仕事の傍らで好きなことを学び 会社を設立

池田さんが今の仕事を始めたきっかけを教えてください。

僕は長崎出身で、福岡の工業大学に進学して、電気工事の仕事に就きました。ただ、もともとモノづくりが好きだったのこともあり、仕事と並行して、プライベートで電子基板などのハード設計やプログラミングについて、自分で勉強をしていたんです。知り合いにも教えてもらっているうちにそれがとても面白くなり、30歳で会社を辞めて独立、自営業でハード設計やプログラミングを請け負うようになりました。

独学で技術を身につけて起業されたというのは、すごいですね。

ただ、仕事は順調にいっていたものの、だんだん行き詰まりを感じるようになりました。というのも、ハードの仕事は原材料の仕入れにお金がかかるため、技術料としての売り上げは少なかったんです。 クリエイティブなソフトの仕事もしたいなと思っていたとき、ちょうどWebプログラマーの友人が勤めていた会社を辞めるというので、2人でこの会社を設立しました。2013年の7月のことです。

会社を立ち上げて約1年半ですね。どんな事業をされているのでしょうか。

以前はハードウェア設計やソフトウェア開発が中心でしたが、今は業務の8割をWeb制作やシステム開発が占めています。Webシステムの開発では、同窓会管理システム、行政観光サイト管理システム、某学会管理システム、ポータルサイトシステムなど、多くの実績があります。

オフィス移転で 人の輪も広がった

どうやって仕事を拡大しているのでしょうか。

営業活動は積極的にしていないのですが、ありがたいことに、ご紹介やお問合せから仕事が広がっています。会社を立ち上げたのは福岡市のとなりの糟屋郡でしたが、業務がどんどん増えるのに伴い、他の人にも手伝いをお願いしなければ仕事が回らない状況になり、今年7月にここ大名に拠点を移しました。

広々としたかっこいいオフィスで、作業スペースがたくさんありますね。

会社を立ち上げた2人にデザイナーが加わり、今は社員が3人になりました。他にも色々な人がヘルプに来てくれたり、オフィスへ立ち寄ってくれたりします。 福岡は天神・大名エリアなどにIT関連の人たちが集まっているので、ここに移転してから仕事がしやすくなり、交流も活発になってきたと思います。東京は大都市なので、クリエイターもあちこちにいる印象がありますが、福岡はわりと密集していて、かつ人と人がつながりやすく、応援してくださる人も多いのでうれしいですね。仲間内での勉強会に参加したり、社内に講師を招いて勉強会を行ったりもしています。

移転が大きくプラスになったのですね。 御社の強みはどんなところでしょう。

最近はソフトの仕事が増えていますが、本来はハードも得意なところだと考えています。最近は福岡でもスタートアップが注目されていて、その中でもハードの需要が高まっているように感じています。ハードもソフトも対応できるというのが当社の大きな強みですね。

独自のサービスを展開し 海外にも進出したい

これからの御社の展望について教えてください。

今は大きく2つのビジョンがあります。 ひとつは、Webの世界だけで完結せずに、リアルに反映できる独自のサービスを展開することです。 その第1弾として、今年12月1日に弊社オフィスの近くにオープンする「ネイルサロン LAVIE」と連携して、いろいろな試みをスタートしています。予約などのシステムを作ったり、Webで広報支援をしたり…。モノやサービスを作って終わりではなく、お客様からフィードバックしてもらいながら、よりよいサービスを提供していきたいと考えています。まずは自分たちの仕事がリアルに広がっていくのを体感して、ノウハウとして蓄積していきたいですね。

新たな展開が楽しみですね。もうひとつのビジョンは何でしょう。

もうひとつは、アメリカに拠点を作ることです。これはまだ「やりたいな」という段階で、具体的には決まっていないのですが、来年7月に会社が3期目に入ったら、アメリカのシアトルに拠点を作りたいと思っています。 知り合いの息子さんがシアトルに留学していて、一時帰国している間、当社にインターンとして来てもらいました。そのときに聞いた現地の話が興味深く、シアトルで起業したいという思いが強まりました。

なるほど。ますますお忙しくなりそうですね。

日曜も自宅でパソコンに向かっていることが多いですね。でも、趣味のそば打ちでリフレッシュすることもありますよ。一から自分で作ることができるので、そのうち、会社でそばを振る舞ったりできるといいなと思っています。

経営者として、メンタル面で心がけていることはありますか。

不安になることは考えない。やる前から起こってもいないことやどうしようもないことを考えたりせず、やらなければいけないことに集中して、しっかりやる。その姿勢を大事にしています。

現状に甘えることなく 難しいことに挑戦しよう

最後に、クリエイターの方々にアドバイスをお願いします。

僕は自分で学んだり人に教えてもらったりしながら技術を身につけて、起業しました。何もわからない中で、まずは人のマネをすることから始めたんです。それからプログラムの一部を変えてみて、さらに工夫して…と自分なりにチャレンジしてきました。 人は自分ができる範囲だけで仕事をしていると、そこで止まってしまう。現状に甘えず、無理してでも難しいと感じることでも続けていくことで、どこまでも上を目指せると実感しています。

それは社名の「C-limber」にも通じますね。

はい、「Climber」は「登る人」という意味です。常に高みを目指し、成長したいという思いを込めて、この社名をつけました。また、「limber」には「柔軟な・軽快な」という意味があります。 お客様のパートナーとして、共に高みへ、共に成長する会社でありたい。決して妥協することなく、あきらめずに上を目指していくつもりです。

取材日：2014年11月12日