人のためになることはやってみる! CGパース制作を主軸に新事業も展開
- 福岡
- 株式会社シェルパ 代表取締役 山崎文章 氏
CGパースの制作に魅力を感じ、28歳で独立
まずは会社を設立されるまでの経緯を教えてください。
私は福岡県出身で、建築やインテリアに興味があり、九州デザイナー学院に進学しました。卒業後は店舗設計施工会社に入社し、主に店舗の設計や現場を担当していましたが、パソコンが会社に導入されたのを機に独学でCGパースをマスターしました。CGパースの仕事はとても面白く、やりがいを感じていました。 CGパースを作る面白さは、図面を描いた人の思いをくみ取りながら、どんな雰囲気に仕上げていかに演出するかという点ですね。常に相手に感動してもらえる仕事をしたい、前よりいいものを提供しようと心がけていました。
それから独立されたのですね。
もともと独立志向があり、8年勤めた後、2009年に店舗のCGパースをメイン業務として独立しました。「仕事は絶対に断わらない」と決め、最初の6年はどうにかひとりでやっていましたが、どうしても手が回らなくなり、アルバイトを雇うところから始めて、今では社員11名になりました。新卒、中途、別の分野から転職してきたスタッフもいます。
クリエイターから経営者へ、ご苦労もありましたか。
最初は、保険や福利厚生を整えるところで苦労しました。それに、私はナンバーツータイプで、アイデアを出したり助言したりするのは得意でしたが、トップとして人を怒ったりするのは非常に苦手で……。でも、人は褒めるだけでは伸びない、私が言わなければと覚悟して、愛情を持って言うべきことはしっかり言うことにしました。キミならできるはずと伝え、しっかりフォローもします。そうすることで、一人ひとりが成長していくのを実感しています。
経営や営業力まで備えたクリエイターを育成
御社の事業内容について教えてください。
今も仕事の8~9割はCGパースの制作です。店舗から住宅、マンションまで、何でもオールマイティに対応できるのが当社の強みですね。
どうやって受注されるのでしょうか。
当社には営業がいません。9割がウェブからの受注で、全国から依頼があり、口コミで評判が広まっています。
今でも仕事は断らないのですか?
もちろんです。ご縁があって、当社に依頼したいと思ってくださったのですから、その気持ちには全力で応えたいと思っています。
営業がいないということは、制作担当がお客さんの窓口になるのでしょうか?
そうです。当社ではひとつの仕事にひとりの担当がつき、全てを丸ごと任せるのが特徴です。他社では営業が窓口になり、制作も数人で分業することが多いようですが、当社では売上の管理から制作までひとりでやってもらうので、利益率まで考えるような経営感覚が身につき、お客様に直接ありがとうと言ってもらえる喜びも感じられます。彼らが独立しても、どこででもやっていけるような力をつけてほしいと思っています。会社は、いわば彼らの人生を預かっているわけですから。
スクール、社内通貨など、新しい試みを次々と実行
会社のトップとして心がけていることはありますか。
スタッフには、技術はもちろん、仕事をする上での考え方まで伝えるようにしています。こんな理由でこうしたほうがいいと教えれば、その考え方は他のシーンでも応用できるので。小手先の技術ではなく、人間性も高めていくことがいい仕事、ひいてはいい人生につながると考えています。 経営者としては、スタッフにいかに楽しく働いてもらうかというのも重要なテーマです。社員が信頼し合い、楽しそうに働いてくれる姿を見るのが一番うれしいですね。 当社に初めてアルバイトで入った人は、すでに独立していて、夢を実現しています。彼は、入社前、CGを諦めようかなという状況でしたが、「シェルパに入ったことで今があります。感謝しています」と言ってくれて、本当にうれしいです。私自身はどうやったら人のためになるのか、何を残せるのかを常に考えています。
人材育成に力を入れているのですね。
そうです。今年3月には、オフィスの横のひと部屋を借りて、3DCGクリエイター養成スクール「Sherpa plus」を開講しました。オリジナルのマニュアルを作り、学生たちに無料で3DCGを教えています。この業界の面白さや、やりがいを知ってほしいし、いい人材はぜひ当社で働いてほしい。教えるのは当社のスタッフで、教えることで理解が深まり、こちらとしても得るものが大きいと感じています。 短期間で成果がみえる事業ではないけれど、ロングレンジで捉えると、業界にとっても当社や学生の未来のためにもいいことだと信じています。
他にも社内で独自の試みをされているとか。
私はいつも新しいことをやってみたいと思っています。最近は社内通貨を始めました。仕事をしていると、他の人に手伝ってもらいたいことが出てくる。しかし、手伝う側にはメリットがないという声がありまして。そこで、人に手伝いを頼むときは、社内通貨を払ってお願いするというルールにして、社内通貨はお金と同じ扱いとして、給料に反映するようにしました。それで不平等感がなくなりましたよ。 また、サンキューカードも導入しています。感謝している相手にそのカードを渡すと、相手はそのカードを換金できるシステムです。アイデアが湧いてくるとタイミングをみながら実行するようにしています。
これから斬新な3つの新事業をスタート
今後の展望についてお聞かせください。
今、主に新しい事業を3つ進めているところです。1つは、高品質な3DVR体験を実現する当社オリジナルの「SHERPA VR」です。ゲーム開発エンジンを使い、さまざまなシミュレーション機能を実装できて、Web上での閲覧・操作が可能。建築やインテリア、企業や商品の紹介、スポーツトレーニングや医療分野、教育や観光案内まで、幅広い分野に活用できます。6月に東京の展示会に出展したところ、大手企業から続々とお声がけいただいていますので、これから本格的に取り組みたいと考えています。 2つ目は、自社サーバーを使ったクラウドサービス「ファイルトーク」です。ファイルのやり取りをベースに、コミュニケーションできるツールを開発中です。 そして3つ目は、CGの投稿サイトです。写真投稿サイトのCG版のようなイメージで、皆がCG作品を投稿できて、作品に対してコメントできたり、クリエイターコンテストをしたり、スカウトができるようにしたりと、いろんな機能を考えています。
最後に、クリエイターの方にメッセージをお願いします。
とにかく楽しむことと、妥協せずに仕事に取り組むことですね。学生に対しては、アルバイトでも何でもいいので社会と接点を持ち、学校と会社はどう違うのか体感して、いろんな経験を積んでおいたほうがいいと思います。
取材日: 2016年9月14日 ライター: 佐々木恵美
株式会社シェルパ
- 代表: 代表取締役 山崎文章(やまさき ふみあき)
- 設立年月: 1999年1月
- 事業内容: CGアニメーション、CGパース建築デザイン、インテリアデザイン、サインプラン、 WEBデザイン、広告全般、各種デザイン入出力
- 所在地: 福岡市中央区赤坂1丁目13-10 赤坂有楽ビル7F
- TEL: 092-717-6800
- URL: http://sherpa-cg.com/