地方にありながら最先端の技術を扱う 誰もが快適で便利な未来社会を創るために
- 福岡
- 株式会社ネクストシステム 代表取締役 CEO 藤田義生氏
福岡市を拠点とする株式会社ネクストシステムを訪問した最初の印象は 「こんなところに、こんな会社があったとは!」 AR(拡張現実)やモーションコントロールといった最先端技術を基盤に、さまざまなコンテンツやサービスを展開している同社。 代表取締役の藤田義生さんに事業内容や創業の経緯などを伺いました。
人々の生活を今よりも便利に そして豊かに、楽しくしたい!
ホームページを拝見すると、最新テクノロジーを駆使した商品サービスが色々紹介されていますね。
当社の「キネシス」は、マウスや画面に触れることなく手や体の動きで操作できるインタラクティブシステム、いわゆるモーションコントロールシステムです。応用範囲は非常に広く、商品紹介や店舗での活用、不動産の案内、医療分野での活用などが考えられます。
また仮想試着システム「バーチャル・ファッション」は、カメラに写った利用者の体に衣服の3次元データをフィットさせ、よりリアルで自然な試着が楽しめます。また写真の服を同じように仮想試着できるバーチャル・ファッション2.5Dの製品化も行っています。
このほかAR(拡張現実)の分野では、独自に開発した「高速画像解析ARエンジン」をクラウドサーバー上に搭載することで、DMやチラシ、パンフレットと連動させたAR広告を展開し、新しいO2Oの流れを実現できるサービス「CloudAR(クラウダー)」などがあります。
いずれも非常にユニークで最先端の技術ですね。
私が考えているのは世の中をもっと簡単に便利にしたいということ。モーションコントロールなどの仕組みを使えば、今よりも人間の生活は便利に、豊かに、楽しくなるはずです。悩みは時代の先を少し行き過ぎていること(笑)。ビジネスはタイミングが大事で、成功する人は必ずタイミングが合っています。その点では、当社は2年ぐらい先を行っていると思います。
最先端技術に追いついていくのも大変そうですが。
どんなに機器が進化しても基本的な考え方は変わりません。当社にはその根幹部分を理解して、そこから開発できる人材が集まっています。ですから上っ面のデザインだけを追い求めるのではなく、原理原則からの研究開発ができることが当社の強みです。あとは応用の問題。当社の事業の根本はひとつで、そこから世の中に求められるさまざまな芽が出ているイメージです。あらゆることへの応用が可能です。
子どもの頃の夢は科学者か芸術家 今は技術者としてクリエイティブな仕事を
藤田さんご自身はどういう経歴なのでしょうか?
もともとメーカーでOSなどの開発をしていました。当時担当していたのが、今の最新のスマートフォンのOSと同じようなものです。約25年前の話で、当時の最先端技術です。当然ながら日本には参考になる書籍などなく、海外から英語の本を取り寄せて必死で勉強しました。今も当時の研究開発がベースになっていますね。最先端技術に追随できるのは、このときの努力があったからこそ、と思っています。
昔からこうした業界に興味があったのですか?
いえいえ。子どもの頃の夢は科学者か芸術家になること。 運動も勉強も得意ではなく、唯一、認めてもらえたのが絵を描くことでした。残念ながら家族の反対で芸術家の夢はあきらめ、地元のプログラム開発会社に入社することになったんですが。その後、メーカーに転職しました。私は知識や経験がなかったこともあり、疑問に思うことは何でも周囲に聞いていました。それがある人の目に留まり、「お前が不思議に思っていることを自分で開発してみろ」と最先端の開発を任されるようになりました。 結局、科学者にも芸術家にもなれませんでしたが、今は技術者となり、クリエイティブな仕事をしています。子どもの頃の夢は別の形で花開いていると思います。
起業のきっかけは何かあったのですか?
25歳のときに「10年後に起業する!」と宣言しました。70歳までは働くと決めていますが、社会のお役に立つ期間が70年とすると、その半分が35歳です。そこを節目と考えて、自分の可能性に挑戦したいと思っていました。
人の可能性はみな同じ 自分のやっていることを楽しいと思うかどうか
最先端技術の仕事となると、人材も優秀な方々ばかりでしょうね。
確かに東京大学や九州大学を出た社員や、大学院でこの分野の研究をしていた社員達もいます。基礎研究を理解していることは重要ですが、当社にいるのはこうした人材ばかりではありません。まったく違う業界からの転職組や、ニートや引きこもりだった社員もいるんですよ。人間には、そんなに能力差はないと思っています。勉強してきた人は勉強するコツを知っていたり、知識や応用が利く面があります。最初はコツを知っている人の方が仕事が速いかもしれませんが、最終的な能力はそれほど変わらないと思っています。あとはどれだけ本気で仕事に向き合うことができるかどうかです。
クリエイターとして仕事をするには何が必要なのでしょう?
自分のやっている仕事を楽しいと思ってやることが重要ですね。単なるやらされ仕事と思ってはダメ。私自身も楽しいと思うことを実践してきました。またクリエイターには、いろんなものを見聞きしてほしいと思います。映画、音楽、アニメなどには多くのヒントが隠されています。積極的に体験してほしいですね。
今後の課題は何でしょうか?
当社は国内外の企業や組織との共同研究や委託開発が多く、面白いことをたくさんしているのですが、当社独自の製品や成果として公表できるものが少ないんです。 現在の大きな目標は、自社ブランドでのヒット商品を早く出すこと。 今後も自分自身が面白いと思うことをやっていきたいと思います。
取材日:2014年10月8日
株式会社ネクストシステム
- 代表者 藤田義生(ふじたよしお)
- 設立年月 2002年8月28日
- 資本金 72,250,000円(資本準備金28,125,000円を含む)
- 事業内容 クラウド型AR(拡張現実)システムの企画・開発・販売 Kinect等モーションコントロールシステムの企画・開発・販売 バーチャルファッションシステム(仮想試着システム)の企画・開発・販売 スマートフォンアプリ開発
- 所在地 福岡市南区井尻3-12-33 アンビエント井尻
- 事業所 東京オフィス、カナダブランチ
- TEL 092-584-0662
- URL http://www.next-system.com