頑張る人たちを応援するためワクワクするモノを絶えず創造し続けたい

福岡
株式会社ひつじぐも 代表取締役 島田類氏
ドラマCDや恋愛ノベルゲームなど、オリジナリティあふれる女性向けコンテンツを開発している株式会社ひつじぐも。設立から3年半ながら、数々のヒット作を世に送り出しています。遊び心あふれるオフィスには、社長の島田さんをはじめ個性豊かなスタッフが集結。会社を設立するまでのいきさつや仕事への思い、今後のことまで、島田さんに語っていただきました。

フリーのシナリオライターを経て、会社を設立

島田さんは子どもの頃からゲームが好きだったのですか?

私は佐賀出身で、小さな頃からモノづくりが好きでした。紙に絵とお話を書き、ホッチキスでとめて、絵本を作ったりしていました。学生の頃はアトラスの女神転生シリーズが好きでしたね。ただ、いつもゲームに熱中していたわけではなく、パソコンを使って、海外の英語のゲームサイトで遊んでいる程度でした。 実家が医療法人を経営していることもあり、大学は医学部に進学しました。でも、自分の道ではない気がしていたとき、プロのシナリオライターに「シナリオを書いてみない?」と声をかけていただいたんです。もともと同人誌で活動していましたし、シナリオを書くのが面白くてのめり込みました。 結局は大学を辞め、フリーのシナリオライターとして、東京で5年ほど活動しました。

その頃は、どんなジャンルを手がけられていたのでしょう?

メインにしていたのは、男性向けの恋愛ゲームでした。当時はその分野の需要が高かったので。コンシューマーゲームのプランナーアシスタントから美少女ゲーム「メカミミ」の企画、ディレクションなど、何でもチャレンジしました。

そこから、会社を設立された経緯を聞かせてください。

東京で働いているときに体調を崩し、20代後半で地元の佐賀へ帰還しました。そして、実家の福祉施設を手伝っていましたが、夢をあきらめきれずに心機一転。2010年8月にドラマCD「感応時間~甘味処~」を発売したんです。このとき、今の社名の「ひつじぐも」は私の個人事業主としての屋号でした。 4か月後の2010年12月、仲間3人で佐賀で会社を作りました。 さらに2011年12月、雇用を増やすべく、いい人材を求めて福岡に本社を移転したんです。

3つの事業を柱として、受託開発も好調

ひつじぐもさま_03

会社ができてから3年半ですね。事業内容について教えてください。

当社はコンテンツホルダーとして、企画から開発まで一貫して自社で制作しています。また、自社オリジナルコンテンツで培ったノウハウを生かし、受託開発も行っています。数多くリリースしているのは、女性視点の恋愛をテーマにしたタイトルです。 私自身、かつては男性向けのゲームを手がけていましたが、なかなか感覚がつかみづらく、自分が力を入れたところがヒットしないということもありました。そこで、市場や自社の将来も見据えて、女性視点の作品にシフトしたんです。また、仕事をするうちに、私はシナリオを書くことよりも、企画やディレクション業務のほうが向いていると実感しました。

具体的には、どんな作品を制作されているのでしょうか?

法人化してすぐは、私が手がけていたドラマCDの制作がメインでした。物語の主人公になったかのように楽しめるシチュエーションボイスドラマで、代表作には「感応時間」「女王蜂の甘美なる交合」「雨枕」があります。 それから、ドラマCDのノウハウを生かし、より深くキャラクターを楽しめるPCゲーム開発も多く手がけています。これからはモバイルアプリ開発にも力を入れて、女性向けの恋愛ノベルゲームをリリースしていく予定です。

逆転吉原|スマホカレシ公式サイト

逆転吉原|スマホカレシ公式サイト

これまでの仕事で印象に残っている出来事はありますか?

スマホアプリの受託開発で、転機となった仕事があります。 ディースリー・パブリッシャーさんから受託した「逆転吉原」です。 ひつじぐもが全体を手がけた大きな仕事で、紆余曲折がありましたが、Android/iPhoneアプリ「スマホカレシ」内で人気ナンバー1になり、とてもうれしく思っています。 受託開発としては、同じスマホカレシ内の「ストーキングラブ」、またPCゲーム「女王蜂の王房」シリーズなども担当しました。

この6月には、新しいドラマCDをリリースされましたね。

はい、シリーズ累計販売1万本を記録したドラマCD「雨枕」の続編シリーズを2014年6月25日から順次リリースしています。これはお疲れの女性に癒しを提供する、リラクゼーション効果を重視したボイスドラマCDなんです。実際のボイスに導眠の技術を用いており、ベッドに入り、ゆったり聴いていると次第にまどろんでいくと思います。最終トラックには寝息も収録し、まるで彼が隣に添い寝してくれているかのような安心感。臨場感ある音響で、皆様を甘く幸せな眠りへと誘います。

ドラマを聴いて眠るとは、画期的ですね。

私が初めてドラマCDを発売したとき、このようなCDはまだ日本になく、とても珍しかったと思います。当時、催眠がちょっとしたブームで、それを商業ベースでお届けしたら面白いと思ったのですが、実際にリリースすると大きな反響がありました。

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雨枕の続編「雨枕二期(あめまくら・にき)」リリース

シリーズ累計販売本数1万本を記録した 安眠効果のあるドラマCD「雨枕」の続編シリーズを2014年6月25日より順次リリース

疲れが溜まりがちな梅雨の時期にこそ癒しを 津田健次郎さん、井上和彦さん、菅沼久義さん、岡本信彦さん、近藤隆さん、野島健児さんが出演!

