求ム! 魔法を使える世界の妖精職人たち!

大阪
株式会社ピグミースタジオ 代表取締役 小清水 史 氏
 
個性的なタイトルを数多くリリースしているピグミースタジオ。「弊社はゲーム会社ではなく、デジタルおもちゃ工場です」と言う代表取締役の小清水 史氏に、モノづくりへのこだわり、会社のネーミングに込めた思いや夢を語っていただきました。

コンテンツ会社として独立後 気づけばパン屋…そして、デジタルおもちゃ工場へ

会社設立の経緯を教えていただけますか?

実はこれまで話が長くなるので、公には口外していなかったのですが、今回初めてお話しようかと。 大きなはじまりは、ソニー・コンピュータエンタテインメントでのゲーム制作経験。僕は、ここで個性溢れるゲームをどのように商品にしてセールスするのかを必死で見ていた気がします。その後、自分で色々と試したくなって、当時としてはまだあまり無かったオンラインゲームの基礎開発等をしていました。 色んなプラットフォームでの開発の経験をして、もっともっとモノ作りがしたいと考え、会社を立ち上げたのですが、そこでのクリエイティブ・ディレクターとしての仕事がうまくいき過ぎてか、気づいたらコンテンツの事業より、そこでおこなって行き着いたパン屋の事業の方が目立ってきまして(笑)。次第に、この事業の規模が大きくなってしまい、最終的には、17店舗ほど運営することになって、従業員も250名ほどになりました。

それはどれくらいの期間で?

3年くらいですかね。いろいろな方のご協力があってのことなんですが、結果的にそうなってしまいました。そしたら知り合いに言われるんです。今「パン屋してるんでしょ?」って(笑)。店舗の商品決定、印刷物、内装、装飾、広報戦略、店舗のシステム、原価計算…等、全てに関われるんです。もうリアルなシミュレーションゲームのようなものですよね。 これは、これで楽しかったのですが、僕は、モノ作りはモノ作りでも、デジタルなモノ作りにこだわりたい…そうして「ピグミースタジオ」を設立したわけです。

パン屋からのスタートとは予想外ですが、現在の業務内容は?

僕は、仕事には「ライスワーク」と「ライフワーク」があると思っていて、会社としてこの二つを使い分けています。「ライスワーク」は食べていくための仕事。確実に稼げる、いわゆるご飯を食べる為に絶対必要な受託開発のゲームのお仕事。 スタッフには、いつも言っていることがあります。僕らは職人でありモノづくりは、稼業であると!だからこそ、自分の仕事に誇りを持って、食べていけるように考えなければいけない。

僕は森世界の神になる」は、世界17か国で配信

「ライフワーク」としてはどのような仕事を?

この会社では、ゲーム会社とは言わず、デジタルおもちゃ工場と謳っています。 ここには、モノづくりにこだわる職人たちが集い、力を合わせ面白いデジタルおもちゃを世に送り出します。それは、家庭用ゲーム、ソーシャルゲーム、その他、挑戦する価値のあるものであれば、なんでも(笑)。

最近では、商業をベースに考えない、作家性に重きを置いたインディーズゲームと言われるものが盛り上がってきていまして、ゲーム業界としてもとても注目されているのですが、そのお手伝いもしています。 この春、「野犬のロデム」というタイトルををPlayStation®Mobileにてリリースする予定にしていまして、このゲームを一緒に作っているアーティストのラショウ氏が又、面白い!ラショウ氏は、90年代マルチメディアブーム時代に、オルタナティブなゲームを次々と作りだしたことでも知られる、レジェンド的なクリエイターなのですが、家庭用ゲームソフトとしては、ファミコンの「ボコスカウォーズ」の作者としても有名。時に仮面ダンサーとしてパフォーマンスをしていたり、ショップを営んだりと素性は謎なんですがね(笑)。今回の作品は、過去の作品を意識しつつ、新しい試みがたくさん詰まった意欲作なので、ラショウファンにとっては、待望の作品となると思います。是非、遊んでみてください。

「僕は森世界の神になる」などはピグミースタジオならではのタイトルですね。

他にも、作家性が光る独創的なタイトルをいくつか開発していますが、アーティストの発掘は私にとっての「ライフワーク」のひとつでもあります。海外のユーザーから、ピグミースタジオは、ヘンテコなゲームをいっぱい出してる会社だねっ。もっと作って!って言われたいというのも狙いではあるんですが(笑)。

小清水さんがモノづくりにこだわる原点は何ですか?

