現実主義だから今できることをやる。 まずはロボットで九州を盛り上げたい!
- 福岡
- 株式会社システムトランジスタ 代表取締役 高橋 周矢氏
自らシステムを作る、その面白さに取りつかれITの世界へ
前職は不動産業界ということですが、会社設立までの経緯を教えてください。
大学を卒業して就職したのがたまたま不動産屋だったのですが、やりながら自分で稼ぐことに魅力を感じ、「自分のチームを作ってやってみたい!」と独立を考えるようになりました。そこから何をしようかと探し始めたのですが、当時働いていた会社でExcelの関数や数式を使って簡単なシステムを作り、会議の資料作成や顧客管理をするうちにその魅力に取りつかれてしまいました(笑)。想像以上に面白く、「このままシステムってやつに触れてみようかな」と思い、IT業界に進もうと決めました。そこから学校に通って2年ほど現場を経験し、とにかく楽しくて、この先何十年先も一緒に酒を飲めたらいいなと思える仲間と会社を立ち上げました。
パワフルな会社HPからも社内の楽しい雰囲気が伝わってきますね。通称「シストラ」と呼ばれる社名にはどのような意味があるのですか?
トランジスタ技術が世の中を大きく変えたように、革新的な技術にあやかって付けました。「トランジスタ」は拡充器、増幅器という意味なので、システムを大きくするという意味も一緒に込めています。一度お会いした方はうちの会社を「シストラ」と呼んでくれるので、結果的に憶えやすい名前で良かったと思っています。ロックバンドグループみたいなHPも私が作りました。昔から音楽が好きでバンドをやっていたこともあり、会社のメンバーでバンドができたらいいのですが、現実的には仕事になりませんからね(笑)。
職業訓練を通してスペシャリスト育成に力を注ぐ
事業内容にある技術者育成事業とは?
もともと学校をやりたかったので、そういう想いから会社設立の翌年、2010年8月に「シストラIT技術訓練学院」を立ち上げました。私自身も職業訓練からスタートしたこともあり、そこに集まってきたメンバーが仲間みたいになるのが楽しくて(笑)。卒業後はビジネスパートナーとして繋がれるのも職業訓練校をやっている面白みでもありますね。
高橋さん自身が一人で指導されているそうですね。
はい、カリキュラムから考えて指導しています。うちはソフトウェアが本業なので授業内容も普通の学校とは全然違いますよ。いわゆる“即戦力になる人材を本気で育てる"ために作った学校なので、生徒として集まってくる人たちも良いものを持っていますね。私自身、訓練生時代は特に出来ない方でした(笑)。だから分からない人の気持ちが理解できるし、そういう視点で接しているから「ここは特に難しい所だよね」「自分も1回では分からなかった」と言いながら注意して教えています。受講生がその時に理解できなくても、卒業して現場で仕事をする時に「あの時のはこれだ!」と理解する日がきっと来ます。
指導する上でどんな事に重点を置いていますか?
プログラムをするうえで大事なのは基礎。他の学校が1週間でやる内容をうちでは1ヶ月かけて教えます。応用力を高めるために基礎を何度も繰り返し、いろんな問題を解くことで自分の引き出しを増やす。すると、いざ難しい問題に出会っても選択する引き出しが多ければ必ず解けます。いわゆるツールを増やして応用に備えるということです。プログラミングの答えは1つじゃない、それが面白味でもある。生徒達にはそこを楽しんで欲しいと伝えています。
新たな戦力、それは人との共存を目的としたロボット事業
現在はロボット事業に力を注いでいますね。詳しく教えてください。
2015年6月に「pepper」が一般発売されると知って「ロボットがここまできたか!」と感動しました。ロボットが好きだったのでこれを仕事にしたら楽しいだろうなと思いましたね。ソフトウェアと教育だけでは先細ると感じて、新たな事業を探しはじめた矢先の事だったので、そこにロボットの話が舞い込んできて「これは最先端だ!」と思い参入を決めました。今のうちからやっておかないと取り残されるというか、出遅れることになりますからね。今年で2年目ですが手応えはまだまだですね。でも必ず来ると信じています。ノウハウをしっかり溜め込みたいと思っています。
具体的に「pepper」のどんなシステムを作っていますか?