詳細・予約・購入は ひつじぐもオンラインショップ http://shop.hituzigumo.com/products/

ひつじぐものファンを増やしていきたい

御社の強みは何でしょうか?

女性視点の恋愛をテーマにしたタイトルを主に扱っていますが、「キレイ」や「甘い」だけではない、さまざまな「マジ」を追究したコンテンツが得意です。ちょっとした遊び心を盛り込むこともあります。 あとは、スピードですね。例えば、受託で開発していると、クライアント企業から他の会社に比べてうちが一番早いと言っていただきます。きっちりスケジュールを管理し、遅れないことは当たり前で大事なことだと思っています。

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経営者として、心がけていることはありますか?

いい意味で、普通の会社っぽくしたいと思っています。この業界は長時間労働になりがちですが、ダラダラと働かず、8時間なら8時間、とにかく集中すること。残業する気力がなくなるくらいに。タイムマネジメントは大切ですね。今、当社では20~30代の男女7人が働いていて、男性も大歓迎です。

どんな方と働きたいですか?

今まで全く違うジャンルで働いていた人でも、もし興味があるならやってみて、肌に合いそうなら一緒に仕事してほしいと思います。私は「乙女ゲームを好きな人」を増やしたいのではなく、「ひつじぐもを好きな人」を増やしたい。そうして、企業として成長していきたいと考えています。

この仕事の面白さはどんなところにありますか?

これは私の個人的な性格かもしれませんが、予期しないことが起こるのは面白いですね。コンテンツについてはおおむね予想がつくものの、人については予想外のことが起こる。私にとって、新しいことは面白いことなんです。 私は今でもゲームが好きで好きでたまらない、というわけではないんですよ。一歩引いて、冷静に公正な目を忘れずに仕事をしていきたい。そうでないと、多くの人に受け入れられる作品は生み出せないと思っています。

クリエイティビティはもちろん、人間性を磨こう

御社の今後の展望を聞かせてください。

先ほどお話したように、当社はドラマCDからスタートしましたが、今後はコンテンツ制作に力を入れていきたいと考えています。ドラマCDは60分ほどで完結するもので、関わるスタッフが少なく、当たり外れがあります。一方のコンテンツ開発はより自由度が高いので、自社の強みを最大限に生かして、挑戦していくつもりです。

ただ、いろんなお話をいただきますが、やみくもに仕事を請けるようなことはしません。相性は大事なので、自分たちらしさを大切に、仕事先ともいい関係を築いていきたいと思います。おかげさまで今のところ、業績は順調に伸びています。

また、私個人としては、自分が与えられたものを社会に還元していくことに興味があります。学生時代はボランティア部でしたし。かつての私のように、将来に不安な思いをしている人たちや頑張る人たちを応援していきたいという夢があります。エンターテインメントはなくても生きていけるけど、人間らしく生きるためには、心の栄養が必要。社会が私たちに与えてくれる喜びを、今度は私たちが他の誰かに届けたい。ひつじぐもは誰かの役に立つことを願っています。

最後に、クリエイターの方に向けてメッセージをお願いします。

仕事とはいえ、突き詰めれば「人」と「人」との関係性が大切だと思います。 求人への応募に際して、他社で使われたシナリオを送ってくる人がいます。作品には守秘義務があるので、そのあたりはしっかり気を付けたほうがいいと思いますよ。できればオリジナルで、その人らしさが出ている作品を見せてもらうのがベストです。

また、書類ひとつからでも人間力が透けてみえます。履歴書や職務経歴書が見やすく簡潔にまとめられていると、この人は仕事ができそうだし、サービス精神があって気も利くと感じます。モノづくりをする上でも、単に自分の思いをぶつけるだけでなく、見る人のことを考え、いかに見せるのかが大事。特に会社で働くとなると、人と密接に関わるので、人間性や協調性なども採用のポイントになります。作品にこだわるクリエイター気質はもちろん重要ですが、人間性を磨き、社内や他の人に気を配れるように心がけましょう。

取材日:2014年6月

株式会社ひつじぐも

  • 代表取締役:島田類
  • 設立年月:2010年12月
  • 資本金:5,000,000円
  • 事業内容:映像、音楽作品の企画・制作及び販売/コンピュータソフトウェアの企画・制作及び販売/インターネットコンテンツ並びに携帯電話向けコンテンツの企画・制作及び販売/キャラクターグッズの企画・制作及び販売/その他前各号に付帯関連する一切の事業
  • 所在地:〒810-0022 福岡市中央区薬院2-1-8 リアン薬院ビル5F
  • TEL:092-406-3774
  • FAX:092-406-3775
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