子供の頃、ゲームブックというサイコロをふって遊ぶRPG的要素を持った本が好きだったんですね。なかでも、スティーブ・ジャクソン氏の「地獄の館」や「サソリ沼の迷路」など海外の作家さんの本にはまってしまい、その影響で自らゲームブックを作ってました。又、それが発展して今度はボードゲームとして、ヘンテコファンタジーなものを作ったりしてましたね。フィールドに、たくさんのキノコ族を一番増殖させたものが勝つゲームとか、そんな感じです(笑)。 そして、僕のモノ作りを支援するかのような出来事もありましたね。当時、学校の教師からゲームの持ち込みは禁止だと言われたのですが、作ったモノならいいと言われ、じゃあ自作してしまえと更に加速!勉強もそっちのけで、そんなモノばかりを作っていました(笑)。あとは、カセットテープを20円くらいで買って来て、学校中の面白い人を集めてラジオのような番組を作り、100円くらいで売ってたりしてましたね。 モノ作りを稼業にする努力は、思えばその時からやってたので、今やってる仕事に違和感が無いのはそのせいかな。子供の頃から成長していないのかも(笑)。

ひとつだけキラリと光る個性があれば活躍できる

ピグミースタジオには個性的なスタッフが多いそうですが、どのような人材を求めているのでしょうか?

押しなべて平均的でなく、またすべてにおいて優れていなくても、なにか1つだけキラリと光るものがあればOKというか、ひとつだけ尖りのある人材が好きなんです。だから、うちの会社は猛獣だらけ(笑)。

そのようなスタッフをまとめるのは大変ではないですか?

大変ですよ(笑)。でも、僕が尊敬していたディレクターの話で記憶に残っているものがあります。それは、どんなに気が合わない連中とでも、目標が同じであれば、一緒に歩んでいけるのだと。だから、気が合うか合わないかが重要では無くて、腹が減ればみんなでマンモスを捕まえるために、力を合わせるぞ!みたいな(笑)。

就業規則などはどうですか?

そんな個性溢れるクリエイターが集まっているのですが、僕は、基本的にキチンとした就業の会社を目指しているんです。 就業時間は9:00~18:00。残業はなるべくさせない!!僕の口から松下幸之助さんの名言を語るのはおこがましいですが、「時間が足らないからといって少しだけ時間を与えてもダメだ」と。「逆に、いっそのこと丸一日休日にして時間を奪えば、どうすれば仕事を終えることができるのか、本気で効率化を考えるのだ」と。もちろん18:00で終わらないことは多々あるのですが、時間の効率化は大切ですよね。僕らの働いている職場は、おもちゃ工場なので、オフも含めて時間は正確にならねば!(笑)。 又、スタッフ全員ができるだけプライベートな時間をたくさん作って、いろんな体験をして欲しい。ゲームだけを作ってるのでは、人として面白くないと思うんですよね。

魔法を使える妖精たちと仕事がしたい

経営者としてのご苦労はありますか?

苦労ばかりですよ(笑)。プロとしてのモノづくりの世界は単純に時間とお金の制約があるわけですが、その制約の中で一番ベストなモノ、納得したモノを作り出せるかどうか。時々、採算を度外視してもやりたいと思うこともあるのですが、そこは経営者として割り切らないといけないという苦労が多々ありますね。

ピグミースタジオの今後の夢はなんですか?

モノづくりな人を一人でも多く雇いたい。そして、みんなで食べていける環境を作りたいという使命感と夢があります。それは、国内だけでなく海外にも。ピグミーとは妖精のこびとの事を表現しているのですが、妖精はみんな魔法を使えるんですよね。そういう魔法を使える人たちが集まっておもちゃを作ってるというのがピグミースタジオのイメージです。僕は、世界中の妖精を探しているんです(笑)。

取材日:2014年1月22日

 ▼ ピグミースタジオのゲーム
 

株式会社ピグミースタジオ

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  • 代表取締役:小清水 史
  • 設立:平成19年11月13日
  • 資本金:10,000,000円
    • 事業内容:
    • 家庭用ゲームソフト企画・開発
    • スマートフォンアプリ企画・開発
    • 携帯コンテンツ・JAVA/BREWアプリ企画・開発
    • WEBコンテンツ開発
    • 遊技機開発
  • 所在地:大阪市中央区南本町2-4-10 丸忠第2ビル1階
  • TEL:06-6262-1139
  • FAX:06-6210-4739
  • URL:http://www.pygmy.jp
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