弊社のロボット事業はコミュニケーションやエンターテインメントの要素が大きいので、BtoC(企業が個人向けに行う事業)向けのサービスを展開しています。要は、ロボットが歌ったり踊ったり、一緒にゲームを楽しんだりするシステムです。企業に対してロボットでのソリューションを展開するよりも、幼稚園児や商店街イベントや高齢者向けなど、ロボットを使って人に楽しんでもらえるソフトを目指しています。例えば、「pepper」が結婚式を盛り上げる「親子の時間」というアプリは、チャペル入場前の父娘だけの時間に「ねぇ。○○ちゃん、今日はお父さんに伝えたいことがあるんだよね」と言って胸の画面に動画や音楽とともに手紙を流し、新婦からこれまでのお礼を父親に伝えるというものです。このアプリの特徴は、新婦さんと一緒に作ることと、式前の「親子の時間」という、人が入ってはいけない領域に、ロボットが入っていけること、です。他には、カレンダー機能を利用して誕生日や記念日を登録し、当日になったら「pepper」がお祝いしてくれるアプリもあります。あと、これから必ず必要になってくる介護向けのアプリケーションも考えています。「pepper」みたいな大きさの可愛らしいロボットが人前で活躍した方が楽しいですからね。アプリ開発を通して、人間とロボットが共存する未来が一歩ずつ進んでいくのを感じています。
今後、ロボットを使って手掛けたいことは?
小学生や中学生に対してロボットの授業をやってみたいですね。子供にプログラミングを教えることは論理思考を働かせるという長所がありますが、それよりも小さい頃からロボットに触れて、科学技術に興味を持って欲しいです。「なんで動いているの?」と思う子は制御装置のサーボ(自動制御装置)に興味を持ってハードよりの勉強を選択するでしょうし、「なんでしゃべるの?」と思う子は音声やセンサーに興味を持ってプログラミングを意識するでしょう。小さい頃から興味を持って勉強する事で自分の未来を選択する力が養われるはずです。今“AI(人工知能)"が話題になっていますが、今現在、まだ全然完成していない状態なんですよ。それを完成させるには小さいうちから興味を持って専門の勉強をしていかないと、私のように大学卒業後に目指しても簡単にできるものではない。そこに周りも気づかないといけないし、私自身も若い子達をどう育てればそこに至るかを考えています。
福岡から東京、そして世界へと目を向ける
ロボット事業はまさにこれからですね。今後の展望や夢を教えてください。
30歳を過ぎてからは世界中を飛び回りたいと思うようになりました。今はロボットについて、情報収集や情報交換のために東京によく行っています。福岡にじっとしていたら全く手に入らない情報が東京には沢山あります。弊社では、出張所の構想もありますが、世間的に福岡の人はなかなか東京に行きたがらない(笑)。やっぱり住みやすいからでしょうか。でも福岡にはロボットの仕事が少ないのが現状です。もちろん仕事で海外に出たいと思いますが、ロボットに関しては日本の方が進んでいます。コミュニケーションロボットにおいては、いわゆる「pepper」は世界でトップクラスです。これからの1、2年でどんどんロボットは出てきますし、言語も統一されてくるでしょう。
最後に、これからロボット事業を目指す方へ、一言。
常に最先端を見据えないと駄目です。もうJavaは最先端ではありませんし、業務アプリケーションも、ゲームも、SNSも、既に完成して充足した状態です。だから、今更新規で入るのは既に難しい。それより周りが気づいていない、油断している分野を見つけていくのが重要。私自身も常に監視して新聞や専門誌に目を通してアンテナを張っています。この世界はいつ置いていかれるか分からないくらいスピードが速いですから。
取材日: 2016年7月25日 ライター:井みどり
株式会社システムトランジスタ
- 代表者名(よみがな): 高橋周矢(たかはし しゅうや)
- 設立年月: 2009年4月
- 事業内容: システム・インテグレーション事業/WEBソリューション事業/ネットワーク・インフラ事業/技術者教育事業 ロボットコンサル事業
- 所在地: 福岡市中央区渡辺通2-7-14 パグーロ薬院7F
- URL: http://www.systra.co.jp
- お問い合わせ先: 上記HPよりお問い合わせください