです。あくまで対等なパートナーシップで、いいものを作るということに集中したいんです。
異なる文化を持つ会社が一つのものを作るのは、一つの社内で完結するよりも大変なように思えますが、いかがですか?
齟齬(そご)が生じないようにコミュニケーションを密にすることを、とにかく大切にしています。言いたいことは言い合って、たとえぶつかったとしても粘り強く意思疎通を図り「良いものを作り上げる」という目的にまい進すれば、大丈夫だと思っています。
スタッフのライフスタイルの充実が、会社の未来につながる
企業理念に「感動・未来・幸福を創造するサービスの提供を通して全従業員のライフスタイルの充実を実現する」と掲げられている理由を教えてください。
「感動する」ことは最上級の心の動きだと思っています。その「感動」と、「未来」をテクノロジーの力を使って創り、利用する人々と弊社スタッフの「幸福」に繋がるサービスの創出、これが弊社の役割だと考えています。
スタッフには、ライフスタイルを充実してほしいと強く思っています。私生活と仕事は同じ線の上にありますから、どちらかに問題があれば、その片方に支障をきたすのは当然です。だから仕事上はもちろん、家庭でも何か問題が起きたら、遠慮なく言ってほしいと常日頃から伝えています。
会社にいてもうまく息抜きして、楽しみながら仕事してほしいですね。昼休みを90分設けているのはそのためです。オフィスのある北谷町は海のそばですし、おいしいお店もたくさんありますから、ビーチで昼寝したり、ゆっくりランチを楽しんだりしてから仕事に向かったほうが、集中できると思っています。
最後に、これからの展望を教えてください。
今まで以上に他産業と連携して、新しいサービスをどんどん作っていきたいです。直近では「スマートフロントMujInn」をさらに展開し、宿泊業だけでなくアクティビティーや飲食業界との連携も進めていきたいです。
将来的には、会社の規模を大きくするというより、少数精鋭で柔軟に世の中に対応し、スタッフの賃金の底上げをしていきたいです。沖縄は全国的に賃金が低いことで知られていますが、弊社のサービスが価値あるものなら、地域に関係なく広がっていき、売り上げも伸ばせるはずです。それをスタッフに還元して、もっとライフスタイルを充実させてほしいと願っています。
取材日:2020年3月19日 ライター:仲濱 淳
株式会社ゴールドバリュークリエーション
- 代表者名:金見 義教
- 設立年月:2015年1月
- 資本金:100万円
- 事業内容:Webサイト制作・運営、Webマーケティング、CTI・IP-PBXシステム開発、CRM・SFAシステム開発、Webアプリケーション開発、AI開発、ロゴ・キャラクター制作、パンフレット・広報誌などの印刷物制作、写真・映像の撮影・編集・販売、CM広告企画・代理業務、CONED(自動車整備業統合管理システム)の運用・保守、コールセンター業務
- 所在地:〒904-0115 沖縄県北谷町美浜16番地2 北谷町美浜メディアステーション3F インキュベート室 D
- URL:https://gvc.co.jp/
- お問い合わせ先:098-943-4032